医療

低学年に有償インターン~現場経験で学習意欲向上【武庫川女子大学薬学部】

薬+読 編集部からのコメント

武庫川女子大学薬学部は、今夏から1~3年生を対象とした有償インターンシップを開始します。対象学生11人は8月中旬から10~20日間、兵庫県や大阪府の薬局やドラッグストアに出向き、1000円前後の時給で働きながら現場の様々な業務を経験するとし、学習意欲の向上が期待されます。

武庫川女子大学薬学部は、今夏から有償インターンシップを開始する。薬学部の1~3年生11人が8月中旬から10~20日間、兵庫県や大阪府の薬局やドラッグストアに出向き、1000円前後の時給で働きながら現場の様々な業務を経験する予定だ。就職活動中の高学年ではなく、有償で低学年対象のインターンシップは薬系大学では初めて。今後、春休みを含め年2回実施する計画で、受け入れ施設の拡大も視野にある。現場での経験が学習意欲の向上や学習目的の再認識につながると期待している。

薬学生の受け入れ先候補は、フロンティア、ベガファーマの2社が展開する薬局20店舗と、ツルハが展開するドラッグストア3店舗。これら賛同を得た3社とは個別に教育と研究に関する提携を結んだ。

 

各店舗は、薬学部キャンパスがある西宮市や隣接する尼崎市のほか、大阪市、堺市など大阪府や兵庫県に広く点在しており、様々な特徴がある。この中から業務内容やアクセスなどを考慮して、薬学生がインターンシップを受けたい店舗を選択する。

 

実施に向けて学内で1~3年生を対象に説明会を開いたところ、42人の学生が参加の意思を示した。一次選考や二次選考を経て、最終的に11人が候補者となる予定。薬学科(6年制)の1年生5人、2年生1人、3年生3人、健康生命薬科学科(4年制)の2年生2人がほぼ内定している。受け入れ先との面接を踏まえて雇用契約を結び、8月中旬から各店舗でのインターンシップが始まる。

 

夏休み中、1日4時間ほどの勤務を想定しており、期間の目安は10~20日間。各店舗で、開店や閉店作業、患者や顧客対応、電話受付、検品や調剤棚への収納、レセコン作業、発注、OTC販促物作成など様々な業務を経験してもらう。期間や業務内容は店舗ごとに話し合って決める。

 

夏休みが終わる9月中旬で有償インターンシップは終了するが、その後も両者が希望して雇用契約を更新する可能性はあるという。

 

カリキュラムの枠外で単位化はしていないが、学生は日々の状況を日報にまとめ大学に送信。最終レポートも提出する。トラブル発生時には大学と企業が連携して解決に当たる。

 

有償インターンシップは大学と企業等が連携して実施するもので、通常のアルバイトとは形態や目的が異なる。単に収入を得るだけでなく、社会に出て現場の仕事や状況を詳しく知る教育の一環として行われる。

 

給料を支払うことで受け入れ側は学生を「お客様扱い」せず、仕事の戦力として迎え入れる。その結果、学生は責任と緊張感を持って仕事に取り組める。顧客と対話したり、様々な問題に直面して実態を知ることが貴重な経験になる。

 

就職を控えた高学年向けのインターンシップは多いが、今回は低学年を対象にしたことも特徴。1年次の早期体験学習は短時間の見学にとどまり、学生によっては5年次の実務実習まで現場をよく知らない場合もある。低学年時に現場経験を積み、大学で学ぶ目的を再認識してもらって学習意欲の向上につなげる。将来の就職ミスマッチ抑制にもなるという。受け入れる企業側にとっても、学生との接点拡充は将来の人材確保につながる。

 

篠塚和正薬学部長は「実際の社会には様々な問題が存在する。自分が社会に出た時に、その問題をどう解決すればいいのかを考えてもらうことができれば、とても有益な取り組みになる」と期待をかける。

 

インターンシップの実務を担当する田内義彦教授は「現場を知り、学生のうちに何を勉強しなければいけないのかに気づいてもらいたい。報告会等でその体験を他の学生と共有できるようにしたい」と語る。

 

今後、春休みを含め年2回実施する計画。現在、受け入れ店舗の増加に向け西宮市薬剤師会と協議を重ねている。受け皿を拡充し、取り組む薬学生の数を増やす予定。薬系大学間の競争が激しくなる中、武庫川女子大の特徴的な薬学教育として確立したい考えだ。
 

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出典:薬事日報

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