医療

【日病薬調査】29都道府県で薬剤師確保策~上積み期待も具体化課題

薬+読 編集部からのコメント

2023年8月に実施された日本病院薬剤師会による調査の結果、29都道府県が第8次医療計画に薬剤師確保策を記載予定であることが判明しました。最終的には8割以上の都道府県で記載されるという見方もあり、2024年度より各地で運用が始まる第8次医療計画を足がかりに、薬剤師確保策の具体化がどのくらい進むのかが注目されます。

日本病院薬剤師会は、来年度から各地で運用が始まる第8次医療計画に薬剤師確保策を記載予定の都道府県数を調査した結果、8月時点の調査範囲内で29に達することが分かった。9月以降に記載の意思決定を持ち越している府県も多く、最終的にどう着地するのかは不明だが、47都道府県の8割以上で記載されるのではないかとの前向きな見方もある。来年度以降、第8次医療計画を足がかりに、各地で薬剤師確保策の具体化がどれだけ進むのかが次の課題になりそうだ。

調査は、日病薬が各都道府県の病院薬剤師会を対象に8月に実施したもの。21日に都内で開いた地方連絡協議会で全回答結果を示した。薬剤師確保等に関する都道府県との会議等の有無を聞いたところ、「あり」38、「なし」4、「把握していない」1、「その他」4だった。

 

第8次医療計画における薬剤師確保策の記載予定については、40都道府県病薬から回答があり、「あり」29、「なし」1、「把握していない」2、「その他」8だった。「なし」と回答したのは1県のみで、状況を把握していなかったり、記載に向けて協議が進行中だったりする回答も多く、さらなる上積みが見込まれる結果となった。

 

このほか、確保の具体的な対策として、薬剤師の派遣や奨学金の返還助成等の実施に向けた委員会等の創設予定を聞いたところ、「設置済み」7、「あり」10、「なし」6、「未定」24との回答が得られた。

 

各病薬は、第8次医療計画に向けた薬剤師確保策の内容についても回答した。「具体的な内容は協議中」「薬剤師の不足や偏在の調査結果を踏まえて方向性を検討する」などの回答が見られ、第8次医療計画に何らかの文言は入るものの、8月時点では具体策はまだ固まっていないとする県が多かった。来年度以降にどこまで実効性のある対策が各地で始まるのか見通しは不透明だ。

 

この日の地方連絡協議会では、各地の現況について都道府県病薬会長らの意見交換会を行い、「県内で薬務課が奨学金の返還支援制度を提案したが、財政部門から否定された。実現には、必要性を認めてもらうデータが必要で、その調査を年内に実施したい」などの声があった。

 

日病薬の武田泰生会長は「各地で進めている具体的な情報を日病薬に報告してほしい。その事例を共有し、各地の行政にこういう取り組みがあると伝えてほしい」と強調。病院薬剤師が行政に働きかけることが重要で、調査が必要な場合には積極的に取り組んでほしいと求めた。

 

病院薬剤師確保策に関する検討特別委員会の崔吉道委員長は、薬剤師の視点ではなく、行政の視点で提案する重要性を指摘。石川県病薬は、会員名簿をもとに調査を行い、県内の病院の約3割で薬剤師の平均年齢が55歳に達していることを行政に示した。県の医療インフラが崩壊しかねない危機感を行政と共有し、薬剤師確保策の実施につなげたと話した。

 

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出典:薬事日報

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