3件をオーファン指定‐ロミデプシンにPTLC
薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は5日、ファイザーのクリゾチニブなど3件を希少疾病用医薬品に指定することを了承した。
▽クリゾチニブ(ファイザー):予定する効能・効果はROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺癌。同疾患は、EGFR変異やALK融合遺伝子を持たない場合と同程度で予後不良とされ、現在、一次治療として白金系抗癌剤を含む2剤併用化学療法、二次治療としてドセタキセルなどによる化学療法が行われているが、化学療法開始後の全生存期間は8~12カ月程度と予後不良。
クリゾチニブは、ROS1のチロシンキナーゼを阻害する新たな作用機序を持っており、高い有効性が期待できることから、医療上の必要性は高いと判断した。現在、同疾患を対象にした国際共同第II相試験が実施中。その成績に基づき承認申請予定であり、開発の可能性は高いとした。
▽ロミデプシン(セルジーン):予定される効能・効果は、末梢性T細胞リンパ腫(PTLC)。同疾患は、中悪性度リンパ腫に分類され、治療しなければ1カ月単位の病勢進行を示し予後不良とされ、標準的治療は確立されておらず、多剤併用化学療法では完全寛解率が低く、短期間で再発することが知られる。
ロミデプシンは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害する抗癌剤で、既存薬のブレンツキシマブベドチン、モガムリズマブでは適応患者が限られることから、医療上の必要性は高いと判断した。国内試験で完全奏効率がモガムリズマブと同等以上だったことから、再発・難治性PTLCを効能・効果に承認申請を予定しているほか、未治療患者に海外で医師主導試験が実施中であり、開発の可能性は高いとした。
▽R05534262(中外製薬):予定される効能・効果は血液凝固第VIII因子に対する中和抗体を保有する先天性血液凝固第VIII因子欠乏症(血友病A)患者における出血傾向の抑制。インヒビターを有する血友病A患者では、第VIII因子を迂回して血液凝固反応を達成するバイパス製剤による治療が行われ、現在2製剤が承認されているが、血漿分画製剤であるため原材料由来の感染症リスクがある。
同剤は、遺伝子組み換えヒト化二重特異性抗体で、感染症リスクを低減したもので、既存薬と比べて高い安全性が確保されており、医療上の必要性は高いと判断した。国内第I/II相継続投与試験でインヒビターを有する患者の年間出血回数の平均値が低下したことに加え、現在国際共同第III相試験が実施中であることから、開発の可能性は高いとした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2016年8月5日(金)、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は「クリゾチニブ」「ロミデプシン」「R05534262」を希少疾病用医薬品に指定することを了承しました。クリゾチニブはROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺癌への高い有効性が期待されています。