医療

薬剤師確保、各県で温度差~高額薬廃棄で問題提起も 日病薬中国四国ブロック会長会議

薬+読 編集部からのコメント

10月27日、高知県高知市内で日本病院薬剤師会中国四国ブロック会長会議が開かれ、各県病薬の会長らがそれぞれの地域における現況や展望を共有し、諸問題について議論しました。同ブロック8県の病薬会長は、2024年度から始まる第8次医療計画に薬剤師確保策が盛り込まれる見込みであることを報告しましたが、奨学金返還支援制度の創設や拡充を検討する県もあれば、行政から前向きな姿勢が認められない県もあるなど、対応には温度差があることが示されました。

日本病院薬剤師会中国四国ブロック会長会議が27日に高知市内で開かれ、各県病薬の会長らが諸問題を議論した。同ブロック8県の病薬会長は、来年度から始まる第8次医療計画に薬剤師確保策が盛り込まれるとの見込みを報告したが、その内容については奨学金返還支援制度の創設や拡充を検討する県もあれば、行政から前向きな姿勢が認められない県があるなど対応に温度差があることが示された。

各県病薬会長は、それぞれの地域での現況や展望を共有した。薬剤師確保策に前向きな県では、薬剤師の高齢化や不足が認められる県内の複数の町立病院に就職する薬学生を対象に、奨学金返還支援制度と卒後研修の仕組みを創設するため検討が進んでいるという。

 

他の県でも、奨学金返還支援制度の拡充や、地域枠を設ける薬系大学との連携強化等が検討事項になっていることが示された。

 

国の今年度予算で基幹病院から不足病院への薬剤師派遣のモデル事業を実施する県では、事業終了後にも運用を続けるため検討中。一方、他の県では「薬剤師の派遣については、県内に人を他院に出せる病院がないのが現状」との声もあった。

 

また、奨学金返還支援制度の新設を検討する県がいくつかあった一方、「県内に薬剤師の偏在は認められるが、制度創設は難しいと県から言われた」「制度創設を要望したが、県は予算を確保しづらいと後ろ向きの姿勢だった」など、県の理解が十分に得られないことを嘆く声も聞かれた。

 

一方、この日の会議では、愛媛県病薬の田中守会長(愛媛大学病院薬剤部長)が、高額医薬品の使用期限切れに伴う廃棄が病院の経営負担になっていると問題提起した。対策として、国が製薬企業に少量包装での販売を指導することや、病院間、病院と薬局間で不動在庫を有効活用できる特例措置等の創設を求めた。

 

病院は薬局とは違って医薬品の譲渡ができず、不動在庫が発生した場合、病院の経営負担になる。トレーサビリティの管理で冷所保管薬の返品などができるシステムはあるが、中小病院等ではコスト面で導入は難しいという。

 

日病薬の武田泰生会長は「大事な問題。小量での包装について、現場での使用実態を調べて日本製薬工業協会や厚生労働省に要望するなど、そういった調査もいずれ実施しようと思う」と言及。病院と薬局間で医薬品の融通ができる仕組みは「厚労省に相談はしている」と話した。

 

近年、急速に発達する技術への対応を求める声もあった。鳥取県病薬の島田美樹氏(鳥取大学病院薬剤部長)は、薬剤師が多職種や患者に対して行う情報提供に人工知能を活用する場合に「一定の基準が必要」と指摘。田中氏は「薬剤師の業務にチャットGPTを活用する場合、適正使用のためのルールが必要と考えられる」と投げかけた。

 

武田氏は「チャットGPTの活用等について今後、全体的な国の指針が出てくると思う。それを踏まえて医療関係での対応が検討される見込みで、動向を見ながら検討していきたい」と語った。

 

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出典:薬事日報

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