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最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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2020年1月にピックアップするのは薬剤師であれば必ずチェックしておきたい大切なニュース。「ゾレア皮下注用の適応追加」「妊婦加算の事実上の廃止」に対して、薬剤師として今後どのように対応をするべきかチェックしましょう。

「ゾレア皮下注用」の適応に季節性アレルギー性鼻炎が追加/「妊婦加算」の廃止で薬剤師がすべきこと

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 「ゾレア皮下注用」の適応に季節性アレルギー性鼻炎が追加
  • ノバルティスファーマのヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤「ゾレア皮下注用」の適応として重症の季節性アレルギー性鼻炎が追加承認。季節性アレルギー性鼻炎の適応追加承認は世界で初めて。
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  • Topics 2 「妊婦加算」が廃止……薬剤師としてすべきことは?
  • 2018年4月に導入後、各方面から強い反発の声が上がっていた「妊婦加算」。2019年1月から凍結されていたが、2019年12月、厚労省は事実上廃止することを決定した。
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Topics 1 「ゾレア皮下注用」の適応に季節性アレルギー性鼻炎が追加

2019年12月11日、ノバルティスファーマが製造・販売するヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤「ゾレア(商品名)皮下注用」の適応として、既存治療では効果不十分である重症の季節性アレルギー性鼻炎が追加承認されました。ゾレアは現在、世界80カ国以上で気管支喘息や慢性蕁麻疹の治療薬として承認されており、日本でも2009年には気管支喘息、2017年には慢性喘息の治療薬として承認を受けています。さらに季節性アレルギー性鼻炎の適応追加を承認されたのは、今回が世界初だということです。

ゾレアは、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体に結合し、その働きを直接的に阻害することでアレルギー反応を強力に抑える作用を持ちます。気管支喘息などのアレルギー反応を引き起こす疾患に対して高い治療効果が期待できる一方で、薬価が高いことでも知られ、皮下注用150mgで約4万5000円にもなります。しかも投与は1回で終わらず、重症度に応じて定期的な投与が必要です。

季節性アレルギー性鼻炎は、IgE抗体により引き起こされるI型アレルギーの一つです。これまで季節性アレルギー性鼻炎に対しては、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイドなどによる薬物療法や、鼻粘膜焼灼術などが行われてきました。しかし、重症例では効果がみられないことが多く、重度の鼻閉や鼻汁に悩まされ日常生活に支障をきたすケースもありました。

ノバルティスファーマは、このような患者さんを対象にゾレアを投与する治験を続けてきました。国内第Ⅲ相臨床試験において、ゾレアを投与した群とプラセボを投与した群を比較したところ、ゾレアを投与した群で有意な症状改善が認められたこと、安全性の懸念が認められなかったことが示され、季節性アレルギー性鼻炎の適応追加が承認される運びとなったのです。

これにより、従来は十分な症状改善につながる治療法を見出せなかった患者さんにも新たな治療選択肢が生まれました。今後はアレグラ(商品名)など、市販薬と同一または類似した成分が含まれるアレルギー薬が保険適用されなくなる見通しであることからも、今回のことは花粉症の患者さんにとって朗報だといえるでしょう。

一方で、医療費適正化のため、季節性アレルギー性鼻炎に対するゾレアの処方には厳しい基準が課せられます。適応となるのはあくまで「重症」または「最重症」の患者さんのみです。薬剤師としては、ゾレアに対する正しい知識を身に付け、他の医療従事者にも情報提供するとともに、「最適使用推進ガイドライン」にのっとった使用がなされているかをチェックしていきましょう。

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Topics 2 「妊婦加算」の廃止で薬剤師としてすべきことは?

2019年12月20日、厚生労働省は「妊婦加算」を事実上廃止することを決定しました。「妊婦加算」とは、妊娠中の女性が外来受診した際に加算される医療費のことで、初診の場合75点(750円)、再診の場合38点(380円)となっていました。妊婦さんを診療する際には、胎児に対する影響を踏まえて薬剤を選択するなど特別な配慮が必要であること、頻度の高い妊娠中の合併症や診断が困難な疾患を念頭に置く必要があることから、2018年4月に導入されたものです。

しかし、受診した妊婦さんも一部を窓口負担することになるため「妊娠税」などと呼ぶ声もあり、各方面から強い不満の声が挙がったため、2019年1月から当面の間は凍結されることになり、ついにはこのたび廃止される運びとなったわけです。とはいえ、産婦人科以外でも妊娠の継続や胎児に影響のない検査・治療に詳しい医師が増えてくれることは望ましく、妊婦加算の導入でめざした「丁寧に配慮した診療」が依然として必要であることには変わりありません。

診療を受ける妊婦さんが最も心配することは、処方された薬剤の胎児に対する影響だと言っても過言ではありません。薬剤師は日ごろから患者さんと対面し、薬剤を処方する医師との橋渡しをする役割を担っています。妊婦さんから不安の声が聞こえたときは、正確な知識をもとに適切なアドバイスをしてあげてください。

また、産婦人科以外の医師の中には、妊婦さんに対する禁忌薬をよく知らない人がいることも事実です。薬剤師の皆さんは、万が一、妊婦への安全性が確立されていない薬剤が妊婦に対して処方されていたら、迷うことなく医師に疑義照会してください。妊娠初期には外見から妊娠しているかどうか判別することは困難なので、妊娠可能性のある年代の女性に接するときは必ず問診票などをチェックして、妊娠の有無を確認することも大切です。

妊婦さんが安心して医療機関を受診できる体制づくりのためにも、薬剤師の皆さんは欠かせない存在です。新しい薬剤が次々と登場する中で常に正しい判断をするためには、日々の自己鍛錬も忘れてはならないでしょう。1人でも多くの妊婦さんの力になれるよう、引き続きの努力をお願いしたいと思います。

▼地域の患者さんを支える存在・薬局薬剤師のやりがいとは?

<参考URL>
QLIFE ゾレア皮下注用150mgの基本情報
中央社会保険医療協議会 総会(第404回)議事次第 資料

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※この記事に掲載された情報は2020年1月28日(火)時点のものです。

執筆/ 成田亜希子(なりた あきこ)

医師・ライター。2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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