インタビュー 公開日:2021.08.31 インタビュー

薬歴入力を音声化して業務効率アップ! 株式会社ファーマシィの取り組み

薬歴入力に時間がかかってしまうという薬剤師も多いのではないでしょうか。今回は、グループ薬局全体へ音声薬歴を導入した株式会社ファーマシィ医療連携部の孫部長と、調剤後の患者フォロー、在宅訪問、介護相談にも注力する健康サポート薬局であるファーマシィ薬局恵比寿中央薬局長の辻先生に導入の成果について伺いました。(2019年9月取材)

お話を聞いたのは……
株式会社ファーマシィ 医療連携部 部長 孫尚孝さん(左)/ファーマシィ薬局恵比寿中央 薬局長 辻 美和子さん(右)

 

本記事は株式会社ネクスウェイが提供する「医療情報おまとめ便サービス」特集2019年12月号P.5-6「業務効率化の取り組みをレポート! 薬局インタビュー②」を再構成したものです。

【薬局本部の声】業務効率化のためのツールは、根付いて活用されてこそ、効力を発揮します

■あまり期待はしていなかったのですが、テスト運用をしてみると大きな成果が!

孫さん ファーマシィでは、早くから調剤後の患者フォローや在宅訪問などに取り組み、その業務が多様化しているため、以前から業務効率化への課題意識は高く、今までにもさまざまなツールを導入したり、また導入を検討したりしてきました。音声薬歴入力支援システムは社内の使用経験者から勧められて導入を検討したのですが、正直、当初は成果が出るのか半信半疑でした(笑)。

 

 

ところが、グループの中で選んだ9つの薬局でのテスト運用を始めてみると、すぐに薬歴入力に要する時間が2割ほど削減され、3ヵ月ほどのトライアル期間での音声入力レベルの向上により最大4割減少するという成果が出ました。早い段階でパフォーマンスを確認できたことと、恵比寿中央店のようにもともと薬歴入力に工夫をしておりパフォーマンスが高かった店舗でもしっかりと成果が出たことから、本格導入を決めました。

■導入後のフォローをしっかりすることで、ツール使用は浸透し、なくてはならない存在に

孫さん 一部店舗でのテスト運用を経て、2017年3月に全国にあるすべての店舗に現在の音声薬歴ツールを導入したのですが、これまでとやり方が変わることに対して、スタッフの反応はよくありませんでした。しかし、さまざまな効率化ツールのトライ&エラーをくり返してきた経験から、これは想定内の反応でした。

まずは、定期的に音声入力レベルを確認することで、音声薬歴の使用者・不使用者のチェックを行いました。その結果、やはり音声薬歴を使っている人と使っていない人のパフォーマンスには大きな差が出ていましたので、そのことを周知しました。また、スタッフへのヒアリングを基にツールの設定の調整や、スタッフには効率的な使用方法についても周知するようにしました。

 


このような導入後のフォローを行ったところ、着実に音声薬歴は浸透していき、結果としてスタッフから「劇的に薬歴の記載時間が短縮された」「薬歴の内容が充実した」「肩こりが減った」「精神的負担が減った」という喜びの声が届くようになりました。現在では、音声薬歴入力は弊社の薬局業務になくてはならない存在になっていますので、新入社員の研修にも組み込む標準の業務ツールとなっています。

過去に薬局業務のタイムスタディ調査を実施した際には、まだまだ効率化を図るべき業務があることがわかりました。機械化できるところは積極的に取り入れて、今後も薬局内のさまざまなオペレーションでの効率化を図るべく、ある程度のコストをかけてもシステムの導入などを検討していきたいと考えています。

 

【現場の声】音声薬歴の導入で、作業効率がアップして、時間的・精神的な余裕が生まれました

■薬歴入力が大幅にスピードアップ。入力時間は約半分に!

辻さん ファーマシィ薬局恵比寿中央は、薬剤師3名、メディカルパートナー2、3名が常駐し、厚生中央病院(総合病院)の処方箋を応需している薬局です。薬歴入力は1日に1人当たり20~30件程度。音声薬歴の導入以前は、キーボードでの薬歴入力を行っていました。もともとあまり薬歴には時間をかけないよう、1件につき3分くらいという目安で行うようにしていましたが、基本的には業務の空いている時間で薬歴入力を行いますので、忙しい日などは薬歴入力のために残業をすることも少なくありませんでした。

 

 

そんなときに音声薬歴のテスト運用が始まり、使ってみると患者さん1名あたりの薬歴の記載時間が半分程度になりました。最初のうちは、使い慣れないのと音声入力のレベルの具合で思うように入力できず、特にキーボードで問題なく薬歴入力できていたスタッフなどはイライラすることもあったようですが、使っていくうちに変換も思い通りにいくようになり、1~2ヶ月で慣れて、キーボード入力から音声入力へと移行していきました。移行に際しては、丁寧なレクチャーがあったのもスムーズな移行の一因になったと思っています。

■業務フローが改善され、効率がアップ。患者さんとの時間を増やすことができました

辻さん 音声薬歴によって作業スピードが上がり、服薬指導の直後にさっと薬歴入力を済ませることができるようになったため、薬歴入力が服薬指導業務の一環となり、薬歴入力のための時間を確保する必要がなくなりました。医師のカルテ作成と同様の効率的な業務フローに改善されたことで、残業はほとんどなくなり、営業終了時に残タスクがないことで精神的に楽になったという声も多く聞きます。

 

隣の人に聞こえるか、聞こえないかくらいの小さな声でも感知するので、他の患者さんに聞こえる心配もないとのこと。

 

辻さん 以前だとメモを元に思い出しながら薬歴入力をするということがほとんどで、薬歴の似たような患者さんがいると思い出すのに少し時間がかかったりしたのですが、そういう点でも時間の短縮になっていると思います。

時間的にも精神的にも余裕が生まれたことで、例えば、かかりつけの患者さんへの調剤後のフォローを行うなど、患者さんとのコミュニケーションに使う時間を増やすことができるようになったのも大きな利点だと感じています。また、スタッフを管理する立場から言えば、パソコン操作のリテラシーにかかわらず、全スタッフが同等のパフォーマンスを出せるのも有り難いですね。音声入力に抵抗があるスタッフもいますが、使っていけば必ず業務がラクになることを私自身が実感しているので、使用を勧めています。

 

<その他音声入力のよいところ>

添付文書
療用医薬品の添付文書だけでなく、OTC医薬品についても作業しているパソコンで開くことができるため、わざわざネットワークに繋がっているパソコンに移動しなくてよく、患者さんを待たせることなく服薬指導ができる。

 

クラウド
グループ薬局なので、他の薬局に出向くこともあるが、クラウドで共有されているので、どこに行ってもいつもと同じ音声入力レベルで業務ができる。

 

※メーカーにより異なります。

 

出典:株式会社ネクスウェイ「医療情報おまとめ便サービス」特集2019年12月号

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