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2019年8月は「新薬の治験で健康成人男性が死亡」「薬学部に人気のかげり?」のニュースをピックアップし詳しく解説!

新薬治験で健康成人男性1人が死亡/薬学部人気にかげり?

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 新薬治験で健康成人の男性被験者1人が死亡
  • エーザイ株式会社が抗てんかん薬「E2082」の治験で男性被験者1人が死亡したことを発表。現在当該の治験は中止されており、投薬と被験者死亡の因果関係を調査中。
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  • Topics 2 薬学部人気にかげり? 大学間格差が鮮明に
  • 2019年度の私立薬科大学(薬学部)の入社志願者数が前年度から6746人減少し、7年ぶりに8万人台にまで落ち込んだ。
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Topics 1 新薬治験で健康成人の男性被験者1人が死亡

2019年7月30日、エーザイ株式会社は、同社が国内で実施していた臨床第Ⅰ相試験(治験)において男性被検者1人が死亡したことを発表しました。厚生労働省によれば、2013年以降に国内で行われた治験で被験者が死亡するのは初めてとのことです。現在、当該の治験は全面的に中止されており、投薬と被験者死亡との因果関係の調査が進められています。

問題の治験で投薬されていたのは、抗てんかん薬「E2082」。現在販売されている抗てんかん薬ペランパネル(商品名フィコンパ)の次世代製剤として研究開発が進められてきた新薬です。「E2082」は、脳内のAMPA受容体に特異的に結合しててんかん発作を抑える作用を持ち、2017年11月から国内で第Ⅰ相試験が開始されました。現在までに第Ⅰ相試験の対象となったのは国内の日本人・白人の健康成人118人。また、2018年10月からはアメリカで少数のてんかん患者さんを対象とした第Ⅱ相試験が開始されています。

ご存じの通り、治験は、新たに開発された薬剤や治療法の安全性や効果を確認するための試験です。まず3~5年をかけて動物を対象にした実験が行われ、ここで十分な安全性や効果が立証できたら、次の段階として「ヒトを対象にした実験」(=治験)が始まります。

治験には3つの段階があり、「第Ⅰ相試験」は健康成人を対象に行われ、副作用の発現や排出時間などのモニタリングが行われます。そして、「第Ⅱ相試験」では、少数の被験者に新たな薬剤の投与や治療を行い、治療効果や副作用をモニタリングします。同時に、最適な投与量や投与間隔などを調べる試験も行われます。最後の「第Ⅲ相試験」では、より多くの被験者を対象として、新たな薬剤や治療法の効果や副作用などに関するデータを集め、最終的な調整を行います。

動物実験で安全性が立証されているとはいえ、特に第Ⅰ相試験はヒトにおける安全性は未知の状態で行われます。被験者には健康問題のない成人が選ばれますが、100%の安全性を保証することはできません。

今回亡くなった被験者は、「E2082」を服用してから数日間は特段の副作用を認めなかったものの、その後に神経が過敏になるという症状を訴えていたそうです。「E2082」が被験者の死亡に直接関与したかどうか現時点では不明ですが、治験にはリスクが伴うことをあらためて銘記したいものです。

治験は病院のほか調剤薬局などでも行われ、薬剤の受け渡しや副作用の聴取などに薬剤師が関与することも少なくありません。その場合、薬剤師は被験者に直接接する機会が多いため、被験者の状態変化や症状の訴えなどを取りこぼさないように心がけ、治験の安全性を高めるよう努めることが求められます。

Topics 2 薬学部人気にかげり? 大学間格差が鮮明に

2019年度の「私立薬科大学(薬学部)入学志願者調査」(日本私立薬科大学協会)によると、入学志願者数は8万9156人にとどまり、前年度比で6746人減少したことが分かりました。私立薬学部の入学志願者数が8万人台に落ち込んだのは7年ぶりで、倍率も7.9倍とピーク時からなだらかな下落傾向にあるとのことです。

長引く不景気の影響もあり、一生ものの国家資格であり、安定した就業が望める薬剤師への登竜門となる薬学部は、非常に高い人気を集めてきました。薬学部が6年制に変更される2005年以前、私立薬学部の倍率は20倍ほどにもなっており、まさに「狭き門」でした。6年制に変更された2006年以降は、私立薬学部の増加も相まって倍率は10倍前後に落ち着いています。しかし、他学部に比べるとやはり高い倍率を維持してきたといえます。

入学志願者数の減少というニュースは分かりやすく注目を集めると思われますが、それ以上に注目したいのは大学間の入試倍率の開きがより拡大していることです。倍率は高い順に近畿大学(29.4倍)、武蔵野大学(22.2.倍)、摂南大学(21.7倍)が名を連ねています。現在、国公立・私立を合わせて全国に75の薬学部がありますが、「安定した国家試験合格実績がある」「古い歴史を持ち、研究実績がある」「立地が良い」などアピールポイントが明確な薬学部に人気が集中する傾向にあります。

他の学部、あるいは大学自体が生き残りを賭けて熾烈な競争を繰り広げている中、これまで比較的安泰だった薬学部も決して他人事ではない時代がやって来るかもしれません。母校を未来へ残していくためにも、卒業生である薬剤師は臨床や研究などそれぞれの分野で社会貢献すること、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得するなどしてキャリアアップに励むことが大切だといえそうです。

<参考URL>
【私立薬大協19年度調査】志願者8万人台-薬学人気のピークアウト鮮明に(薬事日報2019年7月29日)

<関連記事を読む>
・福岡県南部に薬学部新設へ~臨床に強い薬剤師を育成
・【需給調査】薬剤師数は長期的に余剰~新設薬学部、供給増の要因に

※この記事に掲載された情報は2019年8月29日(木)時点のものです。

成田亜希子(なりた あきこ)

2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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