「指定乱用防止薬」を創設、零売の原則禁止も明確化 政府
薬機法改正法案を公表
政府が通常国会に提出した医薬品医療機器等法の改正法案の全文が公表された。乱用の恐れのある医薬品については「指定乱用防止医薬品」の新たなカテゴリーを創設し、薬局での販売に当たっては薬剤師や登録販売者に必要な情報提供を求めた。処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売(零売)も「やむを得ない場合として省令に定める場合」を除き、原則禁止とした。一方、医療用医薬品は「特定医薬品」とし、特定医薬品の製造販売業者には「特定医薬品供給体制管理責任者」の設置を義務づける。
指定乱用防止医薬品については、第36条11に「指定乱用防止医薬品に関する情報提供等」を新設。販売・授与、配置には省令に定める事項を記載した書面を用いて必要な情報提供を行うことや、他の薬剤の使用状況に関する確認を実施するよう義務づける。情報提供できない場合や指定乱用防止医薬品の適正な使用が確保できないと認められる場合は販売を禁止する。
また、指定乱用防止医薬品ごとに省令に定める数量を超えて販売することや省令に定める年齢に満たない者への販売を禁じた。
厚生科学審議会制度部会の取りまとめで、店舗内での医薬品の陳列については空箱陳列の義務化を見送ったが、「適正な使用を確保するよう省令に定めるところにより陳列しなければならない」と記載した。
零売の原則禁止は36条の3第2項に「薬局開設者は医師、歯科医師または獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対し、正当な理由なく、薬局医薬品のうち、処方箋の交付を受けて使用すべきものとして厚生労働大臣が指定する医薬品を販売し、または授与してはならない」と記したが、省令で定める「やむを得ない場合」「薬剤師、薬局開設者、医薬品の製造販売業者、医師などへの販売」については零売を認める。
オンライン服薬指導による必要な服薬指導を行った上で販売が可能となる要指導医薬品のうち、対面による販売や授与が必要な医薬品は「特定要指導医薬品」と規定し、薬剤師に対面での販売を義務づけた。
デジタル技術を活用した薬剤師等の遠隔管理による医薬品販売については、薬剤師等が常駐しない受渡店舗において、その店舗に紐付いた薬局・店舗販売業(管理店舗)の薬剤師等による遠隔での管理のもと、医薬品を保管し、購入者へ受け渡すことを可能とする。店舗販売業の許可に関する第26条では、受渡委託をする場合に予めその店舗の所在地にある都道府県知事の許可を必須とした。
薬局開設者や店舗販売業者以外の受渡店舗は都道府県知事による登録が必要で、登録受渡業者には6年ごとに更新を求める。他の薬局や店舗に受渡を委託する薬局開設者、店舗販売業者は受け渡しを行う薬局・店舗に指定した受渡管理者を配置し、受渡し業務を管理することを規定した。
受渡管理者は薬剤師か登録販売者であることを要件とし、都道府県から登録を受けた受渡店舗についても登録受渡店舗責任者の設置を義務づける。
一方、医療用医薬品を「特定医薬品」とし、第18条の2の4項では特定医薬品の製造販売業者に「特定医薬品供給体制管理責任者」の設置の義務づけや安定供給体制の整備などを求める。
また、特定医薬品のうち安定的な供給確保を図る必要性が高い医薬品は「供給確保医薬品」とし、厚労大臣が厚科審の意見を聞いて指定する。中でも安定供給確保が特に重要な医薬品を「重要供給確保医薬品」と法律上位置づけ、厚労大臣は供給不足を未然に防止するため、製造販売業者・製造業者に対し、供給不足防止措置計画の作成と届出を指示できるなど国に権限を持たせる。
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出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
政府が通常国会に提出した薬機法改正法案の全文が公表されました。乱用の恐れのある医薬品については「指定乱用防止医薬品」の新たなカテゴリーを創設し、薬局での販売に当たっては薬剤師や登録販売者に必要な情報提供を求めたほか、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売(零売)も「やむを得ない場合として省令に定める場合」を除き、原則禁止としています。