オピオイド誘発便秘に新薬‐3件の承認・一変を了承
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は9日、塩野義製薬のオピオイド誘発性便秘症治療薬「スインプロイク」など3件の承認と一部変更承認申請を審議し、了承した。
〈審議品目〉
▽ステラーラ点滴静注130mg、同皮下注45mgシリンジ(ヤンセンファーマ):有効成分のウステキヌマブ(遺伝子組み換え)を含有し、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期クローン病の導入療法を効能・効果とすると共に、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期クローン病の維持療法の効能・効果を追加する。導入療法については新規で承認申請が行われた。
同剤は、ヒトIL-12/23p40に対するヒト免疫グロブリンG1κモノクローナル抗体で、類薬にはレミケード、ヒュミラがある。
用法・用量は、導入療法については初回に患者体重が55kg以下は投与量260mg、55kg~85kg以下は390mg、85kgを超える人は520mgを単回点滴静注する。維持療法には、投与8週後に90mgを皮下投与し、以降は12週間隔で90mgを皮下投与する。効果が減弱した場合には投与間隔を8週間に短縮できる。
再審査期間は6年。海外では、皮下注製剤が欧米など80カ国以上で承認されているが、クローン病の適応は米国で昨年9月、欧州で昨年11月に既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期にあるクローン病を適応症として静注製剤、皮下注製剤が承認されている。
▽スインプロイク錠0.2mg(塩野義製薬):新有効成分のナルデメジントシル酸塩を含有し、オピオイド誘発性便秘症を効能・効果とする。同剤は、末梢性μオピオイド受容体拮抗薬。中枢のμオピオイド受容体に作用することなく、消化管におけるオピオイドの末梢性作用に拮抗してオピオイド誘発性便秘症を改善する新規作用機序を持つ。類薬はない。
用法・用量は、1回0.2mgを1日1回経口投与する。再審査期間は8年。海外では、米国で審査中。それ以外承認を取得している国はない。
▽マキュエイド硝子体内注用40mg(わかもと製薬):有効成分のトリアムシノロンアセトニドを含有し、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、非感染性ぶどう膜炎の効能・効果、テノン嚢下投与の新投与経路を追加する。類薬はない。
用法・用量は、テノン嚢下投与の場合、1バイアルに1mLの生理食塩水または眼灌流液を注入してトリアムシノロンアセトニド濃度が40mg/mLになるよう用時懸濁し、トリアムシノロンアセトニドとして20mg(懸濁液として0.5mL)をテノン嚢下に投与する。
再審査期間は6年。海外で開発は行われていない。
〈報告品目〉
▽エポプロステノール静注用0.5mg「ACT」、同静注用1.5mg「ACT」(アクテリオンファーマシューティカルズジャパン):有効成分のエポプロステノールナトリウムを含有し、肺動脈性肺高血圧症に関する小児の用法・用量を追加する。再審査期間はなし。
▽Dドライ透析剤2.75S(日機装):慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液を効能・効果とする類似処方医療用配合剤。Dドライ透析剤の自動溶解装置を使用している医療機関において、医療従事者の取り違えによる混合ミスを防止するため、既承認のDドライ透析剤2.5S、同3.0Sと違い、カルシウムイオン濃度が2.75mEq/Lとなるよう設計された。再審査期間はなし。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2017年2月9日(木)、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は新薬3件の承認と一部変更承認申請を審議し、了承しました。塩野義製薬のオピオイド誘発性便秘症治療薬「スインプロイク」は新有効成分のナルデメジントシル酸塩を含有し、消化管におけるオピオイドの末梢性作用に拮抗してオピオイド誘発性便秘症を改善する新薬ということです。