薬剤師研修をオンラインで~帝京平成大 亀井教授、緊急避妊薬OTC化に向け
2024年度厚生労働科学特別研究事業「緊急避妊薬の薬局販売に備えた薬剤師研修用資材の作成」(研究代表者=亀井美和子帝京平成大学薬学部教授)の総括報告書が公表された。緊急避妊薬がOTC化された場合に全国的に入手できるよう、薬剤師の研修はe-ラーニング形式とすることで「必要とする人に対応できる地域が全国的に拡大される」と結論づけた。
緊急避妊薬をめぐっては、医療用からOTC医薬品へのスイッチ化に向け、厚生労働省の委託事業として一部薬局で試験的販売事業が行われている。同事業では薬剤師の販売に関する研修が実施されており、研究班はOTC化を見据え、薬剤師が受講する研修としてどのようなものが望ましいか検討した。
報告書では、仮にOTC化が認められた場合、要指導医薬品に指定される可能性が高いとし、薬局の薬剤師に限定せず、店舗販売業の薬剤師も受講対象に含めるべきとした。緊急避妊薬を取り扱わない店舗でも薬剤師が同剤に関する医学・薬学的知見を持っていることが望ましいとし、広く薬剤師が受講できる研修とすることが有用とした。
研修形態として、2019年度から各都道府県薬剤師会が年1回程度の頻度でオンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤に関する研修を行っている一方、全国の薬局が約6万軒であることを考えると研修修了者数約4万人は少ないと指摘。
そのため、全国的に多数の薬剤師が速やかに受講可能となる受講形態としてはオンラインが適しているとし、対面での開催は非現実的とした。ただ、オンライン形態でも受講履歴の確認方法、リアルタイム形式では開催頻度を高くする必要があるといった課題があるとし、全国の薬剤師がアクセス可能なe-ラーニングによる受講が適当とした。プラットフォームとして、生涯研修に広く利用され、受講期間内なら繰り返し受講可能としている日本薬剤師研修センターのシステムが適しているとした。
内容については、購入希望者の妊娠有無の可能性を判断するための学習、性暴力・性被害者に適切に対応するための学習等を追加することも必要とした。
研修修了者の情報は同センターから厚労省に直接報告し、名簿への記載を希望する修了者は厚労省に自ら申請し、厚労省が名簿を作成することが重要とした。
結論として、「e-ラーニング形成に対応した研修用資材を作成できれば、質が確保された研修をより多くの薬剤師に提供可能となり、緊急避妊薬を必要とする女性に対応できる地域が全国的に拡大することが期待できる」とした。
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出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
2024年度厚生労働科学特別研究事業「緊急避妊薬の薬局販売に備えた薬剤師研修用資材の作成」の総括報告書が公表。緊急避妊薬がOTC化された場合に全国的に入手できるよう、薬剤師の研修はe-ラーニング形式とすることで「必要とする人に対応できる地域が全国的に拡大される」と結論づけられました。