医療

薬局を心不全予防拠点に~患者の生活全体を支援へ 日本心不全薬学共創機構発足式

薬+読 編集部からのコメント

2024年12月に設立された日本心不全薬学共創機構が、神奈川県小田原市内で発足式を開催。挨拶に立った漆畑俊哉代表理事は、全国に6万軒以上ある薬局を心不全発症・増悪予防拠点に活用していくための活動推進に意欲を示しました。

昨年12月に設立された日本心不全薬学共創機構は10日、小田原市内で発足式を開催した。漆畑俊哉代表理事(写真=なかいまち薬局社長)はあいさつで、心不全患者が増加する心不全パンデミック時代に対応するため、「薬局を利用するほど心不全を防ぎやすくなる場所にする」とのステートメント実現を誓った。

 

漆畑氏は、「薬剤師が力を発揮するのは薬を渡した後にその人を見るという仕事。共創機構はただ手を取り合うというのではなく、違う立場や専門性の人が話し合い、未来を実現するのが価値になる」と述べ、心電図やバイタルサインの計測・評価など全国に6万軒以上ある薬局を心不全発症・増悪予防拠点に活用していくための活動推進に意欲を示した。

心不全の再入院率は退院後6カ月以内で27%、1年後は35%との調査報告があり、2040年頃には医療福祉分野で100万人程度の人材不足が推定され、心不全患者数の急増や再入院の反復への対応が課題となっている。

 

同機構は、心不全をはじめ心疾患の発症や増悪の薬学的介入による抑止を目標とし、心電図やバイタルの判読による薬学ケア・フォローアップの充実、薬局の機能拡充、多職種連携の推進等に関わる活動の実践により、健康の増進や福祉の向上、臨床薬学の振興に寄与することを目的に設立された。

 

漆畑氏は、「心不全は薬だけで解決する病気ではない。薬局は薬物治療だけではなく、患者さんの暮らし、生活全体を支援していく、ウエルネスまで見据えていく必要がある。調剤偏重では限界があり、患者さんをきちんと見るための行動が求められている」と指摘した。

 

その上で、薬局が行動できないのは制度や外部環境に原因があるからと考える他責思考を改め、自責思考に転換していく必要性に言及。

「他人任せにしたら10年後の薬局の未来はない。(発足式を機に)今日からわれわれが活動を開始する、そんな日にしたい」と述べた。

 

また漆畑氏は、心不全予防で薬局の医療インフラを活用するためには、薬剤師は最適な薬物療法を実践するためにバイタルサインや心電図の計測・評価を含めICTやIoTを積極活用し、薬局は患者QOLを向上させるために医薬品供給以外(運動や食事、栄養、睡眠、休息など)の機能を発掘する必要性も提示。

 

「薬局ならではの気づきを薬学、医療・介護全体に応用する。薬局しか気づけないというのが非常に重要な要素になる」との考えを示した。

 

そのほか、薬剤師・薬局に関して▽心不全療養に関して誰でも相談でき、適切な医療連携を行う▽より健康を目指せる(ウェルネス)情報をアドバイスでき、包括的な医療・ヘルスケアを実現する――との目標も掲げた。

 

「このまま調剤をしていくと退路がない。退路がないのであれば前進していけばいい。皆さんと一緒にこの壁を打ち破りたい」と語った。

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出典:株式会社薬事日報社 

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