創薬・臨床試験

岸田首相「日本を世界の創薬の地に」~政府挙げた強い関与約束

薬+読 編集部からのコメント

首相官邸にて開かれた「創薬エコシステムサミット」で、岸田首相が国内外の製薬企業等を前にスピーチを行い、「日本を世界の人々に貢献できる創薬の地にしていく。政府がコミットしていくことを宣言する」と、創薬力向上の実現に強い決意を示しました。

岸田文雄首相(写真)は7月30日、首相官邸で開いた「創薬エコシステムサミット」であいさつし、日本の創薬力向上の実現に強い決意を示した。「日本を世界の人々に貢献できる創薬の地にしていく。政府がコミットしていくことを宣言する」と表明。ファースト・イン・ヒューマン試験(FIH試験)や臨床試験の実施体制整備、アカデミアや創薬スタートアップに対する実用化支援に加え、日本に創薬エコシステムを構築し、創薬スタートアップに対する民間投資額を2倍にするなどの施策を「必ず実現する」と語った。

岸田氏は、国内外の製薬企業、ベンチャーキャピタル、スタートアップ、大学関係者等47人を前に約13分にわたってスピーチした。「サミットは、日本、世界に患者さんが待ち望む薬を届ける出発点である」と語り、医薬品産業を日本の成長産業、基幹産業と位置づけ、「民間のさらなる投資を呼び込む体制・基盤の整備に必要な予算を確保し、政府を挙げて創薬力構想会議の提言を具体的に進めていくことを国内外に約束する」と強調した。

 

具体的には、▽FIH試験や臨床試験の実施体制整備▽外資系製薬企業やベンチャーキャピタルを呼び込み、アカデミアやスタートアップのシーズを育てる実用化まで連続的な支援を行う環境・体制の構築▽創薬ベンチャーエコシステム事業をより早期段階から支援し、投資とイノベーションの循環的発展を実現――の三つの施策を推進すると表明した。

 

同日に公表した創薬力構想会議の中間取りまとめに掲げた戦略目標に対する成果目標と工程表についても、「政府を挙げて提言を具体的に進めていくことを国内外に向けて約束するものとなる」と総力を挙げて実現していく考えを示した。

 

欧米で承認されている医薬品が日本での開発に着手されない「ドラッグロス」の対応にも強い意欲を見せた。「藁にもすがる思いで個人輸入や海外渡航を選択せざるを得ない状況にあると聞いている。患者さんにそのような行為をしていただきたくない。日本の患者さんだけではなく、世界の患者さんに貢献する創薬の地でありたい」と述べつつ、「小児用医薬品や希少疾病用医薬品の開発のための取り組みを進めていくに当たり、患者さんや家族の声に耳を傾けていくことを忘れてはならない」とも語った。

 

一方、「創薬エコシステムに国境はない。日本の国内に閉じるのではなく、世界の他のエコシステムやプレイヤーとつながり、その力を活用することをもって発展していく」と強調。国内外から人材や資金を集めることで、世界の人に貢献できる創薬の地に育成するとした。

 

中でも高齢者人口が急増し、疾病構造が変化しているアジア太平洋地域に対しては「必要とされる医薬品開発に重要な役割を果たしていく」と存在感を発揮していきたい考えを示した。

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出典:薬事日報

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