年上の患者さんに投薬していたとき、「ベテラン(年長者)に代わって」と言われてしまいました。状況説明などをせず、すぐに先輩を呼びに行って代わってもらうべきでしょうか。また、自分だけだったり、年長者がいなかったりする場合はどうしたらいいでしょうか。
クレームと受けとめ、すばやく交代
事情はさておき、今回のケースは一種のクレームと考えられますので、初期対応が重要です。言われたときはショックや動揺があると思いますが、「失礼しました」「申し訳ありません」ときちんと患者さんに謝罪をして、先輩や上司に交代することを伝えましょう。状況説明は、言い訳と取られて二次クレームに発展する恐れがあるため控えます。
ここでのポイントは、状況がどうであれ、患者さんに不快な思いや心配な思いをさせてしまったことについて謝罪すること。先輩に代わらなくても自分で何とかなる、と頑張ってしまうのも、患者さんの要望に逆らうことになるためNGです。先輩や上司に対して、忙しいのに手を煩わせて申し訳ない、という気持ちが生じるかもしれませんが、必要な業務と割り切りましょう。交代する際、いきなり先輩を呼びに行くと患者さんが戸惑ってしまいますから、あわてずに「代わりのものを呼んでまいります。少々お待ちください」などの声掛けを忘れずに。すぐに交代するのが難しいときは、「〇分ほどお待ちいただきますが、よろしいでしょうか」と確認することも大切です。また、担当を代わってもらった先輩に投薬後感謝を伝えるとともに、改善点や問題点を振り返って次に生かしましょう。
交代できないときは、代替案を提示する
代わりの人がいない場合、自身で対応するしかありません。「何か失礼がありましたか?」などの声掛けをして、誠意をもって患者さんの訴えを聞きます。要望を理解したら、「大変申し訳ないのですが、今は私一人で担当しています」などとこちらの状況を伝え、できる限りの要望に応える姿勢を示しましょう。この時、「1時間ほどお待ちいただければ、代わりのものからご説明させていただくことが可能です」「お急ぎでしたら、先にお薬をお渡しして、後ほどお電話することも可能ですがいかがしましょうか」等、患者さんの立場に立って代替案をいくつか提示しましょう。対応方法が決まったら、「至らない点があり申し訳ありませんでした」「ご指摘ありがとうございました」と、指摘してもらったことに対する感謝の気持ちとお詫びをもう一度伝えましょう。
患者さんが「代わって」という理由は必ずしも質問者さんに非があるからとは限りません。残念ながら、対応の良し悪しにかかわらず、若いというだけで「頼りない、自分が軽んじられている」などと思い込んでしまう患者さんはいるものです。反省すべきは反省し、その後は「誰もが経験するクレーム」と割り切ることも必要です。過度に落ち込んだり自分を責めたりせずに成長のきっかけにして、次回同じ患者さんに当たったら、自信をもって堂々と笑顔で対応してほしいと思います。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
今さら人に聞けない接遇・マナー、クレームへの対処方法など、薬剤師さんからの質問を募集しています。カルテ情報(お名前、薬剤師歴、年齢、性別、勤務先種別)を記入の上、こちらからご応募ください。皆さんの質問に、村尾孝子先生がわかりやすくお答えします。
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。
年上の患者さんに投薬していたとき、「ベテラン(年長者)に代わって」と言われてしまいました。状況説明などをせず、すぐに先輩を呼びに行って代わってもらうべきでしょうか。また、自分だけだったり、年長者がいなかったりする場合はどうしたらいいでしょうか。
クレームと受けとめ、すばやく交代
事情はさておき、今回のケースは一種のクレームと考えられますので、初期対応が重要です。言われたときはショックや動揺があると思いますが、「失礼しました」「申し訳ありません」ときちんと患者さんに謝罪をして、先輩や上司に交代することを伝えましょう。状況説明は、言い訳と取られて二次クレームに発展する恐れがあるため控えます。
ここでのポイントは、状況がどうであれ、患者さんに不快な思いや心配な思いをさせてしまったことについて謝罪すること。先輩に代わらなくても自分で何とかなる、と頑張ってしまうのも、患者さんの要望に逆らうことになるためNGです。先輩や上司に対して、忙しいのに手を煩わせて申し訳ない、という気持ちが生じるかもしれませんが、必要な業務と割り切りましょう。交代する際、いきなり先輩を呼びに行くと患者さんが戸惑ってしまいますから、あわてずに「代わりのものを呼んでまいります。少々お待ちください」などの声掛けを忘れずに。すぐに交代するのが難しいときは、「〇分ほどお待ちいただきますが、よろしいでしょうか」と確認することも大切です。また、担当を代わってもらった先輩に投薬後感謝を伝えるとともに、改善点や問題点を振り返って次に生かしましょう。
ここでのポイントは、状況がどうであれ、患者さんに不快な思いや心配な思いをさせてしまったことについて謝罪すること。先輩に代わらなくても自分で何とかなる、と頑張ってしまうのも、患者さんの要望に逆らうことになるためNGです。先輩や上司に対して、忙しいのに手を煩わせて申し訳ない、という気持ちが生じるかもしれませんが、必要な業務と割り切りましょう。交代する際、いきなり先輩を呼びに行くと患者さんが戸惑ってしまいますから、あわてずに「代わりのものを呼んでまいります。少々お待ちください」などの声掛けを忘れずに。すぐに交代するのが難しいときは、「〇分ほどお待ちいただきますが、よろしいでしょうか」と確認することも大切です。また、担当を代わってもらった先輩に投薬後感謝を伝えるとともに、改善点や問題点を振り返って次に生かしましょう。
交代できないときは、代替案を提示する
代わりの人がいない場合、自身で対応するしかありません。「何か失礼がありましたか?」などの声掛けをして、誠意をもって患者さんの訴えを聞きます。要望を理解したら、「大変申し訳ないのですが、今は私一人で担当しています」などとこちらの状況を伝え、できる限りの要望に応える姿勢を示しましょう。この時、「1時間ほどお待ちいただければ、代わりのものからご説明させていただくことが可能です」「お急ぎでしたら、先にお薬をお渡しして、後ほどお電話することも可能ですがいかがしましょうか」等、患者さんの立場に立って代替案をいくつか提示しましょう。対応方法が決まったら、「至らない点があり申し訳ありませんでした」「ご指摘ありがとうございました」と、指摘してもらったことに対する感謝の気持ちとお詫びをもう一度伝えましょう。
患者さんが「代わって」という理由は必ずしも質問者さんに非があるからとは限りません。残念ながら、対応の良し悪しにかかわらず、若いというだけで「頼りない、自分が軽んじられている」などと思い込んでしまう患者さんはいるものです。反省すべきは反省し、その後は「誰もが経験するクレーム」と割り切ることも必要です。過度に落ち込んだり自分を責めたりせずに成長のきっかけにして、次回同じ患者さんに当たったら、自信をもって堂々と笑顔で対応してほしいと思います。
患者さんが「代わって」という理由は必ずしも質問者さんに非があるからとは限りません。残念ながら、対応の良し悪しにかかわらず、若いというだけで「頼りない、自分が軽んじられている」などと思い込んでしまう患者さんはいるものです。反省すべきは反省し、その後は「誰もが経験するクレーム」と割り切ることも必要です。過度に落ち込んだり自分を責めたりせずに成長のきっかけにして、次回同じ患者さんに当たったら、自信をもって堂々と笑顔で対応してほしいと思います。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
今さら人に聞けない接遇・マナー、クレームへの対処方法など、薬剤師さんからの質問を募集しています。カルテ情報(お名前、薬剤師歴、年齢、性別、勤務先種別)を記入の上、こちらからご応募ください。皆さんの質問に、村尾孝子先生がわかりやすくお答えします。
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