ビューティー
更新日:2023.05.30公開日:2016.08.01 美容&健康トレンド薬剤師兼美容家として活動する花田真理さんが、「薬剤師として知っておきたい美容の知識」「手軽にできるヘアアレンジ」など、“薬剤師と美容”をテーマに語るコラムです。
前回の「パラベンフリー」に引き続き、今回は化粧品の「無添加」という表示について説明しましょう。
無添加とは?
化粧品における「無添加」とはどのようなものなのか。その定義は、化粧品の基準を定めている「医薬品医療機器法(旧薬事法)」で決められているわけではありません。
2001年4月に化粧品の全成分表示が義務づけられる前は、表示指定成分の表示が義務づけられていました。
一般的には、この「表示指定成分」が配合されていない化粧品を「無添加化粧品」といいます。
表示指定成分とは?
表示指定成分とは、「使う人の体質によってごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分」のことをいいます。1960年代に、色素沈着型化粧品皮膚炎などの化粧品による皮膚トラブルが多発していたことがありました。
このトラブルを避けるために1980年に厚生省(現・厚生労働省)がプロピレングリコール、セタノール、オキシベンゾンなどを含む102種類の成分 に香料を加えた全103種類を表示指定成分として指定し、これらを化粧品に配合した場合は表示することを義務づけました。前回お伝えした「パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)」もこの中に含まれていました。
2001年4月以降は薬事法(現在は「医薬品医療機器等法」に名称変更)によって、化粧品(医薬部外品は除く)は全成分を表示するよう義務づけられたため、表示指定成分は全成分表示の一部として表示されるようになりました。化粧品の全成分表示が義務づけられてからは103種類の表示指定成分は「旧表示指定成分」と呼ばれています。
化粧品メーカーが「無添加」とうたう理由は?
パラベンフリーと同様に、「無添加なら安全・安心」と思い込んでしまう人がいるためです。あえてキャッチコピーとして使用して、消費者の注目を集めようとしている企業もあるかもしれません。
無添加化粧品の注意点とは?
「化粧品には旧表示指定成分が配合されていなければ安全だ」と思う人もいるでしょう。しかし表示指定成分が制定されたのは1980年のことで、35年以上前の話です。35年も経過すれば時代は変化します。旧表示指定成分でも改良が行われ、35年前より安全性が高まった成分もあります。
また、時代の変化とともに新しい成分がたくさん出てきました。新しい成分なら安全なのかといえば、確認のためのデータが少ないため安全性が不確かな成分もあり、無添加だからといってその化粧品が安全だとはいえません。
最後に
「パラベンフリー」も「無添加」も、一概に「パラベンフリー、無添加=安心・安全」という一般的なイメージと合致しているとはいえません。
肌に合うものは人それぞれ異なるため、「この成分が入っているから肌にいい/悪い」ということは一概にいえず、自分の肌に合うかどうかが一番大切です。
そのため、「パラベンフリー」や「無添加」など肌にやさしいもののように製品をイメージづけるキャッチフレーズには気をつけなければなりません。
正しい知識を持つことで、無意味なキャッチフレーズに飛びついて失敗することを防げます。
こうした化粧品の購入について相談された場合は、患者さんやお客さまにもこれらのことを丁寧に説明して、自分の肌に合う化粧品を探せるようアドバイスしてあげてくださいね!
あわせて読みたい記事