薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.02.28公開日:2014.05.29 薬剤師の接遇マナー・テクニック

薬剤師が気をつけるべき服装・身だしなみ
薬剤師が気をつけるべき服装・身だしなみ

大学を卒業後、無事薬剤師になれたのですが、社会のマナーというか常識がわからず困っています。つい最近、Tシャツにショートパンツで出勤したところ、服装について薬局長から注意を受けました。勤務中は白衣を着ているし、服装は何でもいいと思うのですが……。

仕事に必要なのは「おしゃれ」より「身だしなみ」

どの薬局でも必ず問題になるのがこの服装。勤務中は白衣をはおるし、足元もカウンター内なので見えないはず、と思う方が多いようです。まずはおしゃれと身だしなみの違いについて考えてみてください。
「おしゃれ」は自分が主役です。好きなブランドの服を着たり髪形を変えたりして自分自身が楽しむこと。それに引き換え、「身だしなみ」は対峙する相手やまわりにいる人が主役。相手のことを第一に考え、相手に好感や信頼といった良い印象を持ってもらうためのものです。この2つのうち、仕事場の服装として求められるのはどちらでしょうか?そう考えると、おのずと答えは出てくると思います。大切なのは薬剤師としてのイメージを崩さないこと。医療人として、清潔感を第一に考えた身だしなみがポイントです。

薬局の外にいても薬剤師として見られている!

服装についてもう一歩、踏み込んで考えていただきたいのが、薬局は地域に根付いた存在であるということ。地域医療に貢献するため、近隣に住む人の役に立つために存在する機関です。そう考えると、薬局への行き帰りの服装についても、ある程度の節度が必要だという意味がわかりますよね。
皆さんも、例えば顔見知りの医師をプライベートで見かけたとき「○○病院の先生だ」と認識しますよね。病院以外の場所で会った、あるいは見かけたとしても医師であることには変わりないのです。その際、医師がパジャマのようなラフな服装だったとしたらどう感じますか?「信頼できる先生だと思っていたけど、イメージが全然違う」と思うのではないでしょうか。そのような印象が一度でもついてしまうと、いくら病院で素晴らしい仕事をしていても「でも、プライベートではだらしない人だし……」と思えてきます。
もちろん、休日も含めて常にきっちりとした服装である必要はありません。しかし、少なくとも仕事で薬局に行く日は、家を出た瞬間から薬剤師であるという誇りと自覚を持ち、いつ、誰に見られてもきちんとしていると思われる服装を心がけて欲しいと思います。
では、どの程度なら許されてどこからがNGなのか? 迷うところですよね。ファッションは感覚的なものなので、明確に「ここまで」と線引きするのは難しいのですが、敢えて言うなら100人中1人でも適していないと思ったら適していないということ。1人の患者さんに、「この薬剤師さんに私の薬を任せて大丈夫かしら?」と不安な思いをさせてしまうことになる。それでも着たい服か? そう考えてみてください。
信頼されるために必要なのは、「清潔感・安心・安全」という印象。患者さんのために「おしゃれ」よりも「身だしなみ」が優先できることが、プロフェッショナルとしての自覚の表れではないでしょうか。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
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