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最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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新型コロナウイルス感染拡大にともないマスク不足も深刻な問題となっています。プラダなどの有名ブランドやトヨタ自乗車などの異業種メーカーがマスク製造に続々参入するなか、耐久性・機能性・衛生面に優れた一般消費者用マスクを販売し売り切れ店続出となったのは、意外なジャンルのメーカーでした。

格闘用具メーカーの「洗える高性能マスク」が売り切れ続出

ラク~にまとめ読み
  • マスク不足が深刻化するなか、海外の有名アパレルブランドやトヨタ自動車、シャープなどがマスク製造に参入。
  • 格闘用具メーカーの株式会社イサミは、オフィスや工場で働く人のために「まかない商品」としてマスクを製造したところ大好評。社会貢献のため「洗えるストレッチマスク」として販売したところ、売り切れ店が続出。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、世界的にマスク不足が深刻化しています。そんな中、従来のメーカーではなく、異業種のメーカーによる一般消費者用マスク製造への参入が相次いでおり、連日大きな話題を呼んでいます。

中でも、その異色ぶりから薬読編集部が注目したのが、普段はボクシングやキックボクシングのグローブ、練習用ミットなど格闘用具を製造、販売する株式会社イサミが製造、販売を始めた「洗えるストレッチマスク」です。今回同社に取材し、マスク販売に至った経緯や、武道具メーカー製マスクならではの特色についてうかがいました。

不織布製マスクの8割は海外からの輸入品

政府では1世帯につき2枚の布製マスクの配布を開始していますが、それに対しても否定的な意見が根強く、ドラッグストアやスーパー、コンビニ等では相変わらず品薄状態がつづくなか、マスクの路上販売が出没するなど未曽有の現象となっています。

日本衛生材料工業連合会の統計調査によると、2018年のマスク生産量は55億3800万枚。家庭用マスクはこのうちの約77%にあたる42億8400万枚を占めています。全体に対する生産内訳では輸入数量は44億2700万枚、国内生産は11億1100万枚と国産比率は20%にとどまり、80%が海外からの輸入品です。そして、そのほとんどが中国製であることが、今回のマスク不足の主要因とも言われています。中国からの輸入が滞った時点で、このような事態に陥ることは必至だったと考えられます。

SNSで広がる手作りマスク

そんな中、マスクがなければ「自分で作ればOK」とばかりに、改めて何度でも洗って使える布製マスクが見直されたり、SNSや動画サイトを通じて、数多くの「マスクの作り方」が紹介されたりしています。さらに二次的な現象として、ミシンの売り上げが急上昇しているそうです(参考1)。

さらに、もう一つの注目すべき現象は、本来は別のモノを製造販売している異業種メーカーによる参入です。

異業種が次々にマスク製造に“参戦”!

まずはラルフ・ローレン(米国)、プラダ(イタリア)、ブルックス・ブラザーズ(米国)など海外の有名アパレルメーカーが医療用マスクや防護服の製造を宣言して話題となりました。日本が誇るトヨタ自動車(本社・愛知県豊田市)やアップル社(米国)、NIKE(米国)などは顔全体を覆ってしまう、医療用防具マスク(医療用フェースシールド)の生産を発表。そのアイデアと生産力には全世界から期待が集まっています。

またシャープ株式会社(本社・大阪府堺市)では三重・多気工場にて不織布製マスクの製造に乗り出し、日清紡ホールディングス株式会社(本社・東京都中央区)ではワイシャツ生地を使用したマスクの生産、有名アスレチックブランドとしておなじみのニューバランス(米国)では、シューズ制作のノウハウを生かしたスポーティーなマスクを発表して話題となっています。

神戸市長田区のケミカルシューズメーカー3社が共同設立した一般社団法人「Link」では、靴の製造に使う、ナイロン製ウレタンを転用したマスクの製造販売に乗り出す(毎日新聞、4月9日より)など、各分野のメーカーがそれぞれの得意分野を生かす形でマスク製造にアプローチしています。

その他にもブラジャーなど女性用下着製造のノウハウが生かした下着メーカー、伸縮性に富んだ生地の立体縫製はお手の物である靴下メーカーなどの参入も各地で見られ、新型コロナ騒動の渦中においてマスクの生産状況は一気にあわただしさを増しています。

格闘用具メーカーのきっかけは“まかない”用?

そんな中、異色さで一際目立つのが、ボクシングやキックボクシング、空手などの格闘技、武道用具を製造販売している世界的なメーカー・株式会社イサミ(本社・埼玉県久喜市)が販売する「洗えるストレッチマスク」です。

製造のきっかけは社員さんや工場で働く人たちをコロナ感染から守るためにマスクが必要となったことでした。

もともとグローブやミットなど格闘用具の生産で、複雑で繊細な曲線への対応は不可欠。顔やボディにフィットする製品の製作はお手の物です。「ならば自前で作ってしまえば?」となり、ササッと図面を描きつつ型紙は完成。何度か手直しを繰り返した後に、格闘技の世界では世界的ブランドであるISAMI製のマスクが完成しました。

素材には、選手が練習や試合で身につけるタイツなどに使用されている頑丈で伸縮性のある生地を使用。洗濯を繰り返しても生地が傷まない特性があります。また格闘用具製造のノウハウが生かされたデザインから、顔の形にピッタリとフィットするとあって着け心地は抜群。中のフィルターを簡単に入れ替えられるタイプとなっているため、清潔さも保てます。

これをオフィスや工場で働く人たちに「まかない商品」として使用してもらったところ評判が高まり、「ならばこれを売ってみたら?」という意見が出始めて、同社では社会貢献の一環として1枚1000円前後(Sサイズ1000円、Mサイズ1100円、Lサイズ1200円、税別)にてマスク発売をスタートしたのでした。

株式会社イサミ製のグローブ(左)と洗えるストレッチマスク

すると発売同時とともに、評判が評判を呼び、売り切れ店が続出。4月に入ってからは販売をいったん停止したほどです。

「そもそも販売用ではなく、社員用のためのマスク製造だったのですが、売れすぎてしまったおかげで、今も工場のミシンが止まることなく動いている感じです」(イサミ営業部員の佐々木さん)。

同社ホームページによると次回の注文受付は5月中旬を予定しているとのこと。思わぬ誤算でマスクが評判を呼んでしまったようですが、コロナ騒動が終息した後も、そのマスクを定期的に販売し続けるかどうかに関しては未定だそうです。

異業種の参入で高性能マスクが誕生

新型コロナウイルス感染拡大の終息の目処はいまだ立ちませんが、感染者が意図せず飛沫感染させてしまうリスクを軽減できる「マスク」について、これほどまでに注目が集まったことはありません。また多くの異業種産業がマスク生産に参入したことで、さまざまな角度から、より高性能なマスクが誕生することになりました。感染流行下での正しい使い方やその意義すら知られていなかったマスクの価値、ありがたみを見直しつつ、一刻も早い事態の収束を願うばかりです。

参考文献・URL
朝日新聞デジタル「マスク不足でミシンが人気 メーカー『かなりの驚き』」(2020年4月9日)

文:薬読編集部

 

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