【日薬 岩月会長】薬剤師評価制度創設に意欲 ~ 研修・実践履歴を可視化
日本薬剤師会の岩月進会長(写真)は、本紙の取材に応じ、薬剤師個人を対象とした評価制度の創設構想を明らかにした。患者対応や地域活動などの実践履歴を電子的に蓄積し、その情報をもとに評価指標を策定する。現在の調剤報酬による薬局評価だけでは難しい優秀な薬剤師の適正な処遇につなげ、地域で活躍できる環境整備を目指す考えだ。
岩月氏は、会員減少が続く背景について「日薬が何をする団体なのかが十分明確になっていないことも課題の一つだ」と指摘。日薬が担うべき役割として「薬剤師免許を管理できる職能団体になりたい」との考えを示した。
構想の柱となるのは、薬剤師が受講した研修や職歴、患者や地域社会への貢献実績などを電子的に記録し、蓄積する仕組みの構築だ。薬局や病院での勤務履歴に加え、製薬企業、医薬品卸、大学、行政機関などあらゆる職域でのキャリアを一元的に管理し、「薬剤師が患者にどのように向き合ってきたのか、地域活動で何をしてきたのかを見える化したい」と話す。
蓄積した情報は、薬剤師の活動や成果を示すエビデンスとして活用する。個人単位では見えにくかった経験や実績を分析し、「どのような経験を持つ薬剤師をどの程度評価するべきか」「どのような処遇が望ましいか」といった評価指標の策定につなげる考えである。将来的には、客観的な評価制度の構築も視野に入れている。
こうした構想の背景には、調剤報酬による薬局評価だけでは、患者や地域に貢献する薬剤師が十分に評価されていないとの問題意識がある。
岩月氏は「現在の調剤報酬は薬局を評価する制度であり、個々の薬剤師の能力を評価する仕組みではない。薬局が一定の基準を満たせば収益が得られる一方、その収益が優秀な薬剤師の処遇改善に十分結びついているとは言えない」と指摘。薬学教育6年制移行後も国家公務員俸給表への適切な反映が進んでいない現状に触れ、「それならば自分たちで評価の仕組みを作ろうと考えた」と背景を語る。
一方、制度を現場で機能させるためには、薬局開設者の理解が欠かせないとする。岩月氏は「薬局薬剤師は約19万人いる一方、薬局オーナーは約1割に過ぎない。残る大多数は勤務薬剤師だ。こうした評価制度で評価してほしいという声を勤務薬剤師側から上げていく必要がある」と述べた。日薬会員は薬局開設者が主体だが、評価制度導入により勤務薬剤師の入会にもつなげたい考えだ。
また、評価制度による処遇改善を実現するためには薬局経営基盤の強化も不可欠との認識を示した。岩月氏は「能力に見合った処遇が十分行われなかった結果、多くの薬剤師が独立開業を目指し、薬局数は全国で6万軒を超えた。そこに資本集約型の事業者も参入し、効率性を重視した経営が進んだ」と分析。
「評価制度ができても、高い給与を支払う体力がなければ意味がない。このままでは持続しない。優秀な薬剤師が活躍し続けるためには薬局という箱の統合・集約化を進め、経営基盤を強化していく必要がある」と強調した。
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
日薬の岩月会長が薬剤師個人を対象とした評価制度の創設構想を明らかにしました。患者対応や地域活動などの実践履歴を電子的に蓄積し、その情報をもとに評価指標を策定。薬剤師の適正処遇へとつなげ、地域で活躍できる環境整備を目指す考えです。