医療

病院薬剤師不足に対策を~給与調査の実施求める声も【厚労省検討会】

薬+読 編集部からのコメント

7月13日、厚労省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」では、構成員から行政に対し、地域の病院薬剤師不足を解消する対応策を求める意見が相次ぎました。厚労省は都道府県、都道府県薬剤師会、病院薬剤師会などを対象に薬剤師の地域偏在の状況や課題などを調査した2021年度予算事業「薬剤師確保のための調査・検討事業」の結果も公表し、「薬剤師が不足している」との回答が病院で65%に上るなど、病院が薬剤師不足を強く実感している実態が明らかになりました。

厚生労働省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」が13日に開かれ、薬剤師偏在に関する厚生労働省の調査結果を踏まえ、構成員からは行政に対し、地域の病院薬剤師不足を解消する対応策を求める意見が相次いだ。病院と薬局との給与水準格差が偏在原因として指摘される中、業種別の給与調査実施などを要望する意見のほか、地元にUターン就職する人や人材不足の病院に就く人の奨学金を負担すべきなどの声も上がった。

厚労省はこの日の検討会で、都道府県、都道府県薬剤師会、病院薬剤師会などを対象に薬剤師の地域偏在の状況や課題などを調査した2021年度予算事業「薬剤師確保のための調査・検討事業」の結果を公表した。

 

地域偏在について、「薬剤師が不足している」との回答が病院で65%に上ったほか、2次医療圏の人口規模に関わらず、病院が薬局よりも「全く足りない」との回答割合が高いなど、病院が薬剤師不足を強く実感している結果となった。

 

武田泰生構成員(日本病院薬剤師会会長)は、「行政と医療現場で充足率に関する認識が異なる」と指摘。地域に必要な医療従事者を確保するための国の財政支援制度である地域医療介護総合確保基金の利用には行政の協力が必要として、「行政がしっかりと薬剤師不足、偏在を認識してほしい」と訴えた。

 

人材確保で課題となっている若手病院薬剤師の給与水準が薬局よりも安いことにも言及し、「年代別にどう変化しているか、生涯収入がどう変わるのかを業種別に大規模調査し、給与の変化に関するデータを取ってほしい」と要求。

 

「国立病院、自治体病院等は俸給表で決まっている。病院薬剤師間でも給与格差が大きいので、病院の種別でも給与調査すべき」と求めた。

 

安部好弘構成員(日本薬剤師会副会長)は、出身地域で勤務する薬剤師が相当な割合を占めるとして、「薬剤師不足の地域出身者の奨学金返済を一定程度支援するなど、県外に進学した薬学生がUターンするインセンティブが必要」と指摘。そのため、薬剤師の確保を自分事と認識し、学生のUターン就職に確実につなげるよう医療計画の中で薬剤師確保策を定めることを都道府県に求めた。

 

奨学金に関しては、野木渡構成員(日本精神科病院協会副会長)も「高度急性期病院など、不足している場所に行く人の奨学金を免除・半額にするか、何らかの資格を与えるなどしないと解決しない」と大胆な対策が必要と訴えた。

 

一方、この日の検討会では、「薬局薬剤師の業務および薬局の機能に関するワーキンググループ」の取りまとめも報告された。

 

安部氏は、取りまとめを尊重するとしつつ、調剤の外部委託実施については「予測のできない様々な影響が出ると懸念する。一部分における時間短縮や作業の効率性をもって効率化の評価としないことが重要」とクギを刺した。

 

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出典:薬事日報

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