創薬・臨床試験

iPS細胞由来製品承認へ ~ 世界初、誕生20年で実用化 薬事審議会再生医療等製品・生物由来技術部会

薬+読 編集部からのコメント

クオリプスのヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート「リハート」と住友ファーマの非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞「アムシェプリ」について、7年間の条件・期限付きで承認することを薬事審議会再生医療等製品・生物由来技術部会が了承しました。iPS細胞由来の再生医療等製品の登場は世界初となります。

薬事審議会再生医療等製品・生物由来技術部会は19日、クオリプスのヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート「リハート」と住友ファーマの非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞「アムシェプリ」について、7年間の条件・期限付きで承認することを了承した。iPS細胞由来の再生医療等製品の登場は世界初となる。承認時期は早ければ来月上旬を予定し、誕生から20年でiPS細胞の実用化に至る見通しとなった。

 


 

2製品の条件・期限付き承認了承を受け、上野賢一郎厚生労働相は20日の閣議後会見で、「関係省庁と緊密に連携して継続的に研究開発を支援してきたため、了承は大変喜ばしい。保険収載の具体的時期は未定だが、できる限り早期に患者に届くことを期待する」と述べた。

 

クオリプスのリハートは、ヒトiPS細胞から分化誘導させた心筋細胞をシート上に形成したもの。薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心筋症による重症心不全の治療を効能・効果とし、対象患者の年齢制限は設けていない。

 

有効性・安全性の確認を目的に、大阪大学病院を中心とした4施設で実施された多施設共同非盲検非対照国内試験(CVSC0005試験)の結果をもとに、クオリプスは昨年4月に厚生労働省に製造販売承認申請を行い、同10月には希少疾病用再生医療等製品に指定されていた。

 

症例集積までにかかる期間を考慮し、期限7年の条件・期限付き承認とした。別途実施する前向き臨床研究における対象患者を外部対照に有効性を検証し、安全性を評価することを目的とした使用成績調査の実施が求められる。

 

一方、住友ファーマのアムシェプリは、健康成人の末梢血単核球を用い作製したiPS細胞から分化誘導して製造したドパミン神経前駆細胞の細胞塊を含有する細胞加工製品。レボドパ含有製剤を含む既存治療で効果不十分なパーキンソン病患者の運動症状改善を効能・効果とする。

 

2017年に先駆け審査指定制度対象品目、昨年に希少疾病用再生医療等製品に指定され、住友ファーマは同8月に製造販売承認申請を行っていた。

 

リハートと同様の理由から期限7年の条件・期限付き承認とし、同製品が移植された全ての患者を対象に、使用実態下での安全性・有効性を確認することを目的とした使用成績調査を行うことなどを求めた。

 

 社会実装に大きな一歩 ~ 山中氏らコメント発表

 

身体のほぼ全ての細胞に分化し、無限に増殖する能力を持つiPS細胞は、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥名誉所長が06年に樹立した。

 

部会での了承を受け、山中氏は「社会実装に向けた大きな一歩を踏み出せたことを大変嬉しく思う。医療として確立するには、ここから多くの症例で安全性・有効性を確認するプロセスが不可欠で、引き続き一歩ずつ着実に進んでいくことが重要」とのコメントを発表した。

 

また、住友ファーマの木村徹社長は、「アカデミアの先生方をはじめ、多くの関係者との長年の取り組みが結実に向けて前進したと受け止めている」と謝意を伝えた上で「必要とする多くのパーキンソン病患者さんに届けるまでには、厳密な手順に従って製造販売後臨床試験で有効性、さらなる安全性を確認し、本承認を取得するというステップがある。1日も早く多くの患者さんに治療を届けられるよう引き続き着実に取り組んでいく」とした。

 

クオリプスも同日、「研究開始から18年、産学官の連携により到達点を迎えた」とのコメントを発表。「山中先生をはじめ、治験に参加いただいた被験者とご家族、研究開発に携わった研究者に心からお礼を申し上げる」と関係者に感謝を述べた。

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出典:薬事日報

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