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更新日:2020.03.05公開日:2016.09.05 美容&健康トレンド薬剤師兼美容家として活動する花田真理さんが、「薬剤師として知っておきたい美容の知識」「手軽にできるヘアアレンジ」など、“薬剤師と美容”をテーマに語るコラムです。
病院や薬局に勤めていると、アトピー性皮膚炎の方と接する機会があると思います。
アトピー性皮膚炎といっても重症~軽度まであるので肌の状態は様々ですが、アトピー肌の場合、正しい方法で洗顔を行うことは、症状を悪化させないために重要なポイントになります。
洗顔方法を正しく理解している方は問題ないのですが、「洗顔方法が間違っていたためにアトピー性皮膚炎の症状が悪化してしまった……」なんて声も耳にします。
そうならないためにも、今回はアトピー肌向けの洗顔方法についてご説明します。
アトピー肌の状態とは
アトピー性皮膚炎の方は、肌が乾燥している状態です。これは肌(角質層)の水分含有量が低下していて、バリア機能が低下している状態です。
外部からの異物の侵入や、刺激を受けやすくなっている状態ともいえます。
洗顔時に気をつけるべき3つのポイント
アトピー肌の状態を考慮して、洗顔時には気をつけたいポイントがあります。
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①使用するクレンジング剤や洗顔料の種類
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②摩擦
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③洗い方
では、具体的にどのような点を気をつけるといいのかみていきましょう。
①使用するクレンジング剤や洗顔料の種類
重症の場合はお化粧を控えるのがベストですが、軽症の場合はお化粧をする方もいるでしょうし、アトピー肌は紫外線の刺激に敏感になっているため、紫外線対策のために日焼け止めを使用した方がいい場合もあります。
メイクをしたり、日焼け止めを塗ったりした場合はクレンジングが必要になりますが、使用するクレンジング剤や洗顔料は適切なものを選ぶ必要があります。
<クレンジング剤・洗顔料>
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・クレンジング剤は合成界面活性剤を含まないオイルやコールドクリームを使用する。
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・不純物がなるべく含まれていない精製度が高いものを選ぶ。
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・香料など刺激になりやすい添加物の配合が少ないものを選ぶ。
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・洗顔料は肌に合わせて無添加石鹸や低刺激性のものを選ぶ。
②摩擦
先ほど、「アトピー肌は皮膚のバリア機能が低下している状態」だと説明しました。摩擦はバリア機能を低下させる原因の1つです。
洗顔時は肌に摩擦が起きやすいのですが、特に下記のような行為は肌への刺激が大きくなります。極力避けるようにしましょう。
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・クレンジング剤のオイルやクリームを温めずに使用する。
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・クレンジング剤の量が少ない。
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・洗顔料を泡立てずにそのまま使う。
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・肌をゴシゴシこすってしまう。
③洗い方
適切なクレンジング剤や洗顔料を選んだあとは、洗い方も重要です。
下記のような点に注意して洗いましょう。
<クレンジングの場合>
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①合成界面活性剤を含まないクレンジング剤をたっぷり取り、手のひらをこすり合わせて温める。
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②肌にのせ、優しくメイクと馴染ませる。
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③メイクが浮き上がったら顔をティッシュや柔らかいキッチンペーパーで押さえ油分を吸収させる。(合成界面活性剤を含まないクレンジングは水で洗い流せないため)
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④蒸しタオルで10秒ほど肌を覆い、タオルを押しあてるようにして拭き取る。タオルの綺麗な面を使い、これを2~3回程度くり返す。(こすらないように注意)
※アトピー肌の場合、ダブル洗顔は不要です。
<洗顔料の場合>
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①洗顔料に適度な水を含ませ、しっかり泡立てる。(洗顔ネットを使用すると簡単に泡立ちます)
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②洗顔時はTゾーンから洗い始め、力を入れず肌の上で泡を転がすように洗う。(洗顔時間1分以内を目安に)
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③ぬるま湯(32℃~36℃)でしっかりすすぐ。(すすぐ回数は20回程度が目安)
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④タオルで押さえるようにして、肌についた水分を吸い取る。
最後に
クレンジング剤や洗顔料はアトピーの状態や肌質によって合わない場合があります。
初めて使用する商品の場合は、必ず事前にパッチテストを行いましょう。商品に低刺激と記載されていても刺激が強い場合があります。また、気をつけなければならないのが、「食用オイルやオーガニックコスメ」です。
「食用」や「オーガニック」と聞くと肌に優しそうなイメージがありますが、「食べられる・自然=安全・肌に優しい」ではありません。食用のオイルやオーガニックコスメと呼ばれるもの中には精製度が低く、不純物が多いものがあるといわれています。
肌トラブルのない方が使用する分にはさほど気にすることはありませんが、アトピー肌は刺激に敏感なため不純物によりアトピー性皮膚炎が悪化する可能性があり、注意が必要です。
アトピー性皮膚炎が悪化しないようにするためにも、正しい商品選びや洗顔方法を知っておきましょう。
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