穿刺血検査OTC化見送り~現時点で時期尚早と結論 薬事審議会医療機器・体外診断薬部会
薬事審議会医療機器・体外診断薬部会は10日、低侵襲性の穿刺血など血液検体を用いた検査薬の一般用検査薬への転用に関する議論を取りまとめ、「転用は現時点では時期尚早」と結論づけた。一定の要件を満たせば安全性・感染性の懸念を軽減でき、廃棄方法に関するルールの共通化も可能とした一方、医師の指導下で使用に関する知識・技術を教育できないなど「残された課題」の検証と整理が必要とした。
厚生労働省は、「いったん議論を終了するが、残された課題の検証が必要。業界団体が要望した場合、議論再開のきっかけの一つにはなると思う」との考えを示している。
現在、一般用検査薬として妊娠検査など計6種類が承認されているが、国の方針として、低侵襲性のものや血液検体を用いたもののOTC化について、今年度中に結論を出すこととしていた。取りまとめでは、穿刺用器具について単回使用自動ランセットなどの技術進歩を踏まえ、針の再使用は不可、穿刺時以外に針が露出しない、使用後は本体ごと廃棄することが担保される前提であれば構造的にも使用者への安全性や非使用者への感染性の懸念はある程度軽減できるとした。
また、糖尿病患者が在宅でインスリン自己注射することを想定したものとして、日本医師会の「在宅医療廃棄物の取扱いガイド」など参考情報が示されており、廃棄方法に関するルールをある程度統一化・共通化することも可能とした。
一方、これらは医療従事者から適正な指導・教育・訓練を受けた患者が自ら在宅で穿刺を行った上で検査することを前提としたもので、必ずしも一般用検査薬について無条件に適用されるものではないと指摘。残された課題も踏まえ、低侵襲性の穿刺血など血液検体を用いた検査薬を一般用検査薬に転用することについて、「現時点では時期尚早であると言わざるを得ない」と結論づけた。
残された課題として、想定される検査項目を自己血糖検査とした場合、糖尿病予備軍の人、検査を受けたことがなく自ら状態を把握できていない人は使用者が持つべき基本となる知識・技術の習熟度などの条件が異なり、現状ではこれらの人を同じ水準で議論できないことなどを挙げた。
出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
薬事審議会医療機器・体外診断薬部会が、低侵襲性の穿刺血など血液検体を用いた検査薬の一般用検査薬への転用に関する議論を取りまとめ、「転用は現時点では時期尚早」と結論づけました。