第15回 中垣亜希子 先生
ちょっとした体調不良など、病気としての症状を起こす前の段階「未病」での手当てを可能にしてくれる中医学。今回は、薬膳薬局巣鴨店の中垣亜希子先生に中医学の考えを取り入れたセルフメディケーションの方法についてうかがいました。全6回シリーズです。
西洋医学は検査数値などにより病気か否かを白黒はっきり分けるのに対し、中医学では、病気と健康を二分化するのではなく、その間の“半病気”、“半健康”というグレーゾーンの手当てに重きを置きます。検査数値には現れない・病名はつかないけれど自覚症状に悩む方の声に耳を傾けることができます。
中医学では、身体が発する些細なサインを拾い病気の発症を予測し、予防してゆきます。また、もし発病した場合でも早期に気づき、体質から『根本的に治す』ことで他の臓腑への影響や悪循環を予防します。これを『未病先防(みびょうせんぼう)』と言います。この予防医学こそが中医学の最大の特徴であり、強みです。
また中医学では、西洋医学のように病気そのものや、病気が起きている臓器などに対して点的な見方をせずに、心を含む身体全体のバランスを診て整えることに重きをおきます。さらに、人体だけでなくそれを取り囲む自然界の気候変化や住環境とも相互に関連しあって統一体をなしていると考えます。これを『整体観(せいたいかん)』といいます。
『心身一如(しんしんいちにょ)』という私の大好きな中医学の言葉がありますが、『心と身体はひとつ』という意味です。『病気』を『気を病む』と書くように、心の不調は身体に及びますし、身体の不調は精神に及びます。中医学は心と身体のバランスをとることも得意分野です。
西洋医学ではそれぞれの症状に応じて薬を処方するため、症状を訴えれば訴えるほど薬が増える傾向にあります。しかし中医学では『気・血・津液(き・けつ・しんえき)』や『五臓六腑(ごぞうろっぷ)』のバランスを整え、足りないものを補い、余ったものを捨てる方法で薬を選ぶので、1つの薬で同時に様々な症状が治ることがよくあります。
また、近年では『中西医結合』といい、中医学と西洋医学の東西両医学を結合して、お互いの長所を用い短所を補い合う医学が進んでいます。
それでは、どのように病気の予防を行っていくのかといいますと、6つの弁証法のうち、『気血津液弁証』によって体質をチェックするのがまずは一番わかりやすいでしょう。人の身体を構成すると考えられている「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」のバランスによって予防法は異なってきます。
次回は、これら3つの要素のこと、そして、これらのバランスによって分類される体質についてご紹介いたします。
西洋医学は検査数値などにより病気か否かを白黒はっきり分けるのに対し、中医学では、病気と健康を二分化するのではなく、その間の“半病気”、“半健康”というグレーゾーンの手当てに重きを置きます。検査数値には現れない・病名はつかないけれど自覚症状に悩む方の声に耳を傾けることができます。
中医学では、身体が発する些細なサインを拾い病気の発症を予測し、予防してゆきます。また、もし発病した場合でも早期に気づき、体質から『根本的に治す』ことで他の臓腑への影響や悪循環を予防します。これを『未病先防(みびょうせんぼう)』と言います。この予防医学こそが中医学の最大の特徴であり、強みです。
また中医学では、西洋医学のように病気そのものや、病気が起きている臓器などに対して点的な見方をせずに、心を含む身体全体のバランスを診て整えることに重きをおきます。さらに、人体だけでなくそれを取り囲む自然界の気候変化や住環境とも相互に関連しあって統一体をなしていると考えます。これを『整体観(せいたいかん)』といいます。
『心身一如(しんしんいちにょ)』という私の大好きな中医学の言葉がありますが、『心と身体はひとつ』という意味です。『病気』を『気を病む』と書くように、心の不調は身体に及びますし、身体の不調は精神に及びます。中医学は心と身体のバランスをとることも得意分野です。
西洋医学ではそれぞれの症状に応じて薬を処方するため、症状を訴えれば訴えるほど薬が増える傾向にあります。しかし中医学では『気・血・津液(き・けつ・しんえき)』や『五臓六腑(ごぞうろっぷ)』のバランスを整え、足りないものを補い、余ったものを捨てる方法で薬を選ぶので、1つの薬で同時に様々な症状が治ることがよくあります。
また、近年では『中西医結合』といい、中医学と西洋医学の東西両医学を結合して、お互いの長所を用い短所を補い合う医学が進んでいます。
それでは、どのように病気の予防を行っていくのかといいますと、6つの弁証法のうち、『気血津液弁証』によって体質をチェックするのがまずは一番わかりやすいでしょう。人の身体を構成すると考えられている「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」のバランスによって予防法は異なってきます。
次回は、これら3つの要素のこと、そして、これらのバランスによって分類される体質についてご紹介いたします。
薬局の漢方相談のほか、中医学・薬膳料理の執筆・講演を務める。
東京薬科大学薬学部卒業。長春中医薬大学、国立北京中医薬大学、国立北京中医薬大学日本校にて中医学を学ぶ。「顔をみて病気をチェックする本」(PHPビジュアル実用BOOKS猪越恭也著)の薬膳を担当執筆。