薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.03.23公開日:2016.09.07 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー

処方された薬が不満な患者さん
処方された薬が不満な患者さん

先日、服薬指導中に患者さんから「この薬、効かないから変えてほしいと先生に言ったんだけど、どうしてまたこの薬なの?」「今日はお金を払うけど、もらっても飲まないよ」と言われてしまいました。そのときはそのまま薬をお渡ししましたが、きちんと飲んでくださっているか心配です。薬剤師として、どのように対応すべきでしょうか。

Answer
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まずは医師の回答を確認する

患者さんが急いで帰ってしまったなど、状況的に難しかったかもしれませんが、「飲まない」と言われたのであれば、そのまま薬を渡すのではなく、なんとかして患者さんの理解を得たかったところですね。
医療費削減が課題となっている今、明らかに飲まない薬を渡すのは避けたいことですし、なにより医師が処方せんを出すのはその薬が治療に必要だということ。薬を飲まないことで病状が悪化するという懸念もあります。
この場合、患者さんが薬を変えてほしいという希望を医師に伝えているので、医師からの回答によって対応が違ってきます。医師が「薬は変えない」と答えたのであれば、同じ薬を使う必要がある旨を患者さんに納得していただく必要があるので、まずは薬を変えたいと思う理由をしっかり聞き出します。
 
患者さんは「効かないから飲みたくない」と話していたようですが、同じ薬を長く飲んでいると、薬がちゃんと効いているからこそ症状が治まっているのに「薬の効果がない」と感じてしまうことがあります。そのため、どうして効かないと感じるのか、もう一歩踏み込んで聞いてみてください。
また、薬を飲みたくない本当の理由が別にある可能性もあります。例えば残薬がたくさんあって、飲み忘れがあると言うと医師に怒られるかもしれないという不安から、本当のことが言えない場合。あるいは金銭的な負担によって飲み続けられないと感じている可能性もあるかもしれないので、あらゆる可能性を考慮しながらしっかりとヒアリングをしましょう。

医師が「変える」と言ったのであれば疑義照会を

もう一つの可能性は、医師が「では薬を変えましょう」と答えたにもかかわらず、いつもと同じ薬が処方されたケースです。この場合は入力ミス等が考えられますので、疑義照会を行いましょう。そこで薬が変更されれば患者さんも納得し、気持ちよく薬を飲むことができると思います。
 
この連載で何度も言っていますが、薬剤師は医師と患者の懸け橋となるべき存在。もう一歩踏み込んだヒアリングで患者さんの小さな不満も取り除けるよう、がんばってくださいね。
薬を渡すだけでなく、「飲んでもらう」までが薬剤師の仕事。患者さんの真意をつかむため、もう一歩踏み込んでみましょう
薬を渡すだけでなく、「飲んでもらう」までが薬剤師の仕事。患者さんの真意をつかむため、もう一歩踏み込んでみましょう

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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