薬剤師のためのお役立ちコラム 公開日:2026.07.21 薬剤師のためのお役立ちコラム

薬剤師は人間関係が転職理由になりやすい?主な悩みの原因や解決方法を紹介

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師の中には、人間関係が原因で転職を考える人もいることでしょう。薬剤師は仕事の性質上、限られた空間で働くことが多く、他職種とのコミュニケーションも求められるため、人間関係への不満やストレスを感じることがあるかもしれません。本記事では、薬剤師が人間関係に悩む主な理由を職場別に紹介するとともに、人間関係の悩みを解決する方法や、人間関係の良い職場に転職するためのポイントについてお伝えします。

1.薬剤師は人間関係が転職理由になりやすい?

厚生労働省が公開している資料「薬剤師確保のための調査・検討事業 報告書」によると、調査時点の直近3年間(2018年4月~2021年3月)に退職した薬剤師のうち、病院薬剤師では4.4%、薬局薬剤師では8.0%が、退職理由に「職場の人間関係」を挙げていることが示されています。
 
参考:第12回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 参考資料3 薬剤師確保のための調査・検討事業 報告書(令和3年度厚生労働省医薬・生活衛生局総務課委託事業)|厚生労働省
 
病院・薬局いずれにおいても、「職場の人間関係」は「給与水準の不一致」や「働き方(勤務日数や勤務時間など)の不一致」よりも高い割合となっており、人間関係への不満は転職を決める理由になりやすいといえるでしょう。

 

2.薬剤師が人間関係に悩む主な理由

薬剤師が人間関係で悩む理由は、勤務先や個人の事情によっても異なりますが、ここでは職場別の主な理由を見ていきましょう。

 

2-1.病院

病院で働く薬剤師は、医師や看護師をはじめ、他職種と関わる機会が多くなります。そのため、薬剤師には調剤や薬剤管理だけでなく、他職種のスタッフが業務を円滑を進められるよう細かな配慮が求められます。
 
部署によって忙しい時間帯は異なるので、連絡事項を伝えるタイミングを計る必要があったり、他職種が担当する業務の進捗を見ながら患者さんへの服薬指導を行ったりする必要があるでしょう。
 
このような配慮をしているつもりでも、コミュニケーションに齟齬が生まれる、自分の仕事をなかなか理解してもらえないといった場合には、お互いに不満が生じてしまい、人間関係にも影響が及ぶ可能性があります。

 

2-2.調剤薬局

調剤薬局では、基本的にスタッフ同士が協力して調剤を行い、ミスの防止や待ち時間の短縮を目指すことになります。限られた空間の中で連携しながら業務を行うため、苦手な人がいたとしても、接触を避けるのは難しいものです。
 
たとえ仲の良い人同士でも、同じ空間で毎日長時間一緒に過ごしていると、息苦しさを感じることがあるかもしれません。
 
コミュニケーションがうまくかみ合わない場面があったり、忙しさによる苛立ちを隠せない人がいたりすると職場の雰囲気は悪くなりやすく、人間関係が悪化する原因になるでしょう。

 

2-3.ドラッグストア

ドラッグストアも病院と同様、薬剤師以外のスタッフが多い職場といえます。店舗によっては登録販売者の他、美容スタッフ、学生アルバイトなどが働いており、年齢や経歴、雇用形態もさまざまです。
 
立場や年代の異なるスタッフと働く上では、それぞれの考え方や価値観に合わせたコミュニケーションが求められます
 
また、非正規社員が多い職場では毎日異なるスタッフと働く場合もあり、コミュニケーション不足から人間関係のトラブルが生じてしまうことも考えられます。

 

2-4.製薬企業

製薬企業では、研究職や開発職、MR、DIといったさまざまな職種が働いており、担当する仕事や役割によって人間関係も異なるでしょう。
 
例えばMRは、営業職として、社内だけでなく病院の医師や薬剤師、調剤薬局の薬剤師・医療事務などとも円滑な人間関係を構築していかなければなりません。
 
業績を上げるためには良い人間関係を築いていく必要がありますが、コミュニケーションの齟齬やトラブルがあると、人間関係を保つことに気疲れしてしまうこともあるでしょう。

3.薬剤師の人間関係の悩みを解決する方法

人間関係に悩んだときは、周囲の信頼できる人に相談したり、人との接し方や考え方を変えてみたりすることで、問題を解消できる場合があります。また、異動や転職によって働く場所を変え、新しく人間関係を構築する方法もあるでしょう。ここでは、薬剤師が人間関係の悩みを解決する方法についてお伝えします。

 

3-1.上司や同僚に相談する

人間関係の悩みを解決するには、上司や同僚に相談してみるのも一つの方法です。例えば、どうしても苦手な同僚がいる場合、関わる機会が少なく済む環境を上司に作ってもらうことで、関係を修復するタイミングを計れるかもしれません。
 
仲の良い同僚に相談すれば、業務中にサポートしてもらえることもあるでしょう。円滑にコミュニケーションを取り合える職場環境づくりに協力してもらえれば、人間関係の問題を解消できる可能性が高まります。

 

3-2.友人や家族に相談する

上司や同僚に相談しづらい場合は、友人や家族など、職場外の人に相談することも検討してみましょう。自分のことをよく知る友人や家族だからこその適切なアドバイスがもらえることもあります。
 
また、状況を第三者に説明することで、人間関係が悪化した原因を自分の中で整理できるようになり、解決策を見いだせる可能性もあるでしょう。

 

3-3.人への接し方や考え方を変えてみる

苦手意識のある相手に、自分からすすんで接するのは抵抗があるかもしれません。相手の悪いところばかりが目につきやすく、会話すること自体を避けてしまいがちです。しかし、相手の良いところに目を向ける姿勢を持つことで、苦手意識が薄まるケースもあります。
 
他者の考え方を変えるのは難しい場合が多いため、まずは自分から人との接し方や考え方を変えることで、人間関係の悩みを解決できないか検討してみましょう。

 

3-4.職場以外のコミュニティを広げる

薬剤師は職場内のコミュニティが限られやすい面もあるため、ときには外に目を向けることも大切です。新しい価値観や考え方に触れる機会が増えると、悩みの解消につながることがあります。
 
さまざまな立場にいる人から話を聞くことで、自分の仕事にも生かせる考え方や情報が得られるかもしれません。

 

3-5.異動の希望を出す

勤務先の選択肢が複数ある職場なら、異動の希望を出してみるという手もあります。ストレスを抱えたまま同じ環境で働き続けていると、悩みを解決する方法がなかなか見つからない場合もあります。
 
異動によって職場の雰囲気が変われば、働きやすさも変わり、人間関係の問題解消につながることがあるでしょう。

 

3-6.別の職場に転職する

人間関係の修復が難しく、また異動もできない環境なら、思い切って転職するのも一案です。人間関係を一度リセットすることで、新たな気持ちで働くことができるかもしれません。
 
ただし、どんな職場でも人間関係のトラブルが生じる可能性はあります。次の職場で同じ問題が起きたときの対策や、トラブルを防ぐためにできることを考えておく必要はあるでしょう。

4.薬剤師が人間関係の良い職場へ転職するには?

薬剤師が人間関係の良い職場へ転職するには、しっかりと情報収集を行うことが大切です。転職活動に不安がある場合は、転職エージェントを活用するのも良いでしょう。ここでは、薬剤師が人間関係の良い職場に転職するためのポイントについてお伝えします。

 

4-1.求人に応募する前に十分な情報収集を行う

求人に応募する前に、十分な情報収集を行うことが大切です。職場の雰囲気やスタッフの人員バランスなどは、求人情報を見るだけでは分からないこともあります。
 
求人情報に書かれていることだけでなく、応募先のWebサイトや口コミなども確認しておくと、転職失敗を防ぎやすくなるでしょう。

 

4-2.実際に職場を見学させてもらう

転職活動において人間関係を重視したい場合には、職場見学を行うと良いでしょう。実際に働いている現場を見ることで、薬局長やスタッフ同士の会話の様子や、リアルな雰囲気を知ることができます。
 
可能であれば、患者さんが多い時間帯や、忙しい時間帯を見学させてもらうと、転職後の働き方をより具体的にイメージしやすくなるでしょう。

 

4-3.転職エージェントに相談する

人間関係が原因で転職を考えている場合は、転職エージェントに相談するのも一案です。転職を考えたきっかけを正直に話すことで、多種多様な求人から理想に近い職場を紹介してもらえる場合があります。
 
個人での情報収集には限界があるため、興味がある職場の情報を詳しく知りたい場合は、転職エージェントの活用も検討してみると良いでしょう。

 

5.人間関係のストレスを解消して、働きやすい環境に

薬剤師の職場は、少人数が限られた空間で協力しながら業務を行う環境であることも多く、人間関係の悩みが生まれやすい面もあります。人間関係の問題を解決するのが難しい場合は、異動や転職により新たな環境で再スタートを切るのも一つの方法です。自分の置かれた状況も踏まえて、働きやすい環境づくりのためにできることを検討してみましょう。

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。