1.薬剤師の人数
厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、2022年12月31日時点における薬剤師の人数は323,690人です。男性は124,183人、女性は199,507人となっています。
2020年の統計の結果と比較すると、薬剤師の人数は1,708人(0.5%)増加しました。人口10万対薬剤師数は259.1人で、3.9人増えています。
参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 3 薬剤師|厚生労働省
1-1.年齢別の薬剤師の人数
2022年末時点における年齢別の薬剤師の人数は、以下のとおりです。
年齢 | 人数 | 割合 |
29歳以下 | 40,018人 | 12.4% |
30~39歳 | 82,083人 | 25.4% |
40~49歳 | 73,232人 | 22.6% |
50~59歳 | 64,765人 | 20.0% |
60~69歳 | 44,598人 | 13.8% |
70歳以上 | 18,994人 | 5.9% |
上記のデータは薬局や医療施設だけでなく、製薬企業や行政機関などに勤める薬剤師も含む人数です。30~39歳が最も人数が多く、以降は年代が上がるごとに人数が少なくなっています。
参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 表16|厚生労働省
1-2.男女別の薬剤師の人数
薬局や医療機関に従事する薬剤師の男女別の人数は、以下のとおりです。
年齢 | 男 | 女 | 男女計 |
29歳以下 | 11,719人 | 22,464人 | 34,183人 |
30~39歳 | 27,172人 | 39,455人 | 66,627人 |
40~49歳 | 19,023人 | 38,622人 | 57,645人 |
50~59歳 | 14,336人 | 34,060人 | 48,396人 |
60~69歳 | 11,011人 | 22,352人 | 33,363人 |
70歳以上 | 5,118人 | 7,866人 | 12,984人 |
全年齢計 | 88,379人 | 164,819人 | 253,198人 |
薬局・医療機関に従事する薬剤師については、女性の方が男性よりも2倍近く人数が多いことが分かります。
参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 表17|厚生労働省
1-3.都道府県別の薬剤師の人数
都道府県別の薬剤師の人数は、以下のとおりです。
都道府県 | 人数 | 都道府県 | 人数 | 都道府県 | 人数 |
北海道 | 11,625人 | 石川 | 2,853人 | 岡山 | 4,245人 |
青森 | 2,373人 | 福井 | 1,500人 | 広島 | 7,324人 |
岩手 | 2,572人 | 山梨 | 1,861人 | 山口 | 3,524人 |
宮城 | 5,570人 | 長野 | 4,667人 | 徳島 | 2,595人 |
秋田 | 2,055人 | 岐阜 | 4,108人 | 香川 | 2,429人 |
山形 | 2,174人 | 静岡 | 8,403人 | 愛媛 | 3,186人 |
福島 | 3,791人 | 愛知 | 16,239人 | 高知 | 1,792人 |
茨城 | 6,709人 | 三重 | 3,607人 | 福岡 | 12,796人 |
栃木 | 4,376人 | 滋賀 | 3,359人 | 佐賀 | 2,013人 |
群馬 | 4,157人 | 京都 | 6,806人 | 長崎 | 2,950人 |
埼玉 | 16,729人 | 大阪 | 27,586人 | 熊本 | 3,983人 |
千葉 | 14,746人 | 兵庫 | 15,594人 | 大分 | 2,364人 |
東京 | 53,527人 | 奈良 | 3,219人 | 宮崎 | 2,288人 |
神奈川 | 23,718人 | 和歌山 | 2,346人 | 鹿児島 | 3,307人 |
新潟 | 4,563人 | 鳥取 | 1,243人 | 沖縄 | 2,435人 |
富山 | 2,932人 | 島根 | 1,451人 |
東京、大阪、神奈川、愛知、兵庫、福岡など、人口が多い都道府県は薬剤師の人数も多い傾向にあり、都道府県によって人数にばらつきがあることが分かります。
なお、都道府県別の人口10万対薬剤師数(薬局・医療施設の従事者)は、以下のとおりです。
都道府県 | 10万対薬剤師数 | 都道府県 | 10万対薬剤師数 |
全国 | 202.6人 | 三重 | 179.4人 |
北海道 | 192.9人 | 滋賀 | 189.6人 |
青森 | 167.2人 | 京都 | 196.5人 |
岩手 | 187.0人 | 大阪 | 221.5人 |
宮城 | 199.7人 | 兵庫 | 236.6人 |
秋田 | 192.9人 | 奈良 | 197.4人 |
山形 | 176.9人 | 和歌山 | 203.5人 |
福島 | 178.2人 | 鳥取 | 197.6人 |
茨城 | 186.5人 | 島根 | 189.5人 |
栃木 | 187.3人 | 岡山 | 191.4人 |
群馬 | 181.6人 | 広島 | 224.6人 |
埼玉 | 190.3人 | 山口 | 219.4人 |
千葉 | 195.6人 | 徳島 | 244.0人 |
東京 | 235.7人 | 香川 | 209.4人 |
神奈川 | 215.5人 | 愛媛 | 203.9人 |
新潟 | 180.2人 | 高知 | 223.2人 |
富山 | 186.2人 | 福岡 | 214.9人 |
石川 | 196.6人 | 佐賀 | 215.6人 |
福井 | 163.6人 | 長崎 | 195.9人 |
山梨 | 194.4人 | 熊本 | 195.4人 |
長野 | 194.8人 | 大分 | 187.7人 |
岐阜 | 178.5人 | 宮崎 | 180.8人 |
静岡 | 190.5人 | 鹿児島 | 186.9人 |
愛知 | 176.0人 | 沖縄 | 149.4人 |
人口10万人対薬剤師数は、都道府県ごとにそれほど大きな差はないものの、青森県、福井県、沖縄県など、全国平均と比較して薬剤師の人数がやや少ない都道府県もあります。
参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 統計表9・10|厚生労働省
1-4.施設・業務種別の薬剤師の人数
続いて、2022年末時点における施設・業務種別の薬剤師の人数を紹介します。
薬局に従事する薬剤師の人数は190,735人で、内訳は以下のとおりです。
薬局の開設者または法人の代表者(管理者) | 13,587人 |
薬局の開設者または法人の代表者(管理者以外) | 3,136人 |
薬局の勤務者(管理者) | 48,347人 |
薬局の勤務者(管理者以外) | 125,665人 |
医療施設に従事する薬剤師の人数は62,463人で、内訳は以下のとおりです。
調剤・病棟業務 | 59,574人 | |
その他(検査、治験等) | 2,889人 | |
病院の従事者 | 56,585人 | |
調剤・病棟業務 | 54,845人 | |
その他(検査、治験等) | 1,740人 | |
診療所の従事者 | 5,878人 | |
調剤・病棟業務 | 4,729人 | |
その他(検査、治験等) | 1,149人 |
介護保険施設に従事する薬剤師の人数は1,091人で、内訳は以下のとおりです。
介護老人保健施設の勤務者 | 959人 |
介護医療院の勤務者 | 132人 |
大学に従事する薬剤師の人数は4,902人で、内訳は以下のとおりです。
大学の勤務者(研究・教育) | 4,442人 |
大学院生または研究生 | 460人 |
医薬品関係企業に従事する薬剤師の人数は37,086人で、内訳は以下のとおりです。
医薬品製造販売業・製造業(研究・開発、営業、その他) | 25,786人 |
店舗販売業 | 6,146人 |
配置販売業 | 25人 |
卸売販売業 | 5,129人 |
その他の薬剤師の人数は、以下のとおりです。
衛生行政機関または保健衛生施設の従事者 | 6,927人 |
その他の業務の従事者 | 8,506人 |
無職の者 | 11,980人 |
上記のとおり、薬局や医療施設、医薬品関係企業に勤務する薬剤師が多いことが分かります。
参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 表15|厚生労働省
2.薬剤師の人数推移
厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、薬局・医療施設に従事する薬剤師は年々増加傾向にあります。1982年以降の薬剤師の人数推移は、以下のとおりです。
年 | 人数 |
1982年 | 69,971人 |
1984年 | 74,676人 |
1986年 | 78,548人 |
1988年 | 84,302人 |
1990年 | 90,025人 |
1992年 | 95,642人 |
1994年 | 106,419人 |
1996年 | 118,854人 |
1998年 | 130,259人 |
2000年 | 142,910人 |
2002年 | 154,428人 |
2004年 | 164,397人 |
2006年 | 174,218人 |
2008年 | 186,052人 |
2010年 | 197,616人 |
2012年 | 205,716人 |
2014年 | 216,077人 |
2016年 | 230,186人 |
2018年 | 240,371人 |
2020年 | 250,585人 |
2022年 | 253,198人 |
薬局や医療施設で勤務する薬剤師の人数は、年々増加していることが分かります。
参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 図13|厚生労働省
2-1.施設種別の薬剤師の人数推移
次に、1982年以降の「薬局」「医療施設」ごとの薬剤師の人数推移を見ていきましょう。
年 | 薬局 | 医療施設(病院・診療所) |
1982年 | 39,751人 | 30,220人 |
1984年 | 42,173人 | 32,503人 |
1986年 | 43,749人 | 34,799人 |
1988年 | 45,963人 | 38,339人 |
1990年 | 48,811人 | 41,214人 |
1992年 | 52,226人 | 43,416人 |
1994年 | 60,866人 | 45,553人 |
1996年 | 69,870人 | 48,984人 |
1998年 | 81,220人 | 49,039人 |
2000年 | 94,760人 | 48,150人 |
2002年 | 106,892人 | 47,536人 |
2004年 | 116,303人 | 48,094人 |
2006年 | 125,254人 | 48,964人 |
2008年 | 135,716人 | 50,336人 |
2010年 | 145,603人 | 52,013人 |
2012年 | 153,012人 | 52,704人 |
2014年 | 161,198人 | 54,879人 |
2016年 | 172,142人 | 58,044人 |
2018年 | 180,415人 | 59,956人 |
2020年 | 188,982人 | 61,603人 |
2022年 | 190,735人 | 62,463人 |
薬局・医療施設ともに薬剤師の人数は増加傾向にあるものの、医療施設に従事する薬剤師の増加ペースは比較的緩やかであることが分かります。
参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 図13|厚生労働省
3.薬剤師の人数は他職種と比べて多い?少ない?
薬剤師の人数は他職種よりも多いのか、少ないかを比較するために、厚生労働省の「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計」と「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)」をもとに、2022年末時点における医師・歯科医師・保健師・助産師・看護師・准看護師の人数と、薬剤師の人数を紹介します。
職種 | 人数 |
医師 | 343,275人 |
歯科医師 | 105,267人 |
薬剤師 | 323,690人 |
保健師 | 60,299人 |
助産師 | 38,063人 |
看護師 | 1,311,687人 |
准看護師 | 254,329人 |
上記の職種のうち、人数は看護師が最も多く、助産師が最も少ないことが分かります。薬剤師の人数は、看護師や医師と比較すると少ないものの、歯科医師や保健師、助産師よりは多いという結果になっています。
続いて、各職種の男女別の人数を紹介します。
職種 | 人数 | |
医師 | 男 | 262,136人 |
女 | 81,139人 | |
歯科医師 | 男 | 77,854人 |
女 | 27,413人 | |
薬剤師 | 男 | 124,183人 |
女 | 199,507人 | |
保健師 | 男 | 1,947人 |
女 | 58,352人 | |
助産師 | 男 | 0人 |
女 | 38,063人 | |
看護師 | 男 | 112,164人 |
女 | 1,199,523人 | |
准看護師 | 男 | 18,808人 |
女 | 235,521人 |
※助産師は女性のみと法律で定められているため、男性の人数は0人と記載
参照:保健師助産師看護師法 第三条|e-Gov 法令検索
男女比は職種によって大きく異なることが分かります。医師、歯科医師は男性の方が多いのに対し、薬剤師、保健師、看護師、准看護師は女性の方が多くなっています。
参照:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省
参照:令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省
4.薬剤師は不足している?飽和している?
前述のとおり、医療施設や薬局に従事する薬剤師の人数は増加傾向にあり、将来的には薬剤師の供給が需要を上回るという推計もあるため、いずれは薬剤師の人数が過剰になり、飽和する可能性があります。
しかし、就業先によって人数の推移に差があることに加え、都道府県ごとの薬剤師の人数や、人口10万対薬剤師数にも差があることから、地域偏在や業態偏在があるといえるでしょう。薬剤師は、地域や業態によって不足しているところと飽和しているところがあります。
特に病院薬剤師の確保は課題となっていることから、厚生労働省は2036年までに薬剤師の偏在を是正するための取り組みを行っています。
参照:第12回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 参考資料2-1 薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会とりまとめ(概要)|厚生労働省
参照:薬剤師確保計画ガイドライン(概要)|厚生労働省
🔽 薬剤師の飽和について解説した記事はこちら
5.今後も薬剤師として働き続けるために必要なこと
将来的に薬剤師が飽和する可能性もあることから、今後薬剤師として働き続けるためには、自身が必要とされる存在になることが大切です。
そのためには、より専門性を高めたり、薬剤師の需要が高まる分野のスキルを磨いたりする必要があるでしょう。ここでは、薬剤師として働き続けるために必要なことについてお伝えします。
5-1.資格を取得して専門性を高める
薬剤師の専門性を高める方法として、資格の取得が挙げられます。さまざまな勉強会や講習会で知識を習得したり、専門性の証明となる認定薬剤師や専門薬剤師の取得を目指したりするとよいでしょう。
認定薬剤師や専門薬剤師にはさまざまな種類があります。自身の得意分野や興味のある分野を選択することで、積極的に学ぶことができるでしょう。
🔽 認定薬剤師の種類一覧を紹介した記事はこちら
5-2.在宅医療に関するスキルを磨く
高齢化に伴い、在宅医療の需要は今後さらに高まることが予想されています。そのため、在宅医療に関するスキルを磨くのも一案でしょう。
在宅医療では、薬剤師としての知識やスキルはもちろん、患者さんや家族、他職種と円滑に関わるためのコミュニケーション能力が求められます。勉強会や講習会への参加、在宅療養支援認定薬剤師などの資格取得を通して、在宅関連のスキルを磨きましょう。
🔽 在宅医療における薬剤師の役割について解説した記事はこちら
🔽 在宅療養支援認定薬剤師について解説した記事はこちら
6.患者さんや他職種から必要とされる薬剤師になろう
薬剤師の人数は、業種や地域によって不足しているところがあります。しかし、近い将来、需要と供給のバランスが崩れ、薬剤師が飽和する可能性も示唆されています。今後薬剤師として活躍し続けるためには、患者さんや医療関連職種などから必要とされる存在となることが重要です。専門性やスキルを磨き、医療に貢献できる薬剤師になりましょう。
薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。
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