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【厚労省 薬価調査速報値】乖離率4.8%と過去最小に~ガイドライン別枠品が改善

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省は、医療用医薬品の現行薬価と市場取引価格の開きを示す平均乖離率が、2025年9月取引分で約4.8%だったとの薬価調査結果の速報値を中医協総会に報告。2024年度調査から0.4ポイント縮小し、5年連続で改善しています。

厚生労働省は3日、医療用医薬品の現行薬価と市場取引価格の開きを示す平均乖離率が今年9月取引分で約4.8%だったとの薬価調査結果の速報値を、中央社会保険医療協議会総会に報告した。昨年度調査から0.4ポイント縮小し、5年連続で改善した。流通改善ガイドラインで「別枠」とされた品目のうち安定確保医薬品A、不採算品再算定品で縮小し、最低薬価品は5ポイント近く下がった。一方、委員からは市場実勢価格が薬価を上回る逆ざや品の発生を指摘する意見が出た。

今回の調査は、9月取引分を対象に販売サイドから11月1日までに報告があったものを集計した。平均乖離率は2023年度6.0%、24年度5.2%と推移していたが、25年度は4.8%と4%台まで縮小し、近年では最も乖離率が大きかった20年度の8.0%から3.2ポイント下がった。

 

後発品がない先発品は3.6%、長期収載品は9.6%、後発品は8.7%だった。

 

分野別の乖離率では、流通改善ガイドラインの改訂によって「別枠」で交渉を行ったことで、基礎的医薬品は1.6%と横ばい、安定確保医薬品Aは0.5ポイント減の3.0%、不採算品再算定品は0.5%ポイント減の1.6%となった。

 

最低薬価品の乖離率は23年度、24年度は12%台と高かったが、7.3%と一気に改善した。

 

また、投与形態別では外用薬を除き前年度から乖離率が縮小し、主要薬効群別で見ても乖離率が全て一桁台となった。

 

市場規模の大きい主な薬効群別の乖離率を取引金額上位で見ると、内用薬は「その他の腫瘍用薬」が3.6%、「糖尿病用剤」が6.0%。

 

そのほか、「漢方製剤」が1.7%、「血液凝固阻止剤」が5.8%、「消化性潰瘍剤」が8.4%となった。内用薬全体では5.8%と0.6ポイント縮小した。

 

注射薬では「その他の腫瘍薬」が3.2%、「他に分類されない代謝性医薬品」が4.6%の順で、注射薬全体では3.2%と前年度より0.3ポイント縮小した。外用薬は「眼科用剤」が9.8%と1.6ポイント増加し、全体では6.8%と横ばいだった。

 

そのほか、歯科用製剤はマイナス9.5%とマイナス幅が0.2ポイント拡大した。

 

後発品シェアは昨年10月にスタートした長期収載品の選定療養化を背景に、前年度から3.8ポイント増の88.8%と拡大した。金額シェアも、6.6ポイント増の68.7%と伸ばした。

 

乖離率が縮小する結果を受けた委員からは、「特定医療材料は逆ざやになっている。逆ざやがどれくらいあるのか」と質す意見も挙がった。

 

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は同日、日薬の定例記者会見で「自薬局で価格交渉している立場として、4.6%くらいまで下がると思った」と感触を述べた上で、「乖離率が4.8%というのはあくまでも平均で、4.8%よりも小さい薬価差となっているところもある。日薬としては、過度な薬価差は求めないとの立場で、薬価差はいらないとは言っていない」と指摘。

 

「薬局では管理コストや廃棄損を賄えないところに来ている。これ以上悪化して薬価差が縮まってきた時には、薬局を運営する上で非常に厳しいという印象がある」と述べた。

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出典:薬事日報

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