医療

【診療報酬改定率で合意】32年ぶり2%超プラス改定~調剤改定率「1:0.3」維持

薬+読 編集部からのコメント

2026年度予算案の大臣折衝を行った片山財務相と上野厚労相が、診療報酬改定率について医療の技術料に当たる「本体」を3.09%引き上げることで合意しました。技術料に基づく医科、歯科、調剤の各科配分比率は「1:1.1:0.3」を維持します。

片山さつき財務相(写真右)と上野賢一郎厚生労働相(写真左)は24日、2026年度予算案の大臣折衝を行い、診療報酬改定率について医療の技術料に当たる「本体」を3.09%引き上げることで合意した。賃上げ分や物価対応分などを除いた実質の改定分は0.25%増となり、技術料に基づく医科、歯科、調剤の各科配分比率は「1:1.1:0.3」を維持した。来年6月の施行となる。一方、26年度薬価制度改革関連事項では市場拡大再算定の類似品の薬価引き下げ(いわゆる共連れルール)を廃止することで決着した。

 

 共連れルールは廃止へ

26年度の社会保障関係費は前年度比で7600億円程度増加し、39兆0600億円程度とした。診療報酬本体部分はプラス3.09%で前回改定の0.88%から大幅な引き上げとなった。3%超の改定率となるのは30年ぶりとなる。

 

診療報酬全体でも平均乖離率を踏まえて実施される通常の薬価改定で0.86%(国費1052億円程度)、材料価格改定で0.01%(国費11億円程度)の合計0.87%(国費1063億円程度)を引き下げるもののプラス2.22%を確保。32年ぶりに2%超のプラス改定となった。

 

3.09%の引き上げは26年度、27年度の2年度平均での改定率であり、26年度は2.41%増(国費2348億円程度)、27年度は3.77%増と各年度で改定率を変動して運用する。急激な物価変動に対応するための初の試みだ。

 

3.09%引き上げのうち、賃上げ分として2年度平均で1.70%引き上げる。26年度は1.23%増、27年度が2.18%増で、医療現場での生産性向上の取り組みと合わせ、それぞれ3.2%分のベースアップを支援する措置を講じる。施設類型ごとの職員の規模や構成に応じた配分となるよう措置する。今後、中央社会保険医療協議会で具体的な配分を決定する。

 

物価対応分についても2年度平均でプラス0.76%とし、26年度は0.55%、27年度は0.97%の引き上げとなる。特に26年度以降の物価上昇への対応には0.62%引き上げるものの、病院を優先して配分するため、薬局分は0.01%増にとどめた。

 

24年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分ではプラス0.44%を措置するが、薬局への配分は0.01%と限定的な対応となりそうだ。

 

後発品への置き換えの進展を踏まえた処方や調剤にかかる評価の適正化、長期処方・リフィル処方の取り組み強化などによる効率化として0.15%を引き下げ、賃上げ分や物価対応分、適正化分を除いた通常の診療報酬改定分はプラス0.25%で着地した。各科改定率は医科0.28%増、歯科0.31%増、調剤0.08%増となる。

 

一方、薬価制度関連事項では、市場拡大再算定の対象となった医薬品の類似品の薬価を引き下げる共連れルールを廃止する。医薬品の安定供給確保に向け、最低薬価について物価動向を踏まえた対応を行う。

 

費用対効果評価制度のさらなる活用に向けては、26年中に既存の比較対照技術と比べて追加的な有用性がなく、単に費用増加となる医薬品にかかる価格調整範囲の拡大を図る。対象品目や価格調整の範囲の拡大など制度のさらなる見直しについて具体的な検討を進め、27年度薬価改定の中で一定の結論を出す。

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出典:薬事日報

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