ひとりで抱え込まずチームで対応を
セクハラ問題は大なり小なりどの薬局でもあり、お困りの薬剤師さんも多いようです。私も研修先で相談を受ける機会がありますが、誰にも相談せずにひとりで悩んでいる人も少なくないと感じています。
今回は、手を触られる回数が増えてきた、という状況ですが、胸など体を触られる、手を握られる、などの被害もあるようです。
カウンター越しのセクハラで済んでいるうちはまだいいのですが、エスカレートしていくと、投薬の後、薬局の外で待ち伏せされたり、執拗に個人の電話番号を聞かれたり、というようなケースもあると聞きます。
問題が起きたら、ささいなこととひとりで我慢せずに、すぐに上司や仲間に報告・相談することが重要です。
調剤薬局は女性が多い職場です。男性薬剤師も増えてきましたが、規模の小さな薬局では女性職員のみという薬局も少なくありません。そこにつけこんで手を触ったりしてくるとしたら、これは毅然とした態度で臨むしかありません。
最近では国内外の著名人が「#MeToo」の声を上げて話題となりましたが、セクハラ被害に立ち向かうには多くのエネルギーが必要です。報告すると時間を取られる上に、わずらわしい業務が増え、周囲にも迷惑をかけるのが申し訳ない、などの理由で報告することを我慢してしまう…という背景もあるでしょう。
また、かかりつけ薬剤師になっている場合、逃げ場がないと感じてひとりで抱え込んでしまうかもしれません。
セクハラの現場を見聞きしたら、周囲から「一緒に対策を考えよう」と声をかけてほしいと思います。今はひとりだけの問題かもしれませんが、将来他の薬剤師が同じ被害に遭わないとも限りません。勇気を出して、上司や管理者に相談してください。
担当変更などチーム全体でサポートを
初めはちょっとしたいたずら心から始まったセクハラでも、回を重ねていくうちに被害は大きくなるものです。笑ってうまく受け流したり我慢したりができる人もいますが、ほんのささいな出来事をきっかけに心を病んでしまう人もいます。被害報告をしっかり受けとめ、薬局としてチーム全体で対応しましょう。
報告を受けたら、スタッフが複数いる場合や男性薬剤師がいる場合は、すみやかに担当を変更すること。患者さんの来局を拒否することはできないため、被害者以外のスタッフが率先して対応してください。ある程度、曜日や時間帯がわかっていれば、あらかじめ受付や投薬の担当を代わることも検討しましょう。
それでも被害がなくならない場合、近隣のクリニック等の処方せんであれば、処方医に相談することも検討しましょう。処方内容の相談ではないため、あらかじめ医師との信頼関係があればの話ですが、クリニックの職員が同じような被害に遭っていないとも限りませんし、病気が理由であれば治療方針にもかかわります。
医師からひと言注意してもらうだけでも効果大です。被害が続く場合、躊躇せずに警察に相談するなどの手段も検討して、スタッフ全員が安心して業務に臨める環境作りに取り組んでほしいと思います。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。