必要な知識問う出題に‐国試出題基準まとまる
医道審議会薬剤師分科会の薬剤師国家試験出題基準改定部会は10月31日、薬剤師国試出題基準の見直し案を大筋で了承した。8月の同部会で、「物理・化学・生物」について、「薬剤師として基本的な資質があるかどうかを確認するのにふさわしい問題となっていない」などの意見が出たことを踏まえ、国試で確認すべき知識のレベルを具体的に例示。また、臨床との関連を意識する必要がある「物理・化学・生物」「衛生」において、出題に際しての留意事項を記載することとした。新たな出題基準は、20年度の第106回薬剤師国試から適用される。
「過度に難解」避けるべき
新基準では、「薬剤師として備えなければならない基本的な知識や技能、態度を評価する」「薬剤師として必要不可欠な基本的な資質を確認する」「薬剤師が直面する一般的な課題を解釈・解決するための資質を確認する」といった表現を多用。
全般的な出題の考え方として、「試験資格として過度に難解な問題は避ける」「末梢的な事項や、一部の例外的な事項を取り上げるような問題はできるだけ避ける」ことなども明示している。
薬剤師に必要な基本的知識を確認する出題とするため、「物理・化学・生物」の小項目の例示において、改訂コアカリの記載を活用しつつ、「どの程度までの知識を問う出題とすべきか」が分かるような記載とすることとなった。
小項目「化学結合」の例示では、▽化学結合の様式について説明できる▽分子軌道の基本概念および軌道の混成について説明できる▽共役や共鳴の概念を説明できる――などを挙げている。
過去に、「小項目:官能基の基本事項」において、化学史を問うような出題があり、薬剤師の知識として化学史が必要かどうかとの指摘を受けたことを踏まえ、新基準では、「物理・化学・生物」「衛生」など、臨床との関連を意識する必要がある科目では、臨床との関連を意識できるよう、小項目ごとの例示だけでなく、出題に際しての留意事項を記載することとなった。
「物理・化学・生物」の「化学結合」を例に挙げると、「ヒトの体および薬物の基本的性質・特性を理解するために必要となる基礎知識を問う」ことが記載された。
また、厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」を策定し、「健康サポート薬局」を創設したことを踏まえ、「法規・制度・倫理」で、「地域における薬局(健康サポート薬局を含む)の機能と役割について説明できる」「かかりつけ薬局・薬剤師による薬学的管理の意義について説明できる」などの文言が追記された。
試験科目は、物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務の七つで、現行と変わらないものとした。
新たな出題基準の作成は、改訂コアカリが適用された学生が初めて受験する薬剤師国試が20年度からスタートすることを踏まえたもの。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2016年10月31日(月)、薬剤師国家試験出題基準改定部会は薬剤師国家試験の出題基準の見直し案を了承しました。「薬剤師として備えなければならない基本的な知識や技能、態度を評価する」などの表現を多用し、国試で確認すべき知識のレベルを具体的に例示しています。それとともに、臨床との関連を意識する必要がある「物理・化学・生物」「衛生」については「どの程度までの知識を問う出題とすべきか」がわかる記載とすることが決まったと伝えられています。