


Q189 薬局で「問診票を書きたくない」という患者さんへの対応方法

Q189 薬局で「問診票を書きたくない」という患者さんへの対応方法


来局した患者さんに問診票の記入をお願いすると、「書きたくない」「めんどくさい」などと拒否されてしまうことがあります……。前向きに協力していただくには、どのような対応が必要なのでしょうか?


問診票記入を依頼するときの伝え方に気をつけましょう
問診票の記入を嫌がる患者さんは、どの薬局にも必ずいるように思います。薬剤師の立場からすれば、服薬指導に必要な情報についてたずねているのに「書きたくない」「めんどくさい」などと拒否されると、服薬指導前から前途多難と感じてしまうかもしれません。
今回は「前向きに協力してもらうための対応」についてのご相談ですが、この考え方が素晴らしいと感じました。たとえ服薬指導に必要な情報だとしても、問診票にご記入いただくのは薬局の都合です。複数の病院やクリニックを受診するたびに問診票を記入する患者さんの立場になってみれば、拒否したくなる気持ちもわかるというもの。薬局スタッフは、患者さんに問診票記入を「お願いする」「協力してもらう」という意識を持って対応に臨むことがとても重要だと思います。
そこで気を付けたいのが、問診票記入をお願いするときの伝え方です。問診票の記入事項はいずれも服薬指導に必要な情報なので、薬剤師にとっては確認するのが当たり前のことかもしれませんが、すべての患者さんがそのような背景を理解している訳ではありません。
確認するのは当然とばかりに「問診票に記入してください」と言い切ってしまうと、命令されているように感じた患者さんが「理由もわからないのに書きたくない」と拒否反応を示すことも考えられます。
そのため、問診票記入を依頼する際は、基本的に「協力をお願いする」スタンスで臨みましょう。
「こちらにご記入いただけますか」といった言い方で伝えると、患者さんの意向を伺う姿勢が伝わります。それでも患者さんが拒否したり、拒否しそうな気配があったりする場合は、「ご記入いただけないでしょうか」と否定形のお願いにすれば、より丁寧な言い方になります。
さらに、急いでいる患者さんには「お急ぎのようですから手早く済ませますね」、記入できたら「ご記入ありがとうございます」とお礼を伝えるなど、共感や感謝を伝えるプラスアルファの言葉を伝えましょう。
今回は「前向きに協力してもらうための対応」についてのご相談ですが、この考え方が素晴らしいと感じました。たとえ服薬指導に必要な情報だとしても、問診票にご記入いただくのは薬局の都合です。複数の病院やクリニックを受診するたびに問診票を記入する患者さんの立場になってみれば、拒否したくなる気持ちもわかるというもの。薬局スタッフは、患者さんに問診票記入を「お願いする」「協力してもらう」という意識を持って対応に臨むことがとても重要だと思います。
そこで気を付けたいのが、問診票記入をお願いするときの伝え方です。問診票の記入事項はいずれも服薬指導に必要な情報なので、薬剤師にとっては確認するのが当たり前のことかもしれませんが、すべての患者さんがそのような背景を理解している訳ではありません。
確認するのは当然とばかりに「問診票に記入してください」と言い切ってしまうと、命令されているように感じた患者さんが「理由もわからないのに書きたくない」と拒否反応を示すことも考えられます。
そのため、問診票記入を依頼する際は、基本的に「協力をお願いする」スタンスで臨みましょう。
「こちらにご記入いただけますか」といった言い方で伝えると、患者さんの意向を伺う姿勢が伝わります。それでも患者さんが拒否したり、拒否しそうな気配があったりする場合は、「ご記入いただけないでしょうか」と否定形のお願いにすれば、より丁寧な言い方になります。
さらに、急いでいる患者さんには「お急ぎのようですから手早く済ませますね」、記入できたら「ご記入ありがとうございます」とお礼を伝えるなど、共感や感謝を伝えるプラスアルファの言葉を伝えましょう。
🔽 薬局での患者さんへの対応に関する相談に回答した記事はこちら
薬剤師の接遇マナー・テクニック Q182 減薬を不安に思う患者さんへの対応方法

問診票を書きたくない理由を探り、柔軟に対応しましょう
次に、患者さんが問診票記入を拒否する場合の対応について考えてみましょう。患者さんごとに理由はさまざまですが、よくあるのが「病院でも書いたのに、また書くの?」というものです。
このように感じている患者さんは少なくないため、相手が理解しやすい言葉遣いを意識しつつ、医薬分業により双方で情報収集するメリットなどを説明します。問診票を「薬局のための情報収集」だと思い込んでいる患者さんもいるので、「患者さんお一人お一人に適切な服薬指導をおこなうために必要な情報です」などと説明して、理解を得る努力をしましょう。「ほかの患者さんに知られたくない」という理由で断る患者さんの場合は、個人情報の取り扱いについて説明します。
そもそも「質問される理由がわからない」という患者さんもいますから、患者さんの気持ちを受けとめ、住所や電話番号、副作用やアレルギー歴などをたずねる理由をわかりやすく説明する努力が欠かせません。
これらを説明しても「書きたくない」「書くのがめんどくさい」という患者さんには、「口頭でも構いませんので、教えていただけませんか」などと丁重にお願いしてみます。同じ「書きたくない」でも「急いでいるから」という患者さんには「1分で終わりますから、ご協力お願いします」のように、目安の時間を提示してもいいでしょう。繰り返しになりますが、記入するのを当たり前と思わず、お願いのスタンスで臨んでほしいと思います。
もしかすると、患者さんは初めての薬局に戸惑い、いろいろ質問されることに驚いて、とっさに「めんどくさいなぁ」と思ってしまっただけかもしれません。患者さんに安心して「答えたい」と思ってもらえるよう、優しい表情と丁寧な仕草を忘れず、患者さんの表情や口調までしっかり観察して気持ちを推察し、要望に沿って臨機応変に対応してほしいと思います。
このように感じている患者さんは少なくないため、相手が理解しやすい言葉遣いを意識しつつ、医薬分業により双方で情報収集するメリットなどを説明します。問診票を「薬局のための情報収集」だと思い込んでいる患者さんもいるので、「患者さんお一人お一人に適切な服薬指導をおこなうために必要な情報です」などと説明して、理解を得る努力をしましょう。「ほかの患者さんに知られたくない」という理由で断る患者さんの場合は、個人情報の取り扱いについて説明します。
そもそも「質問される理由がわからない」という患者さんもいますから、患者さんの気持ちを受けとめ、住所や電話番号、副作用やアレルギー歴などをたずねる理由をわかりやすく説明する努力が欠かせません。
これらを説明しても「書きたくない」「書くのがめんどくさい」という患者さんには、「口頭でも構いませんので、教えていただけませんか」などと丁重にお願いしてみます。同じ「書きたくない」でも「急いでいるから」という患者さんには「1分で終わりますから、ご協力お願いします」のように、目安の時間を提示してもいいでしょう。繰り返しになりますが、記入するのを当たり前と思わず、お願いのスタンスで臨んでほしいと思います。
もしかすると、患者さんは初めての薬局に戸惑い、いろいろ質問されることに驚いて、とっさに「めんどくさいなぁ」と思ってしまっただけかもしれません。患者さんに安心して「答えたい」と思ってもらえるよう、優しい表情と丁寧な仕草を忘れず、患者さんの表情や口調までしっかり観察して気持ちを推察し、要望に沿って臨機応変に対応してほしいと思います。



村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/


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