薬剤師のためのお役立ちコラム 公開日:2019.09.24 薬剤師のためのお役立ちコラム

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2019年9月の医薬ニュースは、今後の薬剤師に求められる役割にまつわるトピックス! これから先、「薬剤のことだけ知っていればいい」という意識では通用しなくなっていきます。

薬剤師が子宮頸がん検診を啓発/「セレキノンS」が第2類へ引き下げ

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 薬局薬剤師が子宮頸がん検診を啓発——有用性調査スタート
  • 愛知県内4か所の薬局を訪れた20歳以上の子宮頸がん検診無受診者に対し、薬局薬剤師が受診啓発を行うことでどのような意識変容が生じたかを調べる研究が開始された。
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  • Topics 2 「セレキノンS」のリスク区分が第1類から第2類へ引き下げ
  • 一般用医薬品「セレキノンS」が第2類へ引き下げられることが決定。ただし、医師による診断の有無などを薬剤師がチェックシートで確認することが条件となる。
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Topics 1 薬局薬剤師が子宮頸がん検診を啓発——有用性調査スタート

名城大学薬学部とスマートヘルスケア協会の協同で、「薬局薬剤師による子宮頸がん検診啓発活動の有用性を評価する調査研究」が実施されています。愛知県内4か所の薬局を訪れた20歳以上の子宮頸がん検診無受診者に対して、その検診受診の啓発を薬局薬剤師が行うことの有用性を調査するものです。

この調査研究では、薬局薬剤師が子宮頸がんの特徴や検診受診の重要性などを説明し、それにより無受診者にどのような意識変容が生じたかアンケートで確認します。被験者数は200人を目標とし、2021年3月まで実施する予定とのことです。アンケートで集めたデータは統計的に解析し、その結果をもとに薬局薬剤師が行う検診受診勧奨のより効果的な方法を検討する狙いです。

子宮頸がんは20~40代の女性に好発しますが、この年代の女性のがん検診受診率は決して高くありません。しかし、子宮頸がんはステージIでの5年生存率が90%に達し、早期発見・早期治療により良好な予後が望めるがんの一つだといえます。子宮頸がんは早期の段階では自覚症状がないことも多いため、定期的にがん検診を受けることが重要です。

子宮頸がん検診については従来も様々なメディアやイベントなどで啓発されてきましたが、十分な効果があったとはいえない現状があります。そこで、子宮頸がんの正しい知識や検診の重要性などについて薬剤師が対面式で伝えることで、より多くの女性を受診行動につなげることができると期待されているわけです。

かかりつけ薬局や健康サポート薬局の登場もあり、薬剤師には健康に関する知識を網羅することが求められるようになりつつあります。「薬剤のことだけ知っていればよい」では通用しなくなるのです。今回の調査研究は始まったばかりですが、今後も様々な医療的啓発を薬剤師が担う機会が増えてくるかもしれません。これからの時代の薬剤師としては、患者のニーズにこたえられるよう日ごろから最新の医療トピックスにアンテナを張り、自己研鑽を続けていくことが必要でしょう。

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Topics 2 「セレキノンS」のリスク区分が第1類から第2類へ引き下げ

2019年8月27日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は、過敏性腸症候群に対する一般用医薬品である「セレキノンS」(有効成分:トリメブチンマレイン酸塩)のリスク区分を第1類から第2類へ引き下げることを決定しました。ただし、患者さんの自己判断による誤った服用を避けるため、医師による診断の有無などを薬剤師等がチェックシートにより確認することを条件としています。

一般用医薬品は副作用が少なく、健康に害を及ぼすリスクが比較的低いとされ、医師の処方なく薬局やドラッグストアなどで購入可能となっていますが、医薬品である以上は完全にリスクをなくすことはできません。そこで、一般医薬品は副作用などのリスクの高さに応じて第1~3類に分類され、リスクが高いものについては購入方法などに制限が設けられています。

ご存じの通り、第1類は重大な副作用を引き起こす可能性のある薬剤が該当し、約120製品が分類されています。その販売にあたっては薬剤師が当該薬に関する情報提供を行うことが義務付けられており、薬剤師が危険と判断した場合は提供を拒否する必要があります。一方、第2類はまれに重大な副作用を引き起こす可能性のある薬剤が該当し、その販売にあたっては薬剤師や登録販売者が対応しなければなりませんが、当該薬に関する情報提供は「努力義務」とされています。

なお、「セレキノンS」は2015年8月に販売開始されましたが、治験段階も含めて腹痛や下痢など約50件の副作用が報告されているものの、重篤な副作用はこれまでのところ報告されていません。そのため、第1類から第2類へ区分変更となったわけです。このようにリスク区分が引き下げられる薬剤は、今後も増えていくことが予想されます。

近年ではドラッグストアなどに勤務する薬剤師も増えており、一般用医薬品を扱う機会が多くなっていると考えられます。どの薬剤がどのリスク区分に該当するのか常に把握して、正しく管理・販売することが大切です。また、購入者から相談を持ちかけられた場合は、いずれのリスク区分に該当する薬剤であっても応じることが義務とされています。一般用医薬品でも日常生活に支障をきたすような副作用を引き起こす可能性は否定できないので、購入者からの相談に対して速やかに回答できる準備を整えておきましょう。

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※この記事に掲載された情報は2019年9月24日(火)時点のものです。

成田亜希子(なりた あきこ)

2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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