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高齢者薬物療法指針を改訂~GLP-1作動薬は慎重投与 日本老年医学会

薬+読 編集部からのコメント

日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を10年ぶりに改訂。糖尿病領域のうち、「特に慎重な投与を要する薬物」にGLP-1受容体作動薬とGIP/GLP受容体作動薬が追記されたほか、巻末には抗コリン薬による薬物有害事象と相互作用の減少を狙いとした「日本版抗コリン薬リスクスケール」が盛り込まれています。

日本老年医学会は、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を10年ぶりに改訂した。糖尿病領域のうち、「特に慎重な投与を要する薬物」にGLP-1受容体作動薬とGIP/GLP受容体作動薬を追記したほか、抗コリン薬による薬物有害事象と相互作用の減少を狙いとした「日本版抗コリン薬リスクスケール」を巻末に盛り込んだ。

 

前回改訂から多数の領域で新薬が登場し、有効性・安全性に関する評価が求められ、各薬剤に関するエビデンスも蓄積したとして、10年ぶりのガイドライン改訂に至った。

 

薬剤の領域別に改訂内容を見てみると、「特に慎重な投与を要する薬物」は改訂前の29領域から28領域、「開始を考慮すべき薬物」は8領域から10領域となった。

 

糖尿病領域に対するGLP-1受容体作動薬、GIP/GLP受容体作動薬について、嘔吐、下痢、フレイル・サルコペニア合併患者での体重減少のリスクが明記されたため、特に慎重な投与を要する薬物のリストに入った。

 

精神疾患領域では、ベンゾジアゼピン系薬物、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、低ナトリウム血症患者に投与する場合の選択的セロトニン受容体拮抗薬(SSRI)が特に慎重な投与を要する薬物となった。

 

神経疾患領域のうちパーキンソン病については、改訂前は薬剤性パーキンソン病の報告がある可能性の薬剤を記載していたが、一般診療の現場で頻用される薬剤の報告に基づいた記載に修正した。

 

厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用指針」を踏まえ、処方見直しのプロセスとして、高齢患者について高齢者総合機能評価(CGA)等も利用し総合的に評価してポリファーマシー関連の問題点の存在を確認することや、多職種共同の必要性を追記した。

 

また、高齢者に頻用される抗コリン薬のリスクを薬剤師などが正確に評価し、同剤による有害事象や相互作用を減少させることを目的に、「日本版抗コリン薬リスクスケール」を追加した。

 

具体的には、国内で使用される薬物が持つ抗コリン作用によるリスクの強さをスコア3~1で評価を行い、高スコアの薬物を使用している場合はより低いスコアの薬物に切り替えるよう検討を行う。スコア3は37薬物、スコア2は27薬物、スコア1は94薬物の計158薬物とした。

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出典:株式会社薬事日報社 

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