薬機法

乱用薬販売制限は18歳未満~「20歳未満」から引下げ 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会

薬+読 編集部からのコメント

改正薬機法で新設された「指定乱用防止医薬品」の販売制限対象年齢について、厚生労働省は民法上の成人年齢との整合性を踏まえて18歳未満とする方向性を厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に示し、概ね了承されました。

厚生労働省は23日、改正医薬品医療機器等法で新設された「指定乱用防止医薬品」の販売制限対象年齢について、民法上の成人年齢との整合性を踏まえて18歳未満とする方向性を厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に示し、概ね了承された。省令改正した上で来年5月1日の施行を予定し、18歳以上でも購入時に理由確認や頻回購入対策など販売現場での対応も求める。

改正薬機法では、指定乱用防止医薬品について「若年者」に大容量製品や複数個の販売を禁じ、若年者への小容量製品の販売や若年者以外の大容量製品・複数個販売は対面またはオンライン販売とするよう義務づけている。販売を制限する若年者の年齢は省令で定めるため、同部会で具体的に検討することとしていた。

 

昨年12月の取りまとめでは、飲酒・喫煙可能年齢を踏まえ若年者を20歳未満にすべきとの考えが示されていたが、国会における薬機法改正案の審議では、民法上の成人年齢が18歳であることとの整合性、20歳以上でも乱用が確認される年代があるなどとして、年齢だけではない適切な対応が必要と指摘が出ていた。

 

この日の部会で厚労省は、民法上の成人年齢との整合性を踏まえ、指定乱用防止医薬品の販売制限対象年齢を18歳未満とする方向性を示した。

 

一方、年齢に関係なく適切に対応するため、20代前半と高校生の乱用リスクが高いデータから、境界となる年齢を含めた年齢層に対して年齢・本人確認の徹底を求めるほか、18歳以上でも高校生である場合はより留意した対応を現場に求めることとした。

 

乱用防止に向けては購入者の年齢に関係なく専門家の適切な関与も必要として、▽販売現場で区切りとする年齢の周辺年齢も含めた声かけを行い、年齢確認を行う▽購入時には理由確認や頻回購入対策等を行う▽成人年齢に達した高校生など、より注意すべきことが確認された人への販売に際してはより留意した対応が実施されるよう依頼・周知を行う――について、関係団体と調整を進める。

 

指定乱用防止医薬品のネット販売も、区切りとなる年齢の周辺年齢も含め、年齢・本人確認が徹底される方策を求めると共に、リスクの高い購入時にはビデオ通話の実施や頻回購入対策が義務づけられるとした。

 

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、若年者を18歳未満とすることでネット販売と対面販売で18~19歳の複数個・大容量の購入が可能となることを懸念。「ネット販売でもリスクが高い購入であるかの把握、リスクが高い場合はビデオ通話を実施するなど、頻回購入対策を徹底できるよう具体的対応が必要」と主張。「何が大容量・小容量か定義がない。小容量を何日分と決めることは容易でないが、薬剤の特性等を踏まえて一定の考えを示すべき」と訴えた。

 

山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、販売時に実効的対応ができているか定期的に部会に報告することを求めた。

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出典:株式会社薬事日報社 

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