【兵庫県薬など学術大会】業務効率化へAIは不可欠 ~ 病院・薬局での活用事例報告
兵庫県薬剤師会・病院薬剤師会・薬系5大学連携学術大会が7日に神戸市で開かれた。演者からは病院や薬局での生成AI活用事例が紹介され、「業務の効率化や高度化に向けて利用が不可欠」との見解が示された。医療データをクラウドに集約して各種サマリーをAIで自動作成したり、施設内で使用するアプリを内製化するなど、活用場面の広がりが説明された。
アマゾンウェブサービス(AWS)ジャパンのヘルスケア事業本部長の大場弘之氏は、国内の活用事例を提示した。愛知県の藤田医科大学病院では、患者記録をクラウドに移行してAIで退院サマリーを作成したところ、わずか数秒で下書きが完成したという。これまで10分ほどかかっていた作成時間は大幅に短くなり、医師の負担軽減に貢献している。
兵庫県立リハビリテーション中央病院では、リハビリスケジュールを自動作成するアプリを内製化して作業工程の6割を自動化した。土日のスケジュール作成に費やす時間を100分から20分へ短縮し、人的コストも3分の1まで削減できる見込みになった。
大場氏は「医療データやAIの活用を自分たちで行い、業務を効率化、高度化する時代がそこまで来ている」と指摘。「毎月のように新しいサービスが登場し、追いつくのが大変なほどイノベーションが起きている。チャットボット式の会話型AIから、AIが自律的にタスクを実行するエージェントAIへ焦点が移りつつある」と語った。
三田高原病院薬剤部の谷野巧氏は、医療現場ではAIを「使う使わない」ではなく「いかに使いこなすか」の段階に入ったと強調。教育現場では既に学生のAI利用を前提とした教育プログラムが組まれており、数年後には「AIネイティブ」の若手の入職が想定されることから、病院や薬局業務もAI利用前提のワークフローに変わると私見を語った。
谷野氏は、医療現場でのAI利用について、データをクラウド上にアップロードすることで患者の特定リスクが生じることから、同院ではインターネットに接続しないローカル環境で使用する「LMスタジオ」を使用して、服薬指導のチェックリスト作成などを実施していると説明した。
谷野氏は「性能はそこまで高くないが、そこそこ使える。AI初心者の練習や簡単な業務利用に使っており、(AI利用の)予算が限られる施設では非常に便利」と紹介した。
徳島県中心に薬局を運営するサンコーファーマシーの福井俊之氏は、インターネット上のデータを学習して質問に答えるAIは誤った回答を発するハルシネーションが起こる可能性があることから、「薬剤師にはノートブックLMを使ってほしい」と私見を述べた。同AIはアップロードしたPDFやURLなどの資料のみを参照する仕様で、創造性よりも正確性を重視しているため薬剤師向けだと持論を述べた。
福井氏は、AIを「入力した文章(質問)に対して、確率の高い(良い感じの)続きを出力するもの」との認識を示し、「最終判断は自分自身で行う必要がある」と強調した。
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出典:薬事日報



薬+読 編集部からのコメント
兵庫県薬剤師会・病院薬剤師会・薬系5大学連携学術大会で病院や薬局での生成AI活用事例が紹介され、「業務の効率化や高度化に向けて利用が不可欠」との見解が示されました。