投薬のときによく、薬と一緒に飲まないほうがいい、食べない方がいい食物はあるかと聞かれます。どのくらい影響があれば話した方がいいでしょうか。また、どのように話せば満足してもらえるでしょうか。
投薬のときによく、薬と一緒に飲まないほうがいい、食べない方がいい食物はあるかと聞かれます。どのくらい影響があれば話した方がいいでしょうか。また、どのように話せば満足してもらえるでしょうか。
患者さんの理解度にあわせて説明内容を変える
食物・飲料の相互作用については、該当する薬が初めて処方されたときに必ず説明していると思います。しかし、長く続けている薬では、患者さんも最初の説明を忘れることもあるでしょうし、途中で処方が変更や追加になれば、どの薬に何を注意すればいいのか、分からなくなることもあるでしょう。そんな患者さんからの質問ですから、わかりやすく丁寧に答えたいですね。
「どのくらい影響があれば話したほうがいいか?」ということですが、これはケースバイケースということになると思います。多少にかかわらずすべての可能性について情報提供できればベストかもしれませんが、それによって患者さんがかえって混乱したり不安に感じたりして服用をやめてしまっては本末転倒です。患者さんの年齢、職業、生活パターン、治療歴、等々の情報をもとに、相互作用の度合いをしっかり理解できる患者さんであれば、影響が弱いものについても丁寧に説明してもいいと思います。一方で、理解力が弱く、説明してもその通りに実践するのが難しい患者さんであれば、絶対に守ってほしい注意事項だけに絞り込んで説明する方がいいでしょう。要は患者さん個々にあわせて説明内容を調整するということです。
「どのくらい影響があれば話したほうがいいか?」ということですが、これはケースバイケースということになると思います。多少にかかわらずすべての可能性について情報提供できればベストかもしれませんが、それによって患者さんがかえって混乱したり不安に感じたりして服用をやめてしまっては本末転倒です。患者さんの年齢、職業、生活パターン、治療歴、等々の情報をもとに、相互作用の度合いをしっかり理解できる患者さんであれば、影響が弱いものについても丁寧に説明してもいいと思います。一方で、理解力が弱く、説明してもその通りに実践するのが難しい患者さんであれば、絶対に守ってほしい注意事項だけに絞り込んで説明する方がいいでしょう。要は患者さん個々にあわせて説明内容を調整するということです。
否定せずに「肯定表現」で伝える
食べ物の飲み合わせについて質問してくる患者さんは、どちらかといえば熱心に薬物治療に取り組んでいる人だと予想できますから、丁寧に具体的に説明すると患者さんの安心も高まります。気を付けたいのは、患者さんの治療への意欲を削がない説明をすること。たとえば、大好物が食べられないとわかれば、生活の楽しみが奪われて、薬を飲むのが嫌になってしまうかもしれません。また、「絶対に〇〇を食べないでください」という否定表現を使うと、そのことがより強く意識されて余計に「食べたくなる」ことも考えられます。そこで、肯定表現を使って「これくらい食べる分には影響が少ないですよ」などと伝えれば、ちょっと我慢してやってみようかな、と思ってもらえるかもしれません。併用禁忌の場合でも、代わりの食べ物を紹介したり、「お好きな〇〇を控えてくださりありがとうございます」と理解してくれたことへの感謝を伝えたりして、患者さんの治療意欲を高める話し方ができればベストです。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
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