医療

【日薬 24年度調剤動向】分業率82%台に大幅伸長~供給不安で院外処方加速か

薬+読 編集部からのコメント

2024年度の処方箋受取率(医薬分業率)が、前年度比1.8%増の82.1%と伸長している実態が、日本薬剤師会が公表した保険調剤の動向「24年度調剤分(全保険・速報値)」で明らかになりました。直近10年で2番目に大きい伸び幅となっています。

2024年度の処方箋受取率(医薬分業率)が前年度比1.8%増の82.1%と伸長している実態が、日本薬剤師会が28日に公表した保険調剤の動向「24年度調剤分(全保険・速報値)」で明らかになった。23年度に分業率80%を突破し、24年度は1.8%増と直近10年で見ても2番目に大きい伸び幅となり、医薬分業元年とされる1974年から50年が経過しても伸びは止まっていない。複数の都道府県薬剤師会会長は「医薬品供給不安を背景に、院内処方していたり新規開業の医療機関が院外処方を行ったことで分業率が高まったのではないか」と分析している。

都道府県別の受取率を見ると、全都道府県が伸長する結果となった。90%台は秋田県の93.6%、新潟県の92.4%、青森県の92.2%、岩手県の91.3%、宮城県の90.7%の5県と前年度の3県から増加した。

 

「80%以上」も25都道県から28都道県に増加。22年度に二桁の都道県が80%を突破したが、わずか2年で28都道県が80%以上を突破している。「70~80%未満」は17府県と横ばい、「60~70%未満」は5県から2県に減少、「60%未満」は昨年と同様にゼロだった。

 

調剤件数は7億2819万9391件(対前年度比1.3%増)、処方箋枚数は8億6425万8722枚(0.9%増)、調剤点数は8029億8693万5000点(1.3%増)といずれも前年度を上回った。

 

処方箋1枚当たりの金額は9258円から9291円に増加し、レセプト1件当たり調剤金額は1万1027円。また、全調剤報酬から患者が直接支払った金額を引いた薬局でのレセプト請求率は98.5%となった。

 

分業率は15年度に7割を突破し、その後は微増で推移。新型コロナウイルス感染症の影響で21年度には史上初の減少を記録するなど踊り場の局面に入ったが、23年度に3.9%増と大きく伸び、24年度はさらに上昇した。

 

23年度に80%を突破した際は「コロナの影響で伸びが低調だった分の反動もあったのではないか」と一過性の拡大との見方もあったが、長期化する医薬品供給不安を要因に、院内処方の医療機関が院外処方に切り替える動きが止まらず、1.9%増につながったとの見方が示されている。

 

中でも抗菌薬を確保できない歯科診療所が院外処方箋を発行し、薬局がそれを応需していることも分業率の上昇を後押ししているようだ。

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出典:株式会社薬事日報社 

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