【20年度調査】入学志願者、さらに減少~薬学人気の2極化が加速
日本私立薬科大学協会がまとめた2020年度の私立薬科大学(薬学部)入学志願者調査の結果、入学志願者数は8万1141人と、前年度に比べて8050人少なく、8万人台前半にまで落ち込んだ。6年連続の減少で、前年度から志願者の減少幅もさらに大きくなっており、薬大が厳しい時代に突入しつつあることがうかがえた。募集数に対する入試倍率も7.3倍と前年度より低下し、なだらかな下落傾向が続いている。入試倍率は全体的に低下しているものの、依然として大きな開きが見られ、大学間格差が一層鮮明になっている情勢だ(表参照)。
調査は、私立薬大協加盟の57校(徳島文理大香川を含む)を対象に実施されたもの。今年度の定員は1万1131人と、前年度の1万1236人から105人減少。6年制学科は1万0466人、4年制学科は665人となった。
また、募集数は一般が7012人、推薦が4021人となり、昨年度に比べて一般と推薦が共に減少し、合計の募集数は1万1033人と昨年度より100人ほど減少した。
志願者数は、一般6万7456人(前年度7万5808人、推薦1万3685人(1万3383人)、合計で8万1141人と、昨年度から8050人と大幅に減少。19年度も6746人の減少となったが、さらに落ち込みが大きくなり、2年前と比べて約1万5000人程度の志願者が減ったことになる。
志願者数は15年度から減少に転じて以来、今年度は8万人台前半にまで落ち込み、志願者数の減少傾向に歯止めがかからない状況にある。一時は志願者数が10万人を超えた薬学人気もピークを過ぎた格好で、なだらかな志願者減が続いていく可能性がある。
志願者数の減少傾向に伴い、募集数に対する入試倍率も全体で7.3倍と引き続き下落し、漸減傾向が見られる。これまで志願者が減少しながらも入試倍率は高止まりしていたが、少子化の影響が少しずつ反映されつつあり、18歳人口の動向に一層の注視が必要な時代に入った。
入試倍率について見ると、6年制の一般は9.4倍(10.6倍)、推薦は3.4倍(3.4倍)、4年制は一般が12.1倍(12.1倍)、推薦が3.0倍(2.4倍)となり、6年制の一般入試では8年ぶりに10倍を割った。
入学志願者数は、全体で約8000人減少し、前年度より減少幅が大きくなったが、大学ごとの志願者数と倍率には大きな開きが見られる。入試倍率が平均の7.3倍を超えた人気のある大学は22校となった一方で、平均倍率を大きく下回り倍率が3倍に満たなかった大学は13大学、2倍を切った大学も8校と、いずれも前年度から増加するなど大学間格差が広がる傾向は加速している。
最も倍率が高く狭き門となったのは、近畿大で25.5倍(29.4倍)、次いで摂南大が18.5倍(21.7倍)、武蔵野大が17.5倍(22.2倍)となった。摂南大と武蔵野大の倍率は共に前年度に比べて低下し、20倍を切った格好。再び摂南大と武蔵野大の順位が逆転した。
高倍率の上位校を見ると、東京理科大が16.4倍(17.2倍)、立命館大が12.1倍(11.9倍)、星薬科大が12.0倍(13.3倍)、崇城大が10.7倍(13.6倍)、福岡大が10.6倍(12.8倍)、慶應義塾大と明治薬科大が10.3倍と続いており、立命館大を除き、いずれの大学も入試倍率は低下傾向にあった。
これら10倍以上と競争率が高かった大学は9校と前年度からさらに減少し、低倍率校の増加と相まって、薬学人気の2極化が一層鮮明になった格好である。
なお、倍率は4年制と6年制を区別せず、総定員数と総志願者数から割り出した。
<この記事を読んだ方におすすめ>
薬剤師の「就職」リアルレポート
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本私立薬科大学協会がまとめた2020年度の私立薬科大学(薬学部)入学志願者調査(※徳島文理大香川を含む私立薬大協加盟の57校を対象に実施)の結果、入学志願者数は8万1141人と、前年度に比べて8050人少なく、8万人台前半にまで落ち込みました。6年連続の減少で、薬大が厳しい時代に突入しつつあることがうかがえます。一時は志願者数が10万人を超えた薬学人気もピークを過ぎた模様で、今後は「なだらかな志願者減」が続いていく可能性があります。入試倍率について見ると、6年制の一般は9.4倍(10.6倍)、推薦は3.4倍(3.4倍)、4年制は一般が12.1倍(12.1倍)、推薦が3.0倍(2.4倍)となり、6年制の一般入試では8年ぶりに10倍を割りました。