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最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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2019年7月に注目の医薬にまつわる最新ニュースをわかりやすく解説! 今回ピックアップするのは「障害・有病者の就労意欲」「セルフメディケーション税制」のニュースです。

8割超の障害・有病者が「働きたい」/セルフメディケーション税制の課題

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 8割超の障害・有病者が「働きたい」——薬剤師にできる支援とは?
  • ・就労意欲のある障害・有病者は84.5%にのぼるという調査結果が公表された。
  • ・薬剤師は療養生活を送る患者さんの相談窓口となることで就労支援の支える存在となり得る。
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  • Topics 2 セルフメディケーション税制、認知度は高いのに利用率が低いのはなぜ?
  • ・セルフメディケーション税制に対する認知度は71.3%である一方、実際に利用したいと考えている人は11.0%にとどまる。
  • ・制度利用促進のためには、対象品目の拡大など要件の緩和がポイントのひとつ。
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Topics 1 8割超の障害・有病者が「働きたい」——薬剤師にできる支援とは?

2019年7月9日、厚生労働省は「自立支援に関する意識調査」の結果を公表しました。調査対象となった20~64歳までの障害・有病者※1000人において、「現在働いている」人は66.4%、「現在休職中である」人は6.8%、「現在働いていない」人は26.8%でした。
※障害・有病者:障害や難病、がん、糖尿病、精神疾患、脳卒中の後遺症、若年性認知症など日常生活や就労において支障となる心身の事情を抱えている人のこと。

■障害・有病者の就業状態

厚生労働省発表 みずほ情報総研株式会社「自立支援に関する意識調査」報告書 平成30年をもとに作成)

また、「仕事をしたい又は続けたい」と考える障害・有病者は84.5%にも上る一方、「就労において、制約(時間、場所、職務内容等)がある」(74.4%)、「治療と仕事を両立すること、または障害を抱えながら仕事をすることは困難」(66.3%)という回答が目立ちました。この結果からは、障害・有病者の就労意欲は高いものの現実的には就労を阻む壁があり、本人の自助努力だけでなく周囲のサポートを必要としている状況が浮かび上がってきます。

■障害や病気を有する者の日常生活や就労における支障の程度(複数回答可)

厚生労働省発表 みずほ情報総研株式会社「自立支援に関する意識調査」報告書 平成30年をもとに作成)

現在、国の方針では障害・有病者も地域の中で自分らしく、いきいきと生活できるようにすることが掲げられており、さまざまな就労支援も行われていますが、十分とはいえないようです。いつ不調が生じるか予測できない障害・有病者の就労には困難な面も多く、健康管理や有症時の対応支援も大きな課題となります。

従来、障害・有病者への医学的支援はかかりつけの医療機関が主体となって行われてきました。しかし、地域包括ケアシステムが整えられる中で、その役割は医療機関だけにとどまらず保健所などの公的機関、訪問看護ステーションなどにも拡がり、地域の薬局も大きな役割を担うことが期待されるようになっています。

具体的には、薬剤師一人ひとりが「かかりつけ薬局・薬剤師」「健康サポート薬局」の機能を支え、より高めていくことに尽きるでしょう。治療に必要な薬剤のことだけでなく健康に関する様々な知識を持った薬剤師が日々の療養生活や有症時の対応などの相談に乗ってくれることで、障害・有病者やその家族はとても安心できるはずです。そのことが、就労にあたって壁となる「治療との両立の困難さ」を乗り越えるための第一歩となるかもしれません。

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Topics 2 セルフメディケーション税制、利用率が低いのはなぜ?

2019年6月24日、日本OTC医薬品協会と日本一般用医薬品連合会が合同で生活者16万人を対象に行った「セルフメディケーション税制に関する意識調査」の結果が公表されました。生活者のセルフメディケーション税制に対する認知度は71.3%と高い水準にあるものの、実際に利用したいと考えている人は11.0%しかおらず、認知度と利用意向の間に大きな乖離がみられています。

ご存じの通り、セルフメディケーション税制は、個人がスイッチOTC医薬品を薬局やドラッグストアなどで購入した場合、その費用を医療費として所得控除できるものです。2017年1月1日から施行され、医療機関を受診することなく感冒薬などを自主服薬するための費用も所得控除の対象となることから、予防医療の観点からも一定のインパクトがある税制改革でした。

そもそもセルフメディケーションとは、世界保健機関(WHO)により「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義された概念です。セルフメディケーション税制は、国民が自身の健康管理や疾病予防に関する意識を高めるよう誘導し、その結果として増大の一途をたどる医療費に歯止めをかけることを狙いとして導入されました。したがって、セルフメディケーション税制の恩恵を受けるためには、健康診断や予防接種を受けるなど健康管理上の一定の取り組みをしていることが要件の一つとされています。

また、年間のスイッチOTC医薬品の購入額が1世帯で1万2000円を超えているとの要件もあり、そこまで額が達しないため対象外となってしまう人も多いと考えられています。こうした現状を改め、より多くの人がセルフメディケーション税制の対象となるよう、日本OTC医薬品協会などは対象品目の拡大や合計購入金額の引き下げなどを厚生労働大臣に要望していくということです。

セルフメディケーションを推進する動きは今後も加速することが予想されますが、その適正な実施のためには薬局やドラッグストアに勤める薬剤師による適切なアドバイスと管理が欠かせません。症状に合わせた適切な医薬品を提供し、医療機関での治療が必要と判断された場合には速やかな受診を促すことができるよう、幅広い知識とコミュニケーション能力を磨いていきたいものです。

※この記事に掲載された情報は2019年7月25日(木)時点のものです。

成田亜希子(なりた あきこ)

2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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