薬剤師会

販売対応で自己点検実施~覆面調査踏まえ質問追加 日本薬剤師会

薬+読 編集部からのコメント

日本薬剤師会は、厚生労働省が公表した2024年度医薬品販売制度実態把握調査(覆面調査)結果を踏まえ、医薬品販売制度対応に関する自己点検を実施します。新たに点検内容を追加した上で、自己点検以外にもOTC医薬品の販売方法を身につけてもらうための研修を各都道府県で実施し、適切な販売対応に向けた意識を高めたい考えです。

日本薬剤師会は、厚生労働省が公表した2024年度の医薬品販売制度実態把握調査(覆面調査)結果を踏まえ、医薬品販売制度対応に関する自己点検を実施する。覆面調査では乱用の恐れのある医薬品を複数購入しようとした時の対応では「質問等されずに購入できた」のは独立店が36.8%、チェーン店で11.3%と前年度に続きチェーン店を下回る結果になったため、新たに点検内容を追加。自己点検以外にもOTC医薬品の販売方法を身につけてもらうための研修を各都道府県で実施し、適切な販売対応に向けた意識を高めたい考えだ。

今年度の自己点検では、新たな点検項目として「購入者が情報提供および指導の内容を理解したこと、他に質問がないことを購入者にはっきり伝わるように確認している」との内容が薬局で実践されているかチェックしてもらう。

 

富永孝治常務理事(写真)は「乱用の恐れのある医薬品の説明が個店薬局では購入者に届いていないという結果が出た。今回の覆面調査で出た数字を真摯に受け止め、新たな点検内容を追加した」と述べた。

 

また、薬局での適切な販売に向け、自己点検を実施すること以外にもOTCの販売に関する研修を実施する考えも明らかにした。

 

富永氏は「調剤報酬の点数の中で、OTC医薬品の48薬効群を置くことが条件付けられたが、『置いておけばいい』という意識でOTCを売ることに魂が入っていない」と指摘。

 

「本当の意味でOTCを上手に使っていただく。OTCは消費者と一緒になって薬剤師が決めていくセルフメディケーションの支えになるものなので、OTCを責任を持って販売することを啓発する必要がある。保険調剤だけで育ってきた薬剤師が多いので、OTCの販売方法を伝えたい」との考えを示した。

 

緊急避妊薬が要指導薬として承認されることが了承されたことで、「今は薬剤師にとってチャンス」と捉えた。

 

「薬剤師から買えて良かったとなれば、面前服用という条件も取れるだろう。(消費者の)ヘルスリテラシーが上がってくるまで自分たちの責任のもとでOTCを販売できるよう日薬として取り組んでいきたい」と述べた。

 

研修内容については「今後の検討課題」としつつも、「OTC医薬品を一生懸命販売している薬剤師を講師にしたり、日本薬局協励会の先生とも連携できれば」と語った。

 

 タダラフィルOTC、要指導薬に留め置く

 

また、9月18日の薬事審議会要指導・一般用医薬品部会でスイッチOTC化が了承されたエスエス製薬の勃起不全(ED)治療剤「シアリス」(一般名:タダラフィル)について富永氏は、「緊急避妊薬をスイッチOTC化するためにいろいろな条件を詰める中でタダラフィルが候補成分に出てきた。緊急避妊薬が先だろうとなり、今回了承された」と説明。

 

その上で「議論が尽くされていない中で了承された感もある。パートナーの同意を取る場合にパートナーが同性であるケースもあり、心血管イベントなど併用禁忌の薬剤もある中で薬剤師のみでしか販売してはいけない薬剤だと思っている」とし、要指導医薬品で留め置く薬剤と主張した。

 

岩月進会長も、「オンライン診療ではできない薬剤。薬剤師が免許を使ってきちんと販売することに尽きるのではないか」と語った。

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出典:株式会社薬事日報社 

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