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術前休薬期間を容易に把握~独自システム構築で効率化 日本病院薬剤師会近畿学術大会

薬+読 編集部からのコメント

日本病院薬剤師会近畿学術大会のシンポジウムで、電子カルテと連動して各医薬品の術前休薬期間を容易に把握できる独自システムを構築したことを、市立大津市民病院薬剤部医薬品情報管理室・医療情報システム室の山中理氏が報告しました。電子カルテの画面で手術予定患者の持参薬一覧を表示し、医薬品を選択してボタンを押すと、術前休薬期間が表示される仕組みになっています。

日本病院薬剤師会近畿学術大会が27、28の両日、和歌山市内で開かれ、医療DXをテーマにしたシンポジウム(写真)で、病院薬剤師が取り組む医療デジタル化の工夫や注意点が示された。山中理氏(市立大津市民病院薬剤部医薬品情報管理室・医療情報システム室)は、電子カルテと連動して各医薬品の術前休薬期間を容易に把握できる独自システムを構築したと報告した。

医療情報システム室の業務を兼任する山中氏は、手腕を生かしてこれまで約500個の独自システムを院内で構築した。その一つが術前休薬期間のチェックシステムで、電子カルテの画面で手術予定患者の持参薬一覧を表示し、医薬品を選択してボタンを押すと術前休薬期間が表示される。

 

一般的には、エクセルなどで作成した休薬期間の表と照らし合わせて調べることが多いが、同システムを使えば容易に休薬期間を把握できるという。

 

医薬品情報管理室での情報収集にも工夫を凝らした。製薬企業からの医薬品情報は封書で届くことが多いが、開封やコピー、配布に手間がかかるため、情報は原則電子メールで送信するよう依頼。1メール1内容とし、件名には「適応追加」「供給停止」などのカテゴリを入力してもらった。この情報はメーリングリストで自動的に薬剤師や薬剤補助員と共有し、件名による振り分けで必要な情報を容易に確認できるようにした。

 

山中氏は「中小病院でもシステムの構築や活用を行えば、かなりの部分を効率化でき、余力の確保が可能になる」と強調した。

 

岡橋孝侍氏(京都第二赤十字病院薬剤部・医療情報室)は、自施設の電子処方箋導入の下準備として、国と自施設の用法マスタの摺り合わせに取り組んだ結果を報告した。

 

用法の表現は、「1日1回寝る前」「1日1回寝る前にお飲みください」など各病院で異なる。電子処方箋の処方オーダで使う標準的な用法マスタ約3200種類が厚生労働省から示されており、電子処方箋開始時には、自施設の用法マスタとの摺り合わせが必要になる。

 

同院の1年間の処方52万7000件を調べたところ、同院の用法マスタ705種のうち実際に使用したのは383種。10種類で全体の80%、153種類で99%をカバーしていた。

 

一方、厚労省の標準的な用法マスタにはない「耳浴」「点眼薬等の左右両眼」「動悸時」などの用法が院内のマスタにあることが分かった。岡橋氏は「これをどうするかを考えていきたい。導入直前では大変だった」と語った。

 

池田和之氏(奈良県立医科大学病院薬剤部)は、日本病院薬剤師会の学術小委員会で策定した「病院薬剤師が学習すべき薬剤領域の情報リテラシー解説集」などを参考に、医療情報システムの理解や活用を進めてほしいと言及。「情報システムに使われないためには、情報システムを知ることが大事。知らなかったでは済まされない」と呼びかけた。

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出典:薬事日報

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