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【中医協総会】敷地内「抜け穴」に是正要求~特別基本料ルール厳格化を 中央社会保険医療協議会総会

薬+読 編集部からのコメント

2026年度診療報酬改定に向け、敷地内薬局の評価をめぐり中医協総会で議論が行われました。「特別調剤基本料A」に関して、除外規定の削除や診療報酬上のルール厳格化を求める声が診療側・支払側の両委員から相次ぎました。

中央社会保険医療協議会総会は24日、2026年度診療報酬改定に向け、敷地内薬局の評価をめぐり議論した。特別な関係を持つ医療機関の処方箋集中率50%超の薬局が対象となる「特別調剤基本料A」に関して、「薬局が所在する建物内に診療所が所在する場合を除く」との除外規定を利用し同基本料を回避する事例が見られるとして、除外規定の削除や診療報酬上のルール厳格化を求める声が診療側・支払側の両委員から相次いだ。

 

敷地内薬局に対する診療報酬上の評価として、24年度改定で「特別調剤基本料A」(5点)の区分を新設し、施設基準として「特別な関係」を有する医療機関に関する処方箋の調剤割合が5割を超えるなど、これまでの評価より厳格化した。薬局が医療機関と不動産の賃貸借取引関係にある、医療機関が譲渡した不動産を利用して開局した場合などに該当すれば特別な関係にあると判断される。

 

ただ、施設基準については、既存の医療モールへの配慮として「薬局が所在する建物内に診療所が所在する場合を除く」との除外規定が存在するため、特別な関係にある病院の敷地内薬局の同一建物内に、別途診療所を誘致することで同基本料を避ける薬局も見られる。施設基準を満たしながらも同基本料を未算定の薬局数は、算定薬局の2倍以上に上る。

 

この現状を踏まえ、診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「経済的規制の面ではあたかも賃貸借で特別な関係に見えない方法を取り、構造的規制の面では病院が所有する敷地内に別の医療機関を開設すれば敷地内薬局として取り扱われないなど、規制の趣旨を逸脱する方法ですり抜けている事例があることは極めて残念」と問題視。「ルールをすり抜ける事例には診療報酬上のルール厳格化と是正が必要」と訴えた。

 

江澤和彦委員(日本医師会常任理事)も「同基本料を回避する目的で同一建物内に診療所を誘致した事例とそうでない事例への対応を分けるべきか議論し、公平性の観点から除外規定の削除も含めて検討すべき」と求めた。

 

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「第三者や関連会社を介した賃貸も特別な関係に該当すると明確化すべき」と主張し、「医療モールも含め、特別な関係にある事例は全て同基本料を適用するのが原則」との考えを示した。

 

一方、同基本料を算定する薬局は院内と同様、癌患者へのフォローアップなど高度な薬学的管理を行った場合でも薬学的管理に対する加算を不可としている。

 

森氏は「高度な医療を提供する病院の近隣薬局で高度な薬学的管理が求められるのは当然で、敷地内か敷地外かは関係ない。薬局の機能によらず現行の評価を堅持すべき」と現状維持を求めた。江澤氏も「高度な薬学的管理を行っている場合も算定を不可としたことは想定されていた。病院薬剤師の確保が極めて重要な課題であることも踏まえ、これまでと同様の評価を継続すべき」とした。

🔽 敷地内薬局・特別調剤基本料について解説した記事はこちら

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出典:株式会社薬事日報社 

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