薬剤師会

敷地内薬局、厚労省が“見解”説明‐委員「納得せず」、再度説明を

薬+読 編集部からのコメント

2016年10月に国立病院機構災害医療センターが薬局の公募を取りやめた経緯について、政府の規制改革会議「医療・介護・保育ワーキングループ」が厚労省に再度の説明を求めました。厚労省は敷地内に開設した薬局が「同センターからの処方箋を集中して応需することが想定される公募条件であったため」と説明しましたが、会議側は改めて説明を求める方針ということです。

政府の規制改革会議「医療・介護・保育ワーキングループ」は14日、昨年10月に厚生労働省が国立病院機構に示した“見解”によって、当時、敷地内薬局の誘致に動いていた国立病院機構災害医療センターが薬局の公募を取りやめた経緯について、厚労省から再度、説明を求めた。

 

敷地内薬局公募の中止をめぐっては、厚労省が目指す「患者本位の医薬分業の実現」「かかりつけ薬剤師・薬局の推進」といった政策と「合致しない」ことから、厚労省所管の独立行政法人が開設する病院として「望ましくない」との見解を国立病院機構本部に伝達。その後、災害医療センターは、既に行っていた薬局の公募を中止した。

 

これに政府の規制改革推進会議が反発。昨年11月の同ワーキングで、厚労省に事実関係の説明を求めたものの、会議側は「明確な回答が得られなかった」とし、引き続き説明を求めていく考えを示していた。

 

この日の会合で会議側は、改めて厚労省に対し、見解を示すに至った経緯や背景、「望ましくない」と問題視した理由、今後の対応方針などを質問。

 

厚労省は、敷地内に開設した薬局が「同センターからの処方箋を集中して応需することが想定される公募条件であったため」と説明した。

 

さらに会議側は、敷地内であっても患者が指定すれば「かかりつけ薬局」になり得る点を指摘し、「なぜ、かかりつけ薬剤師・薬局を推進する政策の方向性に合致しないのか」と質した。

 

これに対して厚労省は、高度急性期病院の機能を有する同センターでは、「慢性疾患の治療なども含め、患者が医療機関を継続的に受診することは基本的に想定されない」と指摘。

 

しかし、公募要件では、同センターの院外処方箋平均発行枚数の全てを処方できる体制を求めるなど、「処方箋の集中的な応需も可能」な状況となっていることや、地理的状況から、「他の医療機関を受診した患者が敷地内薬局を利用することは想定しがたいため」と説明した。

 

内閣府規制改革推進室の中沢謙二参事官によると、会議に出席した委員からは、救急で運ばれた患者にすぐ医薬品を出せる体制が整った薬局が敷地内にあることが「なぜおかしいのか」との意見が出たという。会議側は「納得できない」とし、改めて厚労省に説明を求める方針だ。

 

20件中3件が敷地内不可‐地方厚生局が事案照会

 

この日の会議に厚労省が提示した資料によると、地方厚生局が敷地内薬局の指定を検討した際、判断がつかず厚労省に照会した事案は、昨年4月から11月15日までに20件に上り、そのうち3件が保険薬局の指定不可となっていたことが分かった。

 

指定不可となった3件の薬局は、「公道から存在が確認できなかった」が2件、「医療機関と薬局が一体的な経営に当たる」と判断されたものが1件だった。

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出典:薬事日報

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