フォローアップ資料活用を~「使っていない」が最上位 くすりの適正使用協議会
過去1カ月間に延べ101人以上に服薬指導を行った薬局薬剤師539人に対し、患者へのフォローアップの実態調査でフォローアップ時に患者に使用した資料を確認すると「特に資料は使っていない」が最上位となったことが、くすりの適正使用協議会(RAD-AR)くすりのしおりコンコーダンス委員会の栗原理氏らの研究で明らかになった。
調査は、RAD-ARと東京薬科大学社会薬学教育センターが共同で実施したもの。昨年公表した調査結果では、最近1カ月にフォローアップ経験のある薬剤師は55.3%と半数にとどまっていたが、今回詳細な解析を行った。フォローアップを行った患者背景は「新規処方あるいは処方薬剤が変更になった患者」が最上位となったが、患者に渡した資料は「特に資料を渡していない」が44%、「薬剤情報提供文書」が42%だった。
患者に渡した資料と患者の状態や関係性をクロス解析し、患者ロイヤリティ向上への寄与度を評価した結果、「薬局で独自に作成したフォローアップ用資料を渡した」場合に対応した患者の新規かかりつけ薬剤師になった割合は19%、他院・他科の処方箋を持ってきた割合は29%、「製薬企業が作成した患者指導箋」はそれぞれ38%、33%、「くすりのしおり」が18%、33%、お薬手帳は14%、22%と全体平均よりも高い結果が得られた。
一方、「特に資料は渡していない」対応については、かかりつけ薬剤師となった割合が6%、他院・他科の処方箋獲得割合が5%と低かった。
フォローアップの工夫については「患者がフォローアップの必要性を理解しやすい資材を独自に作成」した場合に対応した患者のかかりつけ薬剤師になった割合は19%、他院・他科の処方箋を持ってきた割合は23%、「くすりのしおり等でフォローアップの必要性を説明」した場合でもそれぞれ23%、21%だった。「患者情報をなるべく多く収集する」は8%、13%、「特に工夫していない」はいずれも4%と低い割合にとどまった。
栗原氏は、「患者ロイヤリティに関連する行動変容は、何らかの資料を活用することを含めたフォローアップの工夫で高められることが考えられた」と考察している。
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出典:薬事日報



薬+読 編集部からのコメント
過去1カ月間に延べ101人以上に服薬指導を行った薬局薬剤師539人に対し、患者へのフォローアップの実態調査でフォローアップ時に患者に使用した資料を確認したところ、「特に資料は使っていない」が最上位となったことが分かりました。