「アビガン」の備蓄必要‐新型インフル対策で方針
厚生労働省の新型インフルエンザ対策に関する小委員会医療・医薬品作業班会議は3日、富山化学の新型インフルエンザ薬「アビガン」について、既存のノイラミニダーゼ阻害剤4剤に耐性化したウイルスの出現リスクを踏まえ、備蓄しておくことが重要との考えをまとめ了承した。安全性や有効性のデータが限定的であることや胎児に対する催奇形性が懸念されることから、ハイリスクの成人で重篤患者に投与を限定し、新型インフルエンザ発生時の使途や対象者をガイドラインで示すことなどが必要とした。
アビガンをめぐっては、▽タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの4剤全てに耐性化した新型インフルエンザウイルスの出現可能性とその規模▽新型インフルエンザ対策としてノイラミニダーゼ阻害以外の作用機序を持つ抗インフルエンザウイルス薬の備蓄が必要か▽アビガン錠の有効性と安全性を踏まえ、新型インフルエンザ対策上備蓄が必要か――の三つの論点に絞って昨年11月から4回にわたり議論してきた。
この日の班会議では、アビガンについて、タミフルやリレンザなど既存のノイラミニダーゼ阻害薬4剤全てに耐性化したウイルスが出現する可能性は低いとしつつ、バイオテロや研究室からの漏出によって多剤耐性ウイルスが広がる可能性は否定できないとし、「作用機序が異なる薬剤を使用できるように準備しておくことが必要」と備蓄の必要性を指摘した。
アビガンの安全性・有効性に関しては、「有効性が期待できる」としながらも、臨床的な有効性データがノイラミニダーゼ阻害薬4剤よりも少ないことを指摘。
これらを踏まえ、重篤度の高い新型インフルエンザが発生した場合で、かつ既存のノイラミニダーゼ阻害薬4剤全てに耐性化した場合に使用を限定すべきとした。その場合、インフルエンザウイルスが消えにくい免疫抑制患者などのハイリスク群の成人で、重篤な患者を投与対象者とすることを提言した。また、胎児に対する催奇形性の恐れがあることから、妊婦への投与を原則として禁止し、安全性や有効性のデータがない小児も投与対象外にすべきとした。
さらに、具体的な投与対象者や投与方法を診療ガイドラインに明記し、迅速に供給できる流通体制を整備すべきとした。
厚労省は、班会議の結論を踏まえた上で、今月中旬に開催予定の小委員会で引き続き備蓄の必要性を議論することにしている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省の新型インフルエンザ対策に関する小委員会医療・医薬品作業班会議は、2017年2月3日(金)に既存のノイラミニダーゼ阻害剤4剤に耐性化したウイルスの出現リスクを踏まえ、新型インフルエンザ薬「アビガン」を備蓄しておくことが重要との見解をまとめました。使途や対象者をガイドラインで示すことなどが必要としています。