「薬剤師の対応には限界」~都薬・高橋会長、紅麹製品リスク説明で
東京都薬剤師会の高橋正夫会長(写真)は5日の定例会見で、小林製薬の紅麹関連製品をめぐる問題に言及。薬局における摂取者への対応について、「紅麹に関する知識がない中で出てきた事案であり、現段階では飲んでいたら中止するよう伝えるしかない」と述べた。一方で、健康食品やサプリメントを服用している患者に薬局薬剤師が安全性情報を提供できるよう、今年度事業で都庁と連携して情報収集に取り組む考えも明らかにした。
紅麹問題をめぐっては、日本薬剤師会が3月28日付で直ちに対象製品の販売中止を求める通知を都道府県薬剤師会宛てに発出。該当製品の購入者に対して直ちに使用を中止し、使用による健康被害が発生している場合は医療機関の受診を促す説明を行うよう求めている。
既に都薬役員が経営する薬局にも、紅麹関連製品の摂取者から相談事例が寄せられているという。高橋氏は、健康食品の購入時には「その人の情報を薬局が持っているとするなら、既往歴や現在の疾患、服用している薬との飲み合わせを確認するなど対応しているはず」とした。
紅麹と健康被害の因果関係が十分に実証されていないため、薬剤師と購入者のリスクコミュニケーションには限界があると指摘した。高橋氏は「紅麹を摂取すると、腎臓の数値が悪くなるといった情報があった上で、患者さんの腎機能の値が悪くなっていればその健康食品を摂取しているかを確認できるかもしれないが、今回の場合は腎臓の数値が悪くなっている原因がまだ分かっていないので、そこまでの対応ができていないのが現状」とした。
都薬は、薬局で健康食品を販売した場合にはお薬手帳に健康食品用のシールを貼り、健康食品の摂取時期が分かるようにしている。今年度は都庁と連携して健康食品に関する安全性情報提供のための情報収集に取り組んでいくとしている。
また、薬局におけるOTC医薬品の取り扱い実態調査を行う。薬局が地域の健康サポート拠点、健康相談窓口として、住民に一層認識されるための方策を検討する。会員がセルフケア・セルフメディケーションに取り組む場合に支えとなる研修会を計画するための参考にしたい考え。
高橋氏は「(地域支援体制加算の要件に入れられた)OTCの48薬効群を置いているかを聞くつもりはない。処方箋がなくても薬局に入れるような状況をどうしたら作れるかを薬局業務委員会で考えている。会員薬局の状況を考えた上で作戦を練りたい」と述べた。東京都医師会の尾崎治夫会長がセルフメディケーションを推進する考えを示していることも踏まえ「都薬としてもしっかり対応できる状況を作っておかないといけない」と語った。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
小林製薬の紅麹関連製品をめぐる問題について、東京都薬剤師会の高橋会長が言及。薬局における摂取者への対応については「紅麹に関する知識がない中で出てきた事案であり、現段階では飲んでいたら中止するよう伝えるしかない」と述べた一方、健康食品やサプリメントを服用中の患者に薬局薬剤師が安全性情報を提供できるよう、2024年度事業で都庁と連携して情報収集に取り組む考えも明らかにしました。