Q169 薬剤師は「先生」と呼ぶ?
Q169 薬剤師は「先生」と呼ぶ?
「先生」は指導薬剤師に感謝と敬意を伝える呼び方です
実務実習の内容は多岐にわたり、薬局内の業務はもちろん、たとえば病院であれば院内の多職種と連携しておこなうチーム医療について、調剤薬局であれば地域医療での薬剤師の役割や在宅医療について等々、薬局外の業務についても幅広く学ぶことでしょう。
指導してもらう立場であれば、教える側の方を「先生」と呼ぶことは、特別おかしなことではないはずです。指導薬剤師を「○○先生」と呼ぶことで、実習中お世話になる感謝の気持ちと敬意を伝えることができますから、むしろマナーの面でも理にかなっていて、決して不自然ではないと思います。
郷に入っては郷に従えという言葉もあります。はじめのうちは少し抵抗があっても、実務実習中のことと割り切って「○○先生」と呼んでみたら、案外数日で慣れて、違和感もなくなるのではないでしょうか。
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薬剤師の接遇マナー・テクニック Q.167 病院実習中の薬学生に話をしてくれない患者さん
薬剤師同士で「先生」と呼び合う職場もあります
相談者さんのように実習生として初めて病院に行く人のほか、他業種から医療機関に転職する人の中にも、「医師でもないのに薬剤師を先生と呼ぶの?」と違和感を覚える人がいるかもしれませんね。
そこで参考までに、だいぶ前のことになりますが、私の経験をお伝えします。私が初めて病院実習に行った当時は、まだ現在のような実習制度はありませんでした。指導してくれる薬剤師は現場との掛け持ちでしたが、どの実習先の病院でも薬剤師が互いに「○○先生」と呼び合っていて、むろん私も指導者を「○○先生」と呼びました。
新卒で病院に勤めた際も、新人ながら「村尾先生」と呼ばれることに照れくささを覚えつつ、お互いを「○○先生」と呼び合う環境に慣れるのに時間はかかりませんでした。
その後、調剤薬局に転職した際、薬剤師同士が「○○さん」と呼び合うことに驚きました。環境が変われば呼称も変わるんだ、と思ったことを覚えています。
以前研修先の病院長から教えてもらったのですが、「師」という漢字には「教える人」という意味があるそうです。「師」がつく職業は医療者以外にもあり、諸説あると思いますが、私個人は、医療者は患者さんを適切な治療に導くという点で「教える人」、つまり「先生」と呼ばれ得る職業にあてはまっているように思います。
相談者さんにとって、実務実習の期間中は指導薬剤師が「教える人」です。実習中「○○先生、今日もよろしくお願いします!」と元気よく挨拶すれば、やる気や熱意をアピールすることもできます。
実務実習の内容は決まっていても、指導側からすれば、真剣にメモを取る姿勢に熱意が感じられたり、積極的に質問したりする学生さんには、より丁寧により多くを教えたいと思うものです。
指導を受けられることへの感謝を常に忘れず、有意義な実務実習になるよう心から願っています。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。