医療機器

「ハーボニー」に偽造品発覚‐奈良県内の薬局チェーンで確認

薬+読 編集部からのコメント

2017年1月17日(火)、奈良県内の薬局で発見されたC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品。詳細が報じられています。今回の偽造品について、ギリアド社は成分を分析中、また「指定の医薬品卸を通して製品を仕入れる正規ルートとは違うルートから薬局チェーンの本社が製品を仕入れ、各店舗に納入したことで偽造品が流通したのではないか」とみているということです。

厚労省が注意喚起

上が正規品(ひし形でだいだい色の錠剤)、下が偽造品(だ円形の薄紫の錠剤等)
上が正規品(ひし形でだいだい色の錠剤)、下が偽造品(だ円形の薄紫の錠剤等)
上が正規品(ひし形でだいだい色の錠剤)、下が偽造品(だ円形の薄紫の錠剤等)

厚生労働省は17日、ギリアド・サイエンシズが製造販売するC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」(一般名:レジパスビル・ソホスブビル)について、奈良県内の薬局チェーンで形状や色が正規品と異なる偽造品が調剤されていたと発表した。薬局の本社や他の支店を含め、五つの偽造品を確認しているが、流通経路は調査中。現時点では、健康被害は報告されていないという。厚労省は同日、医薬品を譲り受ける時には本来の容器包装に入っているかどうかや流通経路の確認など、偽造品の混入を避けるため注意を払うよう日本薬剤師会、日本保険薬局協会などの関係団体、都道府県に通知した。また、ギリアド社は患者向けに偽造品の確認を行うよう文書で注意喚起を促した。今後、厚労省と連携して偽造品の成分分析や流通経路の調査などを進め、刑事告訴の検討も視野に入れていく考えだ。(関連記事


 

「ハーボニー」は通常1回につき1ボトルが処方されるが、偽造品の流通は患者が製品のボトルを開けた時に薬の形状に違和感を覚え、調剤した奈良県内の薬局に問い合わせ、ギリアド社に報告されたことで発覚した。これを踏まえ同社は、厚労省や調剤した薬局の本社がある奈良県と協力し、偽造品が使われているかどうかや流通した経緯などを中心に調査を実施した。その結果、患者に手渡した製品を含め、調剤した薬局から2点、本社から2点、他の支店から1点と、3カ所から計5点の「ハーボニー」の偽造品が確認された。

 

「ハーボニー」の正規品は、ひし形でだいだい色、表面に「7985」「GSI」と刻字された錠剤が28錠入っており、ボトルはアルミ製の内フタで固く密封され、指で簡単にはがすことができない。これに対し偽造品は、まだら模様の薄い黄色で、だ円形の錠剤となっているものや薄い紫色の錠剤が入ったもの、同社のC型肝炎治療薬「ソバルディ錠」と外観が類似した錠剤が混入したものなど、形状や色が異なる錠剤が見られた。また、ボトルのラベルが異なっていたり、ボトル内のアルミ製のフタが指で簡単にはがせるものが報告されている。

 

今回発覚した5点以外に偽造品の流通は確認されていない。薬局に問い合わせた患者は偽造品を服用しておらず、これまでに健康被害は報告されていないという。現在、偽造品の成分については同社が分析中であり、今回の事態については「指定の医薬品卸を通して製品を仕入れる正規ルートとは違うルートから薬局チェーンの本社が製品を仕入れ、各店舗に納入したことで偽造品が流通したのではないか」と見ている。

 

偽造品の発覚を受け、厚労省は同日付で、医薬品が本来の容器包装に収められているかを確認することや医薬品の譲り渡した人の氏名を記載した記録を作成、保管することに加え、医薬品の販売時に製品の状態を観察し、異常が見られた場合は販売しないことなど注意喚起を促す通知を日本薬剤師会や日本製薬団体連合会などの関係団体、都道府県に発出し、偽造品の使用回避を呼びかけている。

 

同社も患者や薬剤師、医師向けに、服用する製品が正規品であるかを確認することや偽造品が疑われる場合は服用しないよう文書やホームページ上で注意を促し、24時間体制で相談を受け付けるホットラインを開設した。同社は今後、刑事告訴の検討も視野に入れ、厚労省と協力して偽造品が流通した経緯の調査を進める考えだ。

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出典:薬事日報

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