インタビュー 公開日:2022.06.20更新日:2022.06.21 インタビュー

薬剤師が転職で失敗を避けるには?体験談から学ぶ成功のコツ柿間隼志さん

薬剤師が転職で失敗を避けるには?体験談から学ぶ成功のコツ柿間隼志さん

薬剤師が転職で失敗を避けるには?体験談から学ぶ成功のコツ

「このまま今の仕事を続けるべき?」と疑問が浮かんでも、軽々と転職に踏み切れる薬剤師はそう多くないでしょう。特にはじめての転職では未知のことが多く、不安に感じることが多いと思います。では、薬剤師が満足度の高い転職を実現させるためには、どうすればよいのでしょうか。自身も薬剤師であり、薬剤師専門のキャリア支援を手がける株式会社MEDIKLECT(メディクレクト)の柿間隼志さんに、自身の転職体験談と転職成功のコツを伺いました。

 

1.ドラッグストア4年目で転職を考えた理由

初めて転職を意識したのは、新卒で就職したドラッグストアに勤めて4年目のことでした。私はもともと臨床よりもビジネスの世界で勝負したいという志向がありました。さまざまな店舗で経験を積んできましたが、あるときふと「自分は名刺の渡し方ひとつ知らないな」と感じたのです。

ドラッグストアの現場でのB to Cのスキルには自信が持てるようになったものの、いわゆる会社員としてのB to B的なスキルは身についていないことにハッと気づいて、他の業界にも目を向けてみようと思い立ちました。

まずは転職の情報収集から始めようと軽い気持ちで人材紹介会社に登録したところ、ほどなくしてキャリアアドバイザーから連絡が来ました。面談を通して、一口に薬剤師と言ってもさまざまなキャリアが存在することを知り、一気に視野が広がったことを覚えています。

私の希望を聞いたキャリアアドバイザーは「柿間さんはCRAも向いていそうですね」と話してくれたのですが、当時はどんな職種か見当もつかなかったというのが正直なところ。詳しく聞いてみると、医薬品業界でビジネスマンとして活躍できる、薬剤師としての知見が役に立つ、希望年収も近いといったことが分かり、グッと引き込まれていきました。

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とはいえ、当時働いていたドラッグストアでは上司との関係性が良く、社内でのキャリア構築も順調だったので、それを捨ててまで挑戦する必要があるのか悩んだことも事実です。

それでも転職を決断したのは、CRA職へのあこがれが増していたことに加えて、「自分の市場価値を高めたい」という思いが強かったから。大きな組織の中で理想通りにキャリアアップできるかは、運の要素も多分に含まれてしまうものですが、自分の努力やスキルの結果としてではなく、運任せで将来が決まってしまうことは避けたいと考えたのです。

2.未経験での転職は面接対策に注力

転職活動はドラッグストアの仕事を続けながら行い、約4か月間でCRA職に転身することができました。といっても、順風満帆に進んだわけではありません。

まず、面接日に休みをとるよう調整すること自体、想像していたよりも大変でした。ドラッグストアはシフト制だったのですが、休みが不定期ということもあり、先方から提示された日程に合わせて動けるかヒヤヒヤした場面も少なくありませんでした。

苦労して漕ぎ着けた面接も、最初のうちは手ごたえがなく、4社から連続で不採用の連絡……。その原因は明白で、業界知識や語学力の不足、そして面接経験の少なさだったと思います。

初回の面接後に「これはまずい」と痛感し、休日や仕事終わりの時間を勉強・準備に費やしました。未知の業界に挑戦することもあり、しっかりと関連書籍を読み込んで「門外漢ながら必死に学んできた」ことをアピールするのは重要だったと思います。また、CRA職は語学力の高さも有利になります。私は決して英語が得意ではありませんでしたが、この機会にスキルアップをはかり、仕事で使える場面を少しでも増やそうと努力しました。

もちろん、一般的な面接対策も欠かせません。人材紹介会社のキャリアアドバイザーから想定質問をもらい、自宅で回答の文面を練り込んで、声に出しながら何度もトレーニングしました。とくに志望動機は、企業ごとに注力している領域や社風に合わせて文面を変えるようにしました。それに加えて、キャリアアドバイザーには実践的な面接練習に付き合ってもらい、ときにはあえて圧迫面接のようなハードなやり取りも練習していたため、自信を持って本番に臨むことができました。

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こうして少しずつ力を付けていき、後半に面接を受けた3社からは、すべて内定をいただくことができました。仕事を続けながらの転職活動は容易とはいえませんが、決して高すぎるハードルでもないと思います。

日程調整などを考えると繁忙期は避けたほうがベターでしょうが、「もう少し状況が落ち着いてから」「もっと勉強が進んでから」と先延ばしにしていると、いつまでたっても前に進むことはできません。すべての準備が完璧に整う瞬間は永遠に訪れない――。これこそ転職における真実であり、不完全ながらも恐れず行動する力が必須だと思います。迷ったら動く、それがすべてなのです。

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3.転職活動を振り返って考える反省点

今になって冷静に当時を振り返ってみると、いろいろと反省点も浮かんできます。まずは、あまりに焦りすぎていたこと。

「他業界にチャレンジしたい」という思いが強すぎて、キャリアアドバイザーから提案されたCRA職にすぐ飛び付きましたが、他の選択肢も入念に検討すべきだったと思います。私の場合、結果的にはCRA職が肌に合っていたのでよかったものの、数少ない人生の分岐点に立っていたわけなので、もう少し間口を広げて納得できるまで情報収集しても良かったのかなと。

また、目先の年収にこだわりすぎる必要はなかったとも感じます。生活基盤を整えるという意味でも年収や給与に注目することは大切ですが、転職直後の年収が高くても、すぐに辞めることになるようなら何の意味もありません。

とくに20~30代であれば、「5年後、10年後はどうなっている?」と中長期的な目線で物事を考えてほしいです。自分に合った仕事であれば楽しく取り組めるし、楽しく取り組めることほど成果も出やすいため、最終的には年収も上がっていく傾向にあるからです。

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4.薬剤師の転職やキャリアを柔軟に考えてほしい

CRA職への転職後、2019年に起業し、自分自身の経験も生かして現在は薬剤師の転職やキャリア開発を支援する立場にいます。「転職は市場価値を高めるチャンス」という観点はやはり大切だと思っています。特定の企業や業界で一意専心するのもすばらしいことですが、それ以外の世界を知るからこそ得られる知見は大きいものです。

この記事を読んでくださっている方の中には、今まさに転職を検討したり迷ったりしている方もいるでしょう。環境を変えるのは本当に怖いことだし、「今のままでも大きな問題はないし……」と迷う気持ちが出てくるものです。

今の仕事が心底楽しいと思っていれば迷いは生まれないので、どこかに違和感を覚えていたり、モヤモヤしたりするようであれば人生の岐路に立っている証拠かもしれません。もちろん、今の職場でがんばるという結論もいいと思います。ですが、例えば他業界を経験したうえで、元の業界に再チャレンジするという柔軟な判断もアリではないでしょうか。

私も経験があるのでわかりますが、薬剤師資格を持つ方の多くは「薬剤師としての自分」に縛られて、自由な発想でキャリアを考えにくいことがあると感じます。ですが、薬剤師の経験を生かせる場は想像以上にたくさんあります。視野を広げて自分らしい働き方ができる場を見つけに行ってほしいと思います。

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撮影/和知 明[ブライトンフォト] 取材・文/中澤仁美[ナレッジリング]

 

柿間隼志(かきま・たかし)
薬剤師/株式会社MEDIKLECT 代表取締役

2013年に大学卒業後、大手ドラッグストアに就職。2017年に転職し、大手CROでCRA(臨床開発モニター)として勤務。2019年、薬剤師のキャリア開発や転職支援をする株式会社MEDIKLECTを創業。自らの実体験をベースにしながら、薬剤師の転職支援、フリーランス薬剤師の就業斡旋事業を行っている。
https://freelance.pharmacist-career.com/
また薬剤師のキャリアの幅を広げるために「薬剤師×IT」を軸とした、薬剤師の免許を活かしつつ様々なスキルを身につけられるようなサービス「MEDISKILL」も運営中。
https://mediskill.mediklect.co.jp/school/

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