いよいよ始まったマイナンバー制度。「会社や薬局でマイナンバーの「取扱担当者」に任命された」「適切な管理体制を作るように求められた」という方もいるかもしれません。このコラムでは薬剤師が個人として、事業者として、マイナンバーをどう扱うべきかをお伝えします。マイナンバー制度の基本、薬剤師として必要な情報はここでチェック!
第5回 従業員にとってのマイナンバー
日本国内の住民票を持つ人すべてに発行されたマイナンバーの「通知カード」。受け取ったけれど、そのまま机の引き出しにしまい込んでいる人も多いのではないでしょうか。「会社に番号を知らせるときに使っただけで、他には何に使えるのかわからない……」という方のために、従業員がマイナンバーを使う場面を解説します。
従業員がマイナンバーを使う場面と必要性
現時点で従業員がマイナンバーを使う場面といえば、所属する企業に対して提示し、税金や社会保険に関する手続きに使われるくらいでしょう。もし個人で株式取引などを行っている場合は、証券会社からも提供を求められます。
これでは、「行政の効率化」や「公平・公正な社会の実現」のように国へのメリットが多く、利用者としてはメリットが少ない、と感じてしまうかもしれません。しかし、受け取った通知カードを使い続けるのではなく、「マイナンバーカード」を申請すれば便利に使える場面もあるのです。
「通知カード」と「マイナンバーカード」の違い
最初に「通知カード」と「マイナンバーカード」の違いについて復習しておきましょう。まず、「通知カード」とは申請しなくても受け取れる紙のカードのこと。おそらく皆さんも受け取ったことと思います。ただ、この通知カードではマイナンバーを証明することしかできません。
一方「マイナンバーカード」は、通知カードと同封されていた「個人番号カード申請書」を提出することで発行されます。マイナンバーカードは顔写真付きのプラスチック製カードで、マイナンバーを証明できるだけでなく、「身分証明書」としても使用できます。運転免許証などを持っていない方は、身分証明書としてマイナンバーカードを使えるのです。
マイナンバーカードでできること
運転免許証などを持っており、身分証明書としての使用が不要な場合、現時点では多くの人にとっては通知カードで十分です。しかし、マイナンバーカードにはICチップが搭載されているため、コンビニなどで住民票の写しや印鑑証明などを発行できるようになります。(※自治体により開始時期は異なる)
わざわざ市役所・区役所に行く必要がなくなり、多忙な人にとっては便利なサービスです。これまでも「住民基本台帳カード」を使えば一部の自治体では対応していましたが、「住民基本台帳カード」の発行は有料でした。マイナンバーカードは無料で発行できます。また、確定申告などの行政手続きをオンラインで実施できるようになります。e-Taxを使うことにより、自宅にいながら確定申告でき、源泉徴収票などの添付書類を省略できます。(※マイナンバーカードに対応した「カードリーダー」が必要)
マイナンバーカード発行時の注意点
2016年頭からマイナンバーカードを発行するシステムに障害が発生していましたが、現在は復旧しているため申請すれば2~3週間程度で発行されます。このとき、カードの有効期間について理解しておきましょう。
20歳以上の場合、有効期間は「発行日後10回目」の誕生日までです。つまり、8月に誕生日を迎える人の場合、7月に取得するのと9月に取得するのでは有効期間が1年近く変わってしまいます。(なお、ICカードに含まれる電子証明書は「発行日後5回目」の誕生日まで有効)
また、すでに住民基本台帳カードの電子証明書を使用している場合は、住民基本台帳カードとマイナンバーカードを同時には保持できません。マイナンバーカードを発行すると、住民基本台帳カードは返却する必要がありますので、現在の電子証明書の有効期間が無駄にならないように確認しておきましょう。
なお、e-Taxなどを使う場合はカードリーダーの対応状況についても調べておく必要があります。対応しているカードリーダーは以下のサイトを参考にしてください。
http://www.jpki.go.jp/prepare/reader_writer.html
住民基本台帳カードの電子証明書を使っていた場合、これまでのカードリーダーが使えない可能性もありますので注意が必要です。
次回は「医療等IDとマイナンバーの今後」についてご紹介します。