厚労省 清原薬剤管理官、次期調剤報酬改定「厳しい」~地域医療守る薬局評価も

厚生労働省保険局医療課の清原宏眞薬剤管理官は15日に都内で講演し、2026年度調剤報酬改定に向けた課題に言及。「26年度改定は厳しい。基本的には対物業務からより実績を評価した対人業務にシフトし、薬局には地域医療を守る役割が求められる」と私見を語った。後発品の使用割合が90%に到達しつつある後発品調剤体制加算については、後発品を供給する薬局を支援するための「一定の評価が必要」との考えを示した。
清原氏は、全品目を対象とした薬価と実勢価格の差額割合を表す平均乖離率が年々縮小し、24年度薬価調査では5.2%まで下がったことについて「次はもっと小さくなるのではないか。薬局の経営原資である薬価差が小さくなっている」と現状を指摘した。
その上で、26年度調剤報酬改定に向けては「はっきり言って厳しい」との認識を示した。薬局数が増加傾向にあることについて、「外来患者がだんだん減っている中、薬局が単純に増えているのは課題」と述べた上で、「(薬局が)何をやっているのかを説明できないと診療報酬では厳しい。病院がそもそも厳しいと言われる中、薬局にどこまで技術料をもらえるか」と問題認識を示した。
調剤報酬については「基本的には対物業務から対人業務への評価にシフトしていく」との認識を示し、「出店は過密地域に増えて、過疎地域は減ってきている」と指摘。地域医療を守る薬局への評価も検討課題に位置づけた。
調剤基本料については「同じサービスなのに違う点数になっているのはどうすればいいのか。患者負担とのバランスも考えないといけない」とし、基本料の適正化と患者負担のバランスが重要との考えを示した。
後発品調剤体制加算については「後発品の使用割合が90%超に到達しつつある中でどうするのか」と論点を示しつつも、「(同加算が)不要になったわけではなく、薬局は先発品と後発品の情報提供をしなければならない。保管するスペースなど必要なコストもある。それはきちんと評価しなければならない」と述べた。
また、地域支援体制加算は「体制を評価する加算だが、(地域貢献として)具体的に何をやっているのかという視点が必要」とした。同加算1.2を算定している薬局よりも同加算3.4を算定している薬局が多い実態を踏まえ、「グループ薬局は頑張って加算4(32点)を取ろうとしている。そうではない薬局は加算2(40点)を取らずに加算1(32点)のままとなっているのが多い」と指摘。今後の推移を注視しながら同加算のあり方を検討していく考えを示した。
そのほか、調剤管理料のあり方や24年度改定で創設された在宅医療に対する評価項目の定着と充実、物価・賃金対応も課題に挙げた。
清原氏は、「ドラッグストアとチェーン薬局、地域に密着した個店薬局の3者それぞれ収益形態が違うところを調剤報酬でどう見ていくかも課題」と語った。
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出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省保険局医療課の清原薬剤管理官が、講演で2026年度調剤報酬改定に向けた課題に言及。「26年度改定は厳しい。基本的には対物業務からより実績を評価した対人業務にシフトし、薬局には地域医療を守る役割が求められる」と私見を語りました。